軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

蒼天、四刀で切り裂く

『巨壁回廊(3F)』

階段を上りきれば、晴天の帳が俺達を見下ろす。

横薙ぎの涼しげな風が吹き荒れる高所であり、日光が地面を焼き焦がす。

雲一つ無い青空の下で迎えるは、人型ロボット。

侵入者である俺達を見るや否や腰から刀を2本引き抜く。

ガゴンッ!

腕(・) がもう2本生える。

そして、青のワープゲートから2本の刀を召喚し、構えを取る。

「4本腕……!」

その威圧には息を呑まずには居られなかった。

他のゴーレムとは違う、殺意の形。

目から放たれる一抹の赤き光は、まるで俺達を睨んでいるようにも思えた。

[ダンジョンボスを発見しました]

[蒼天機兵 ヴァル=カリバー]

次の瞬間、ヴァル=カリバーは姿を消す。

それに合わせて『腐王鴉の嘴短剣』を振れば、その刃に火花が炸裂した。

バンバンバン!

その引き際に酸弾を発射して装甲を剥がす。

ヴァル=カリバーは宙を舞うように刀を振り回すが、俺は間一髪の所で身を翻した。

「【処刑】!」

ガキンッ!

その猛攻に差し込むように木こりの一振りが襲う。

だが4本の刀によって防がれてしまったようだ。

「【大震撃】」

その一瞬の隙を縫うが如く一閃を胴体に喰らわせ、衝撃波を放つ。

反撃しようにもヴァル=カリバーの身体は少しばかりの硬直によって動かない。

「はあっ……!」

そこを木こりの『 自動回転刃剣(チェンソー) 』が腐食で柔らかくなった装甲ごと斬り裂いた。

高速で回転する刃によって横腹を抉り取り、その上毒が全身に侵食する事により、大ダメージを与えるに至る。

そのダメージに耐えかねたのか、ヴァル=カリバーは大きく後退して構えを取る。

すると、大きく傷付いた胴体が見る見る修復していった。

「……回復行動まであるのか」

だが毒の状態まで回復されている訳ではない。

あくまで身体の修復と自己回復の範疇だろう。

「木こり、もう一回だ。更に毒を撃ち込む」

「はい!」

俺と木こりは一斉に駆け寄り、刃を交差させる。

金属音を掻き鳴らし、4本の刀を捌く。

「……っ!」

――――1本の刀が木こりの身体に斬り込んだ。

その衝撃で木こりは大きく仰け反る。

更なる追撃は免れないだろう。

「【大震撃】ッ!」

俺は【大震撃】で怯ませつつ、木こりの復帰時間を稼ぐ。

木こりは何とか一命を取り留めたようだ。

「……ありがとうございます!」

「回復ポーションはあるか?」

「問題無いです」

木こりは手持ちの『低級体力回復ポーション』を使用して傷を癒した。

まだ回復手段は潤沢にある。

このまま押し切れば、勝てない戦いじゃない。

――――この状況が続けばだが。

ギィ……ギギギギ……。

突如として、ヴァル=カリバーの身体から、これまでとは違う異音が漏れ始める。

関節が軋み、装甲の隙間から淡い光が滲み出した。

「……何だ?」

そう呟いた瞬間――――

バキンッ!!

胸の部位が弾け飛ぶ。

次の瞬間、蒼き炎が噴き上がった。

ゴオオオオオオッ!!

それはまるで炉心が暴走したかのようで、蒼白い炎がヴァル=カリバーの全身から迸る。

装甲の裂け目、関節、背部の機構――――

あらゆる隙間から蒼炎が噴き出し、空気を震わせていた。

吹き荒れていた高所の風が、その炎に煽られて渦を巻く。

蒼炎は尾を引き、まるで翼のように背後へ揺らめく。

それは、ただの崩壊ではない。

――――むしろ、進化だった。

ガゴンッ!

ヴァル=カリバーの背中から、新たな腕が展開される。

更に浮かび上がったのは、青のワープゲート。

そのゲートから、更に2本の刀が引き抜かれた。

「6本腕だと……!」

そしてヴァル=カリバーの身体を覆う蒼炎が刃へと収束し、刀身が青白く燃え上がる。

赤く光っていた双眸が、蒼へと色を変えた。

[第二形態へ移行]

ウィィィィン――――

低く唸る機械音が天空に響き渡った。

その殺意は先程とは比べ物にならない。

蒼炎が風に揺れ、長い残光を描き――――

次の瞬間、姿が消えた。

「……来ます!」

刃が頬を掠める。

その一瞬だけでも火傷を負うには十分過ぎる程の熱量が通り過ぎていった。

[火傷の状態になりました]

ふと一通のログが通告された。

「何だ……?」

違和感。

妙に身体に力が入らない。

状態異常は毒のように持続ダメージを与えるものや、腐食のようにステータスに作用するデバフとしてのものもある。

推し量るに、火傷は後者。

そして、その効果は――――

「攻撃力の低下……!」

火傷は反撃を許さず、相手の攻撃を弱体化させる。

それと同時に、一方的な蒼炎による火力で押し切る戦術。

これにより、攻防完璧な魔法戦士が完成した。