軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1279話 同時モニター

「いいえ。父さまからすぐに指示がくるでしょう。

リディーは魔力がないことになっているの。母さまとハンナだけでは守りきれない。すぐにサブハウスへ」

「リディー」

兄さまが現れた。

ほっとする、母さまとハンナ。

「領地の町の家、王都の家にも同時に人が向かってきてるようだ。

だからリディー、君はサブハウスに行くんだ」

『リディア、ここはフランツのいうとおりにしたらどうだ?』

もふさまに言われてうなずく。

「わかった」

「いいかい、何があるかわからないけど、決して出てきちゃだめだよ。相手がどんな輩かわからないからね。こちらはハウスさんの力で危険はないから」

それは嘘だ。

暴力的なことは避けられるけど、権力的なことにハウスさんの力は及ばない。

でも、ここでわたしが居座ってもみんなを不安にするだけなので、気をつけてと言って、サブハウスへと赴く。

そしてハウスさんにサブハウスと全ての家で起きていることを見せてくれるようにお願いした。

サブハウスの居間のソファーに座る。もふさまはわたしの膝に。

もふもふ軍団もわたしの横に座り込む。

目の前に、モニターが左から、領地の外れの家、領地の町の家、王都の家、わたしの別荘が映し出された。

え、わたしの別荘まで?

それぞれの家から少し離れたところで馬車は止まった。

御者が降りて、馬車のドアを開ける。

領地の外れの家への馬車に乗っていたのは、真っ白の燕尾服に身を包んだふくよかなおじさん。懐中時計を見ている。

町の家へ降りたのは青いドレスをきた女性。やはり懐中時計を見ている。

王都の家の前にたったのは魔法士のローブを着ている年若い男性。

わたしの別荘にはずんぐりむっくりしたおじいさん。

みんな懐中時計を見て、15時になると時計を胸にしまい、歩き出した。

それぞれの家のドアに向かって。

な、な、な。何? なんか怖いんだけど。

それぞれに、外れの家ではハンナ、町の家では執事のカーティ、王都の家ではアルノルトが呼び鈴に応える。

別荘だけは誰も出てこなくて何度も呼び鈴を鳴らしてる。ドアも叩いてる。

そこに町人らしき人が声をかけた。

「そこは貴族の別荘さ。滅多にここには来ないぞ」

「中にいらっしゃるということはないですかね?」

「来るときは街を馬車で通るし、いつも買い物をいっぱいしてくれるぞ、だから来たらすぐわかる」

別荘に行った人たちは顔を見合わせて、ご親切にどうもとかつぶやき、馬車へと戻って行った。

わたしの別荘に入っていくのは一本道だから、この先は別荘があるだけなのにと目を引いたんだろう。行ったときは買い物をいっぱいするようにしている。それで覚えていてもらったのかも。気にしてくれてたなんて嬉しいな。

なかなか行けてなかったんだけどね。

白い服の人たちは神聖国の末裔のビクコーンの者だと名乗った。

神聖国末裔……。

外れの家では、お嬢さまと夫人にお会いしたいと、町の家ではお嬢さまと伯爵さまにお会いしたいと、王都の家ではお嬢さまにお会いしたいと。

ハンナは先触れもなく、突然いらしても取り次ぐことはできませんと告げる。

カーティーは、お約束がない方を取り次ぐことはできませんと。

アルノルトも、お嬢さまは未成年ですので、主人と約束を取り付けてくださいませと丁寧に腰をおった。

「私たちはアンドレさまのお導きの元、リディアお嬢さまを救いに来たのです」

わたしは画面の前で固まった。

一番強いのはハンナだった。

「どちらのアンドレさまだか存じませんが、主人からの許しがない者を通すわけにはいきませんので」

とドアを閉めた。

ハンナ、さすが!

兄さまも出番なしだ。

カーティーも、先に約束を取り付けてくださいませと丁寧に頭を下げ、ドアを閉める。

その閉めたドアに向かい、町の宿に滞在しておりますので、気が変わりましたらお声がけください。お待ちしていますと叫んでた。

王都の家でもアルノルトが約束を取り付けてと優しく言ってドアを閉めた。

やっぱり王都に滞在しているから気が変わったらと言っている。ドア閉まってるけど。

その人たちは馬車を走らせて、去って行った。

ハウスさんがたどったところ、外れの家と町の家に来た人はシュタイン領のカトレアの宿に宿泊し、王都の家に来た人たちは第3区に宿をとったらしい。

突然来た人たちが突然去って行った。

外れの家に集まり家族会議だ。

無理やり何かをする人たちではないみたいだけど、心配だから、しばらくサブハウスで暮らすように言われてしまった。

それはちょっと淋しいのに。

エリンとノエルは明日帰ってくるということなので、屋敷の中は静かな印象。

神聖国末裔のビクコーンだっけ?はわたしを探しているんだろう。

なんの用か聞いてみたくもあるけれど、約束もせずに押しかけてきたのに対応をしてしまったら、そんな突撃部隊が増えるかもしれないから断ったわけで。

でもどの家にも人をやっていることから、どの家かにわたしがいるって思っているんだろうな。神聖国の末裔がどうしてわたしを? 新勢力ならほんとわけわからない。だってわたしは魔力をなくしたんだから。

サブハウスのわたしの部屋で夜着に着替える。

みんなでベッドに入ろうとして。

え?

膝から乗り込んだんだけど、その膝が沈んでいく。

ええ?

な、なんで敷布団が濡れてるの? っていうか、え、なんで水たまり?

『なんだ、これは?』

『リディア、つかまれ!』

わたしはもふさまに手を伸ばしもふさまの毛をつかんだ。

もふもふ軍団もそれぞれに大きくなったもふさまにつかまった。

大きくなったもふさまごと沈んでいく。

ベッドなのに、なんで水で!

ぶくぶくぶく。わたしは片手で口を押さえた。

マジで水だよ。

待って、なんでベッドの中で溺れるの? それってアリなの?