作品タイトル不明
第1280話 ぐるんぐるんとパラパラ
目を開ける。
『リディア!』
もふさまと、もふもふ軍団に覗きこまれていた。
え、洞窟?
壁に光苔のようなものが生えていて、明るいけど。ゴツゴツした岩の中のような雰囲気だった。
なんでベッドに入ったら、洞窟なの?
「みんな大丈夫?」
確かめれば、誰も怪我などはしてないようだ。
そういえば水の中にいて息ができなくなった気がしたけど、夜着や体は濡れてなかった。
探索をかけるけど、反応がない。どういうこと?知らずに魔力を使って、探索を使うには足りないとか?
「ここ、どこだろう?」
『聖樹さまと同じような空間だな』
もふさまが教えてくれる。
……それは厄介な。
だって相手が聖樹さまならほったらかしにはしないだろうし、あんな物騒な呼び出し方もしないはず。
「アオ、わたしに魔力を」
『合点承知でち』
みなまで言わなくても伝わった。アオは飛びたち、わたしのおでこにおでこをつける。一瞬で魔力がみなぎった。
「ありがとう。アオは大丈夫?」
手のひらで受け止めたアオに尋ねる。
「なんともないでち!」
と、元気に片翼をあげた。よかった。
早速、探索をかけたけど先ほどと同じようにできなかった……。魔力が足りないとかそういう問題ではないみたい。
「みんな気を引き締めよう」
ここにいても仕方ないので立ち上がり、とりあえず洞窟を歩いていくことにした。
〝魔力自体を無くす〟を味わうと、本当にしみじみとその偉大さがわかる。
特に何かに活かして発動させてなくても、魔力を纏っていたんだということが。何をするにも。
一度無くしてそれを得ると、どれだけ感覚の補助として使っていたのかがよくわかった。他の感覚、つまり視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚、そして第六感を底上げする力もあったんだ。
何気なく歩いて行こうとしているけど、そちらの方が微かに水の匂いが強いからだとわかる。
みんなで気をつけながらトボトボと歩いていると、急に光が溢れ出した。
眩しい! 目の前に手を出し光を遮る。
なんとか薄目を開けて上の方を仰ぎ見ると、翼のある小人姿、光の精霊じゃない?
「光の……精霊?」
発光している小人たちが嬉しそうに踊り出す。
空中でくるくる回ってひたすら楽しそうだけど、眩しいの自体をやめてほしい!
『連れてきたなら説明が道理!』
もふさまが叫んだ。
『招待した!』
『ほんたいが会いたいって!』
『でもその前に!』
『遊ぼう!』
え?
いくつもの小さな精霊がわたしにくっついてきて持ちあげる。みんなもだ。
そして相当のスピードでわたしたちを道なりに運んでいく。
な、な、な、なんなのーーーーっ。
みんなは精霊ジェットコースターに大喜びだ。
わたしは……喜べないでしょ、こんなの、怖すぎる! 上へ下へすごいスピードのまま道を曲がる。
ポンと放り出された時は、悲鳴をあげていた。だって、空中でいきなり放り投げられたんだもの、かなりのスピードで!
空中でもちろんどうすることもできず。
いや、こんな時こそ魔法!と思った時には大きなビロードみたいなキノコの上でバウンドしていた。デカキノコ??
そのままバウンドの跳ねる高さが低くなっていき……。止まった。脱力する。
『トランポリンみたい』
「このキノコも、面白いでち」
あれ、なんか冷たいと思ったら、地面はいつの間にか水が溜まっていて、その水面が上がってきてない?
これ、なんか経験したことのあるやつじゃない?
水位がみるまに上がって、水に飲み込まれる。その中を泳ぐんだけど、息継ぎ、息できなかったら……苦しい……ぶくぶくと沈んでいく。
と、その水が一定方向に流されて運ばれていく。
勘弁して〜〜!
やっと顔が上に出て息ができたと思ったら、水が一気になくなった。
そして容赦のない風が吹きつける。
わたしは地面に横たわった。
水に弄ばれてクタクタだ。そのあと容赦のない風に晒され、もう何がなんだか。
みんなを見たら、毛があらぬ方を向いていてそれはちょっと面白い。
でもみんなも変な顔をしている。水で運ばれたのは、楽しくなかったようだ。
くすくす、くすくす笑い声が聞こえる。
『出てきたらどうだ?』
精霊!
光の精霊だけじゃない。水や土、光、それから真っ黒な精霊、真っ赤な精霊、緑やいくつもの色の精霊が周りにいっぱいいたのだ!
『本当に見える人間がいるんだ!』
『なんで魔物と人間が一緒にいるんだ?』
『面白い魔力の匂い!』
『聖獣もいるなんて!』
『お前ら無礼だぞ』
レオがわたしの膝の上に乗ってきて大声をあげた。
『怒ってる』
『なんで怒ってるの?』
『ちっちゃい魔物が怒った!』
『ちっちゃいだと?』
レオが大きくなっていく。
えっ。
『そこで大きくなったらリディアが潰れる!』
もふさまがわたしをさっと引き抜いてくれた。
場所は移動したけれど、そこが洞窟ということは変わっていない。
そんなところでレオが大きくなればどうなるかというと……。
あたった壁部分はボロボロと剥がれ落ちて、その瓦礫が当たるんですけどぉー。
今日はいったいなんの厄日なの!?