軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1268話 歪みゆく世界⓯え!?

「光の使い手は無意識に受け入れることはあることみたい。

母さまにもよくない何かはあったし。人の痛みを引き入れてしまう」

「でも、エリンもノエルも元気でち」

そういえばそうだ。

ハッとする。わたし自分のことばかりに気持ちがいってた。

もし光の使い手が皆浄化を無意識に行う特性があるのなら、それを公表した方がいいのかもしれない。

光の使い手は、みんな魔力を止めるべきなの?

いや、わたしは祝印して自然の傷も引き受けてしまうからだろう。

……推測だけど、無意識にも幅がある。

たとえば光魔法を使うときに、無意識を使ってしまうパターン。

良くなれと思ったときに、誰かの中で浄化をしていくのではなく、一部、自分で受け取る。誰かの中で浄化はされるけれど引き受けた分は自分の中で穢れとなる。それが積もり積もってよくない何かとなっている、とか。

たまたま病んでいる人をみて、辛そうと思って引き受けちゃうパターンとか。

それだったら、そういう場面の遭遇率によることになる。

わたしの場合、染み渡った大地の魔力が自然の傷みを引き受けて浄化しようとしているからじゃないかな?

関係ないかもしれないけど、シュタイン領の土地はレアワームに侵されていた割に立ち直りが早かった。貝のおかげではあるだろうけど、それだけ?

ウチの庭、かなりいいものが育った。ずっと人が住みつかない地だったのに。魔使いさんのおかげでもあるんだろうけど、それだけ?

わたし無意識にいろいろしてたんじゃない?

ーー自然の浄化さえしなければ、身体にそこまで悪影響はない

聖水や光魔法で常に浄化することができていればな

エリンとノエル。二人とも魔力量がすごいから、司祭さまに診ていただいた方が良さそうだね。

「魔力を封印するって、リディア嬢は魔力が漏れていないと器がもたない。封印といっても魔力を閉じ込めるではなく、魔力を取り出すってことか?」

イザークが難しい顔をしていた。

「仕組みはよくわからないけど、封印をしてくれる施設を紹介してくれるとは言われた」

「光魔法だけを使えなくすることはできないの?」

「おばあさまたちは若い頃に光魔法を仕事として使って、光魔法を使えなくなったって聞いた。魔力自体は少ないけどあるみたい。光魔法だけ使えなくなったって聞いたけど」

「それならそれを調べよう」

「いや、リディー、魔力を封印しよう」

ルシオの提案をいなして、兄さまに言われる。

「……終焉のことが終わったら」

「いや、すぐにだ」

兄さまは真剣だった。

「あと2年。その後には封印するから」

「ダメだ。あと2年は大丈夫、それはリディーの推測だね?」

「ドラゴンちゃんたちを育てるって約束したし」

「もう十分育ってる。もうドラゴンたちも独り立ちできるくらいだ。だから大丈夫」

「……終焉のときに何もできないのは嫌」

「それまでに何かあったらどうする?

確かに今まで9年間は乗り越えてきたかもしれない。けれど、リディー、ここ数年で君の体力は落ちてる。レベルはあがっているから戦闘も短時間で済んでいるけれど疲れやすくなってるよ。バッカスのことがあったりずっと心が休まらないから無理ないと思っていたけれど、理由があったんだと今は思う」

体力の低下は感じてた。でもそれこそ変化を繰り返したり、終焉が近づくにつれてストレスが溜まってるから、それでだろうと思っていた。

「でも終焉で何もできなかったら、後がないんだよ? 終わりになっちゃうんだよ?」

「魔力がなくても、リディアはリディアでち」

アオの言葉にわたしは首を横に振る。

「魔力がなかったら、それこそわたしはお荷物だよ」

『私たちがついてる!』

「みんなと話せなくなっちゃう!」

言ったとたんブワッと熱いものが込み上げた。

「やだ、絶対やだ! あと2年、わたしに猶予をちょうだい。お願いだから!」

『話せなくても何も変わらない』

『ずっとそばにいる』

アリやクイはそう言ってくれるけど。

『通訳魔具を改良でもなんでもできる』

レオはそう言うけど。

『たとえ魔法が使えなくてもリディアは何も変わりませんよ』

ベア、そうだったらどうなにいいか。

ドラゴンちゃんたちが飛んできた。

今までわたしに寄りつかなかったのに。

他の子たちがするように、わたしの頬に顔を擦りつけてきてぺろっと舐める。

「リディア、おいらたちリディアが穢れに蝕まれてリディアが辛いほうが嫌でち」

『主人さまもなんとか言ってよ』

レオに言われて、もふさまがわたしを見上げる。

『決めるのは、リディアだ。我は友の意思を尊重する』

……もふさま。

「リディアが無意識に魔力を使わなければ、穢れはしないんでちね?」

アオが蝙蝠に話しかけてる。

ーー魔力を無意識に垂れ流し、自然の痛みを引き受けなければな

「魔力を垂れ流さなければ、見習い神さまは起きることもなく、これ以上リディアに害する者を増やしたりしないでちね?」

ーーああ、意識が浮上しなければな

アオがくるりとわたしを振り返る。

「リディア、おいらたちのこと、信じてるでちか?」

「え?」

アオの無垢な瞳。

「もちろん」

「リディアに何かあったらおいらたちは嫌でち。

リディア約束を覚えているでちか? リディアがいなくなるとき、おいらも二度と目覚めないようにしてくれって言ったでち」

覚えてる。それは変わってほしいと思ったけど、今も同じ考えってこと?

「まだ考えは変わらない?」

アオは少しだけ首をかしげる。

「おいらに任せてほしいでち。今、リディアの魔力を取り除くでち」