軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第932話 Get up㉓身を守れる強さを

みんな集められて、先生からひとりずつアドバイスをもらう。

向こうの審判をやっていたのに、こちらのことも見ていたようだ。

相変わらず、わたしは体力のなさを指摘される。

それから対人となるとためらいが見られた剣筋が、マシになったとのことだ。

これはトスカとなったから、できるようになったことだと思う。

トスカの時は、本当に死ぬか生きるかの瀬戸際で、死なないために一生懸命だったから。

みんなを評してから先生が言った。

「D組はよくダンジョンに行っているそうだな」

D組の委員長であるイシュメルがそうだと答えた。

A組がざわざわしている。

先生にいくつか質問されて、ダンジョンに参加するための条件を話している。

冒険者カードを持っていること。魔法戦の成績がある程度いいこと。いくのは主にシンシアダンジョンで、転移門を使うことからその使用料を絶対にダンジョンで得ることなど。

それから経緯。最初はフォンタナ家の大人が付き合ってくれていたけれど、続けていくうちに合格ラインをもらい、試験休みなどを利用してダンジョンに行っていることを話した。

先生はなるほどと頷いた。

「5年生のアイリス・カートライト嬢が聖女の役目につかれたことは皆知っていると思う。聖女さまは訓練中であるが、定期的にダンジョンに挑まれることを望まれてな。ダンジョンは実践を積むのにいい場所だ。教師陣も参加するから。ダンジョンに挑みたいものは、奮って参加してくれ」

アイリス嬢はダンジョンのことを話せたんだなと嬉しくなる。

B組の女子たちにさっきは閃きで言ったようなものだけど、これはいいきっかけになるかもしれないと思えた。

D組で固まって更衣室に向かって歩く。

「ダンジョンか。できるだけ参加したいな」

男子だけでなく女子も乗り気だ。

「お前たちも参加するんだろ?」

イシュメルがわたしとアダムに尋ねる。

「うん、できるだけ参加しようと思う」

わたしは答えた。

「お前たちさ、なんかこそこそやってるよな? それはバッカスが関係することなんだろうけど、それだけじゃないようにも思える。

殿下とかもかかわっているみたいだから、簡単に話せるようなことじゃないんだろうけど、話せる時がきたら言ってくれ。俺たち仲間だろ?」

イシュメルだけじゃなく、みんなが見ていた。

代表して言ってくれたんだと気づく。

気づいてたんだ。

B組の子はアダムが取り組んでいることがあるって言ったからだろうけど……。

サマリン伯のことを思い出していた。

何かが起こっているんだと思ったと言った。それがわかるのに、関係者は理解しているから冷静で、関係者以外はただ不安を抱えている。その両極端だと感じたと。

バッカスのことは世界中で騒がれている。そしてそこにわたしは囚われていたわけだから、関係者と言って間違いない。

そのわたしは記憶を失っていながら冷静だ。

そう。やるべきことが決まっているから。わかってないことも多いけど、バッカス情報を集めるというやることがある。

でもバッカスの問題だけじゃない。その先には終焉問題がある。

聖女が覚醒したってことは、それだけで世界の危機が近いことを指し示す。つなぎ合わせれば、掴める人もいるだろう。

わたしたちはその危機のことを何か掴んでいると。

わたしだったら知りたいけど。こればかりは人によって違うし。知りたいと思っていたとしても、実際聞いてどう影響が出るかわからない。

だから結局信じていても、仲間でも話せないかもしれない。

それでも今、言えることは。

「すべては話せないかもしれない。でもダンジョンにはぜひ参加してほしい。身を守れるレベルを上げるといいと思う」

みんな真剣に聞いてくれた。

「本気で相当やばいことが起きそうなんだな」

言ったのはリキかな?

みんな重たく受け止めてくれたみたいだ。

すべては急ピッチで進められていく。聖女が覚醒したわけだからね。世界の危機は迫っている、それは誰でもわかること。ただ聖女さまが覚醒されたから、危機から脱せるはずだと希望を持っている。

その聖女さまのギフトで、絶望的な未来が視えていることは知らされていない。

今週の休みの日がダンジョン課外授業1回目となったので、わたしは兄さまへのデートの誘いを前日へと前倒した。

その日はクラブを休んで、放課後から夕飯タイムまで兄さまとデートをする。

平日もやることは盛り沢山だ。

瘴気をバラすための下準備もあるし。いざ終焉の戦いとなった時のために、とにかく思いつく魔具は今のうちに作っておく。そのために良質の魔石がいるから、ミラーダンジョンへもいく必要がある。

これから休みはダンジョン三昧になりそうだ。

みんなとダンジョンに行った時には、プラスしまくるつもりだ。

問題は、格上の魔力持ちにプラスすると、わたしの魔力が持っていかれることだ。いざって時は短期間指定でプラスするつもりだけど。

アイリス嬢の未来視の書類整理、それから聖女さまたちの覚書、これ見せてもらえることになった。けれど場所は王宮のあの地下基地限定だ。それでも全然ありがたいんだけどね。

みんなはカザエル、バッカスのことを調べている。

授業中は集中だ。予習復習の時間が取れないから、授業中が勝負どころ。試験で悪い点は取りたくないから必死。

休み時間はなるべく教室で過ごす。お茶会や夜会のお誘いが激しいので、なるべく大人しくしている。それでも教室に入ってくる強者もいて、全部お断りしているんだと言っても、招待状を押し付けて帰っていく人が多い。

なかにはわたしと激しくバトルした子も、人のこと散々蔑むようなことを言っていた子も含まれている。わたしが覚えてないからと思っているんだろうけど。

わたしが思い出したって言ったらどうする気なんだろう?