軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

粉砕なる意思

『巨壁回廊(2F)』

階段を駆け上がると、光が身体を照らす。

窓の役割を持つ四角い穴からは日が差し込んでおり、その奥からは晴天が広がっているようだった。

「わぁ……赤月さん、結構高いですよ!」

「確かに凄いな……高所恐怖症が失神しそうだ」

ここからプレイヤーを突き落としてみたいな。

流石に今はしないが、心の底から好奇心が湧き立つ。

機会があれば祐介辺りに紹介してみるか。

「ピピッ」

「新手のゴーレムですね!」

いつの間にか、見知らぬゴーレムが武器を構えていた。

1階層の守護機兵とは違い、鋼鉄の身体をしたゴーレム。

それに加えて大きなハンマーを持っている。

俺は小手調べに『血酸嘴砲』の引き金を引く。

発射された酸弾はゴーレムの胴体に直撃するも、ゴーレムはお構いなしに突っ込んでハンマーを振り下ろした。

「【処刑】!」

木こりがゴーレムの攻撃隙を狙って『断頭の巨斧』を振り下ろすと、大きく仰け反り、体勢を立て直そうと後退する。

「おっと」

バンバンバン!

酸弾の追撃がゴーレムを襲う。

ゴーレムに腐食が重複され、更に装甲を溶かした。

「鈍重なパワーファイターなんざ、ただの的だぜ? 身軽にしてから出直してきな!」

やはり、ゴーレムは動きが単調だ。

決められた行動パターンしか行動出来な――――

ドゴーン!

「……っぶねぇ!」

ハンマー投げて来やがった?!

完全に油断してた、早めに体勢を――――

ガッキィィィィン!

「……っちぃ!」

ゴーレムは体格を駆使しつつ突撃をかました。

俺は『腐王鴉の嘴短剣』によって攻撃を相殺しつつ、何とか体勢を立て直す事に成功する。

それと同時に毒を付与するが、怯みすらしない。

「ははっ……本当に身軽になる奴があるか」

ゴーレムは壁に刺さったハンマーを抜き、構え直す。

俺が戦っている相手は無機物なはずだ。

それなのに、何故 意(・) 思(・) があるように感じるんだ。

「最近のAIは技術が進んでるな」

ゴーレムは地面を蹴る。

俺を彼方まで吹き飛ばさんとハンマーに力を溜める。

「――――で、俺にだけヘイト向けて良いのかよ」

「【処刑】ッ!」

ゴーレムの死角から『断頭の巨斧』の刃が煌めいた。

木こりの渾身の斬り上げにより、ゴーレムが宙に浮く。

「【腐王吸命】!」

――――終わりだ。

一閃。

そして、毒重複の二段構え。

ゴーレムは猛攻に耐えれず地面に倒れ伏した。

[粉砕機兵を倒しました]

[『粉砕機兵の圧壊腕輪』を入手しました]

[300HGを入手しました]

[ランク13になりました]

ガシャン。

その直後、地面から宝箱が出現した。

やはり中ボスだったようだ。

「ふぅ……なんとかなりましたね」

「……全くだ。木こり、宝箱の中身はやるよ」

それを聞いた木こりはパチパチと瞬きする。

「えっ、良いんですか?!」

「今回は木こりが居なかったらワンチャン負けてた。感謝の印として受け取ってくれ」

「……分かりました」

俺の腕も鈍ったかな。

予想外の動きに惑わされてしまった。

これからは油断の無いようにしなければ。

「これは……チェンソー?!」

「ぶっ?!」

まさかチェンソーも武器として使えるとは……!

木こりらしさが更に増しそうだな。

「えっと……本当に貰っちゃって宜しいのでしょうか!」

「大丈夫だ。どうせ俺の戦闘スタイルと合わない」

俺は状態異常メインで戦うスタイルだ。

大物振り回して一発の火力に極振りするような戦い方は得意とはしてない。

どちらかと言えば、それは木こりの戦闘スタイルだ。

「あ、そうだ、俺も何かドロップしてたな……これか」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

粉砕機兵の圧壊輪

体力 10

攻撃力 10

状態異常命中 +30%

粉砕機兵からドロップする遺物。

付けるだけで腕力に恩恵をもたらし、攻撃した時の衝撃は大地をも揺るがす威力を誇るだろう。

【大震撃】

種類 即座

消費魔力 10

攻撃に衝撃波を纏わせる事が出来るスキル。

近接攻撃時、命中した敵は気絶の状態となる。

気絶の状態となった者は1秒だけ行動不能になり、その後自動的に解除される。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「初見殺しで刺さりそうなスキルだな」

スキル【大震撃】は、言ってしまえば相手を1秒行動不能にするものだ。

戦場では一瞬の隙が戦局を大きく揺るがす。

それを強制的に生み出せるとなれば……悪い事が色々と思い付きそうだ。

ここぞと言う時に使うべきだろう。

「さて、そろそろ先に進むぞ。ダンジョンボスは近い」

「いよいよですね〜燃えてきました!」

俺達は来たるダンジョンボスに向けて、足を進めた。