軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1217話 ガゴチの花嫁❷スパイ

馬車から降りると目の前には豪邸。なんとニア、正しくはニシア・クランチの家だった。

一時は将軍になったのだから、それもそうか。国のトップ、国の顔だもの、家の水準とかも見られることになる。それなりじゃないとね。

だからニア自身こそ変わったかなと想像したけれど、再会したニアは前と変わらなく見えた。

人のいい冒険者風で、頬の傷が霞むぐらいに、にかっと太陽のように明るく笑って迎えてくれた。

一時は将軍となった彼。

でも割とすぐに、ガインにその座を譲った。

長くやると政治に ク(・) セ(・) がつくからって。

ずっとやるつもりならそれでいいけど、ガインが継ぐのが道理だと思ったニアは自分の味方を掌握しながら、ガインが継ぐべきだと唱え実現させた。

今までの上ふたりには思うところがあった。だからこそ、それを凌ぐ初代のカリスマリーダーの行方を追った。他大陸まで探しに行き、わたしたちと出会った。

どこか初代将軍を彷彿させる、だけど小さなアラ兄、ロビ兄に会った時に、古い思い出に縋っていないで〝今〟からを生きていけと旧友に言われた気がしたんだって。

ニアはユオブリアを出る時にそう教えてくれた。

行方を知りたかった、生死を知りたい友がいた。だけど全然情報は出てこなくて。そんな時旧友の子供の頃を連想させる子供と会った時に、もう追うなということかと自然に思えた、と。それで、こうして時は経った。旧友がどうしているかそれは知りたいことだったけれど、時は進む。情報の掴めない旧友を探すより、今を生きる人たちと一緒に足掻いていくべきだと思えた、と。

上のふたりのやり方には思うことがあって反発していたところがあったけど、将軍から自分たちに何かあった時にガゴチを頼むと言われ、自分もまた上の二人のことがよく見えてなかったと反省したという。それにガインには見どころがあると思っていた。そんな理由で、ガインが育っていくまでは補佐していこうと思ったようだ。

新将軍のガイン。民たちにいい意味でも悪い意味でも注目されている時。

ガインの地位が確固たるものにならないうちに、セインは仕掛けてくるだろうと読んでいた。確かにね。ガインがトップになったばっかりだからこそ、悪評がたてばやはりあの血筋がダメなんだと、人々は陰口を叩くだろう。

ちなみに今回の作戦ではアラ兄、ロビ兄、エリンはお留守番。

上の双子はその面影で、まだ初代の将軍を覚えている人たちを混乱させたら良くないからと、ガゴチには足を踏み入れないと言った。お留守番組ではあるけれど、セインの情報を探るなどはしてくれる。

エリンはその手伝い。エリンはガインに対して攻撃的になりやすいので、お留守番組にした。ノエルもそう。ただノエルはわたしたちを運ぶ要員で、こちらに来てもらったり手伝ってもらうことがあるって状態。

屋敷にはみんなが揃っていた。

「リディー、課外授業でやっぱりセインが仕掛けてきたって?」

心配顔の兄さまに軽く抱きしめられる。

ハグなんだろうけど、みんながいるところだと、ちょっと苦手。

「取り調べの結果は聞いてないけど、十中八九、セインのしたことだと思う。

セインって個々でちょっかいを出してきて、何をしたいんだかよくわからないわ」

「今手柄を立てると、王位を継げるんだと思う。だから個々で動いてるんだ」

ロサに言われて納得する。

アダムの姿もあって、安心した。イザークには戻ってるって聞いたんだけどさ。

「あそこは湧いて出てくるよな」

ブライが腕を組んでいる。

「ドラゴンの卵の計画は誰がたてたかわかったの?」

「第11王位継承者のクラリカル・フォード・マグイア公爵だと思われる。

バッカスと接触したから」

「バッカスに?」

ダニエルの言葉に悲鳴に近い声で聞き返してしまった。

でも考えてみればそうだよな。ドラゴンに近づくのってかなり超越してないと無理だ。そんなノウハウを持っているとしたら、バッカスとかカザエルだと想像したわけだし。でもそれを企てたのがセインだと知って、ベルゼも紫龍を呼んだりしたからセインにも独自の超越した何か方法があるのかもとも思った。

独自の方法がなくてよかったと思うところなのだろう。

でもセインとバッカスがどのくらいの繋がりなのかは、知りたいところだな。

お金での依頼者と請負人ぐらいの関係だといいけど。

ベルゼの手紙から、わかったこと。

ベルゼはユオブリアを憎んでいる。つまりセインはユオブリアを悪夢に沈めてやろうと思うぐらいに憎んでいる。

バッカスやカザエルはわたしを憎んでいる。

北の聖域にわたしをそれよりも深く憎んでいる存在がある。

わたしやユオブリアを憎む存在はどれくらい結託しているのかな?

結局その結託したものが終焉と関係してくるんじゃないかとわたしには思える。

今は個々に行動している状態。それをわたしたちが潰し、敵同士徒党を組む。それが1年後ぐらいなら時期もぴったり当てはまりそうだ。

「バッカスの中にカザエルの技術を持つものがいて、ドラゴンを操るかして卵を手に入れたに違いない」

赤い石かさらに進化させた赤い魔石を使ったのだろう。いうことを聞かせ、卵を持ってこさせた。

セインがドラゴンでユオブリアを潰すことを考えたのかな?

それともセインがユオブリアを潰したいと言って、バッカスが方法を考えたのかな?

どちらかはわからないけど……。

「セインがやった証拠はどうやって見つけたの?」

尋ねると、みんなで目を合わせてから、目が泳ぐ。

言いづらいことみたいだ。

「ドラゴンの卵と一緒に置いて行かれた子供たちがいただろ?」

アダムが教えてくれる。

「その中のひとりがセインの子なんだったよね?」

スパイとして潜り込まされていたみたいだった。

あ。

言いにくいこと。

そっか。スパイの動きでわかったんだね。使い捨てのように敵国に送り出された子供をこちらも利用して情報を得たんだ。

仕方のないところはあるものの、どうりでみんな浮かない顔なわけだ。

アリやクイの働きでお城のスパイたちも検討がついていて、泳がせているそうだ。

そうして着々と証拠を集めていた。