軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1216話 ガゴチの花嫁❶ガゴチへ

「リディア嬢」

振り返れば木に隠れるようにしていたのはイザーク。

迎えが来るとのことだったけど、てっきり兄さまあたりだと思っていたから驚いた。今回の作戦の頭はロサで、ロサには理事のヒンデルマン先生から場所が伝えられた。ここで落ち合うことは学園と話し合い済みだ。

「イザークが迎えに来てくれたのね、ありがとう」

「フランツじゃなくて悪かったな」

「何も言ってないじゃん」

「そういう顔してた。けど、お前たちがうまくいってるとホッとする」

え?

「こっちだ」

詳しく聞こうと思ったけど、促されてそちらに向かう。

「そういえばアダムは戻ってきた?」

「ああ。すっごい案を引き下げてきたよ」

イザークはスタスタと歩いていく。

「すっごい案?」

「全くよく考えついたもんだ。君の噂なんか吹っ飛んでしまうぐらいにね」

「ええ?」

「あいつが敵じゃなくてよかった。あいつはとんでもない詐欺師になれる」

「どういうこと? セインが全てをガゴチのやったことだとしようとしていて。それを暴いて煽って孤立させてセインがガゴチを略奪しようとしている、そう世間に知らしめるんだったよね?」

みすぼらしい馬車がいて、その中へと促される。

イザークに補助してもらって馬車の中へ。

元々のガインの戦略は、セインに仕掛けられる前に 女王(わたし) を打ち立て、ガゴチが聖域になったことを知らしめる。聖域は悪を退ける場所とも言われていることから、ガゴチは白だよとアピールすることと等しくなる。

そうなったらセインは噛み付いてくるはずだ。女王は偽物ともいうだろうし、ユオブリアにドラゴンを送ったのは獣憑きが多く滞在するガゴチに違いないと衝撃告白をしてくるだろう。ガインはそこまでにセインの悪さをした証拠を集めておき、それを暴露することにしていた。

けれど、わたしが女王をやらないと言ったので計画変更。

大まかな流れは変わらない。ガゴチはシロだとアピール。追撃しようとするセインの悪事の証拠をばらして迎えうつはずだった。

それがすっごい案をアダムが思いついたそうだから……。

馬車は軽快に走っていく。

中で大まかな話を聞き、わたしは感動を通り越し呆れていた。

よくもそんな大掛かりな嘘を思いつくもんだ。

ガインの反応はどうなんだとか、証拠は集められたのかと話していたはずなんだけど、いつの間にか眠っていた。

起きるとある街の宿前で、ノエルがいる。

「姉さまー」と抱きついてきた。

宿屋に入ったと思ったら、中を通り抜ける。

厩に入り、ノエルが振り返りその一瞬後には、どこかの宿?の部屋にいた。

「僕たちは出てるから、姉さまはこれに着替えてから部屋を出てね」

渡された衣服はアサネリヤ? ヴェール? え?これ目しか出ないようになってるじゃん。

顔を見られないように、か。

アサネリヤのストンとしたワンピースに着替え、ヴェールをすっぽりかぶる。

ヴェールの後ろはお尻を隠すぐらいの長さ。

部屋を出ると、ノエルもイザークもヴェールを被ってて、目だけが見える。

変装してもドラゴンちゃんたちやもふさまはすぐバレる要因になるので、もふさまはさらに小さくなりドラゴンちゃんたちと籠に入ってもらっている。眠っているのか静かなままだ。

ま、わたしとロサはすぐに顔を出すようにするので、身バレしても問題ない。

ガゴチに聖域ができたお祝いを、ユオブリアの王太子、それからドラゴンを送りつけたのはガゴチでないことを織り込み済みとして、わたしが招待されていることになる。

キュアを巻き込んでしまったので、ちょっと心配だ。

女王役はキュアがやることになったそうだ。アダムがスカウトしたらしく、キュアは快く応えたとか。

ふと思う。ベルゼはセインにいるのかな?

オス公子のしたことは、ユオブリアから正式に抗議が行くはず。

セインがこれでおとなしくなればいいけど。

「ここはどこなの?」

「ガゴチだよ」

「え、もうガゴチなの?」

「少しの間、話さないで。馬車に乗るよ」

わたしはうなずき、ノエルの後を歩く。わたしの後ろをイザークが守っている。

まさしく宿だったんだね。少し混雑している受付を抜けると目の前に馬車がいた。

多くは冒険者の格好をしている人たちで、なんだか強そう。

わたしたちのようにヴェールをかぶっている人も多い。

うわっ、獣人だ。ほぼ人型の見かけに耳と尻尾がついてる。猫っぽい!

手を引っ張られる。

ノエルだ。

馬車のドアが開いていた。ごめんと心の中で謝って馬車のステップを登る。

ドアを閉めるとイザークが言った。

「少しかかるから、眠っていていいよ」

さっき眠ったからと言おうとして理解する。馬車は猛スピードで走り出した。見かけ通りの普通の馬車の揺れは尋常じゃない。

「ガゴチは傭兵の作り上げた国だから、馬車もこのスピードで。揺れがかなりきついと思う」

もふさまが大きくなってくれた。

悪いとは思ったけど、わたしはもふさまにしがみついて、うつらうつらした。