作品タイトル不明
第1288話 13番目を探せ②瘴気の多い地
兄妹たちも知らない精霊の居場所を突き止める。
かなり途方もない話だ。
なんのとっかかりもなかったら、わたしだってさすがにもっとごねたよ。
といっても、当たっているかはわからないけど。
けれど精霊の本体の姿をみた時に、当たりかとちょっぴり自信が出た。
『なになに、教えて〜!』
『知りたい、知りたい!』
アリとクイは大はしゃぎだ。
「みんなも知ってるでしょ? わたしは瘴気が苦手。要するにわたしが息をするのも辛いぐらい苦手な場所、そこに瘴気の大元はいると思う」
みんな、うんうんうなずいている。
「使節団として各大陸をまわった。
この第二大陸が本当に恵まれた地だって実感した。
第一、第四は特に厳しい地で、そのうち第一大陸は瘴気が多かった。
瘴気の森があるからだと思った。でもその瘴気の森があるのも……」
『悠が瘴気の森の中にいるわけですね?』
ベアが目を輝かせる。
わたしは少し考える。
「いるのは……第一大陸そのものだと思う」
『え?』
みんなの驚いた声が重なる。
「多分1箇所だけ、コンタクトを取れる場所があるんじゃないかな? それが瘴気の森の中かもしれない」
『待て、どうして第一大陸そのものが悠だと思うんだ?』
もふさまから尋ねられる。
「精霊の本体の姿を見せてもらった時、その大きさに驚いた」
『え? 大きさで大陸そのものだと?』
「えー、大雑把な推理でち」
レオとアオから呆れた声があがる。
「最後まで聞いてよ。それだけじゃないの。
ま、推理だし。当たっているかはわからないよ?
でも……」
わたしは本棚からシュタイン領の資料を引っ張り出してきて、地図を広げる。
サブハウスは完全にコピーされ同期されているから、本棚の中の本やノートみたいにまとめたものなんかも、サブハウスで取り出せる。
『これはシュタイン領のマップとやらだな。アランが苦労して描いた』
「もふさまもこれが出来上がった時言ってくれたよね? 空から見ると、確かにここはこんなふうに見えるって」
『ああ、言った。このように見えるからな。
アランの描いたものが正確だと言うことだ』
わたしは満足してニッと笑ってしまったと思う。
「この形で何か思い出さない?」
『形?』
みんな食い入るように地図を眺めた。
うーーんと唸っている。しばらく唸っていたけれど、やがて。
『教えて! 考えてもわからない!』
『我も降参だ』
『知りたい』
『いくら考えてもわからない気がします』
『降参!』
「わからないでち」
みんな降参した。わたしはみんなの顔をじっくりと見ていく。
ちょっと勿体ぶってから解説する。これで違ってたらかなり恥ずかしいけど。
「最初、父さまの資料のシュタイン領の略図を見たとき、コウモリみたいな形だって思ったの」
『コウモリ?』
「そして見習い神が、見習い神となる前の姿がコウモリだと知ったときに、前創造神はこの北の外れにあるシュタイン領に封印されていたんだって納得したの」
「本当でち。見習い神の形とシュタイン領の形が同じでち……」
「シュタイン領のどこかに封印されているからそういう形になって、北の聖域は、この耳のあたりかなと思ってた。
でも精霊さまが予想外に大きくて、見習い神も実は大きいのではないかと思ったの」
みんな驚いている。口が半開き。
「コンタクトを取れるっていうか、封印された見習い神と唯一繋がる場所が、北の聖域の一部分であったんじゃないかとね。
同じように考えたとき」
わたしは6つに割れた世界地図の略図を出した。
これは兄さまの名を取り戻したとき、参考資料として世界地図を見せてもらった。
それの略図だ。
その第一大陸の形が何かが横向きに体を丸めて眠っているような形にも見えると思った。お腹の中の胎児のように。
以上のことを合わせて、わたしは悠は第一大陸そのもので眠っている状態で、森の中かどうかはわからないけれど、どこか1箇所、悠とコンタクトを取れる場所があると思っている。
「リディア、すごいでち!」
『うん、当たってる気がする!』
『とっかかりとしては十分だ!』
『リー、すごい!』
『リーすごい!!』
『リディアができる子だと知ってましたよ』
みんなが褒めてくれた。
当たっていれば、コンタクトを取れる場所を特定できればいいだけとなる。
ノックの音。
「はぁい」
ドアを開ければ兄さまだ。
「リディー、報告を入れる前にロサ殿下から尋ねられたんだ。アダムがどこにいるか知ってる?」
「え? 秘密基地にはいないってこと?
ごめん、知らないわ」
「そうか、ならいいんだ」
「連絡がつかないの?」
「そうみたいだ。リディー、フォンを入れてみてくれない?」
「うん」
わたしはフォンを取り出して、アダムに通信を入れてみる。
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アダム?
「……出ない」
「そっか。仕事中なのかもな」
兄さまはあんまり心配するなと言いたげに笑顔を作る。
「ロサにそのことをひとまず伝えてから、リディーの話聞かせてくれる? 居間に行こうか」
兄さまは大したことではないフリをしながら、ロサに向けて伝達魔法を出すつもりなんだろう、サッとわたしに背を向けた。
アダムは強いから、何かあろうはずがない。
『リディア?』
考え込みそうになる思考を振り払う。
「兄さまがきたから居間で作戦会議するよ」
明るく言えば、もふもふ軍団たちが明るく返事をしてくれる。
それに励まされて、わたしは居間へと場所を移した。