軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

22-28 隠密機動部隊改編

礼子の訓練を終えて蓬莱島に帰ってきた翌日。

仁は、もう一つ気になっていることをなんとかしたいと思った。

それでエルザに相談してみることにする。サキは取りあえずオブザーバーだ。

「 隠密機動部隊(SP) を何とかしたいんだ」

「……どういうこと?」

小首を傾げるエルザに、仁は説明をする。

「ほら、最近、飛行船で移動することが多くなっただろう? そうすると、 隠密機動部隊(SP) が付いて来られないんだよ」

「ああ、納得」

馬車での移動なら問題なく付いてくることができたのだが、さすがに飛行や、転移には対応しきれないことが多くなったのだ。

「で、大幅な見直しをしようと思う」

「ジン、実際にはどうするんだい?」

サキも興味を持ったらしい。

「もしかして、 隠密機動部隊(SP) はお役御免かい?」

「ジン兄、それはもったいない気がする」

エルザが異議を挟んだ。

「いや、そんなつもりはないから」

慌てて否定する仁。そして自分の考えを述べていく。

「以前言われたんだ。ある程度の社会的地位があるなら、抑止力として、威圧感のある護衛を付けろ、というようなことをさ」

「ああ、見ただけで襲いたくなくなるような、ということだね? ふむ、『崑崙君』なのだから当然か」

サキも理解を示した。

「そう。だから、今までみたいに姿を隠してではなく、堂々と警護してもらうことも視野に入れようと思ってさ」

「……改造するの?」

「そう考えている」

「具体的には?」

そこで仁は、2人に構想を説明することにした。

「まず、今どのくらい 隠密機動部隊(SP) がいるかというと……」

パンセ、ビオラ、ダリア、カンナ、リリー、ローズ、エルム、アッシュ、ポトス、ヒースが仁用。

エルザ用がマロンとプラム。ハンナ用がイリスとアザレア、マルシア用がカトレアとロータス。

ビーナ(とクズマ伯爵)がチェリーとカメリア、アーネスト王子用がエリカとロベリア。そしてラインハルト用がセージとコスモスである。

「……こうして数え上げると凄まじい」

「くふ、それだけジンが仲間を大事に思っているということだね」

「ま、まあな」

サキの言葉に仁は頭を掻き、少し照れくさそうにした。

「で、でだ。まずはファミリーに付けた 隠密機動部隊(SP) から手を付けようと思う」

「……ん、一番行き来が多いから?」

「ああ。 転移門(ワープゲート) やら飛行船やら、な」

「で、ジン、具体的には?」

「ああ、まずは真っ黒と言う外観はそのままでいいと思う。ちょっと 黒騎士(シュバルツリッター) みたいだが」

それでもデザインはまったく違う。 黒騎士(シュバルツリッター) は鎧を纏った戦士風だし、 隠密機動部隊(SP) は人間型だから。

「目的に応じて外装を付け加えられるようにする。護衛の時は鎧冑とか」

「ふむ、でも女性型が多いと思うけどね?」

サキが疑念を口にする。

「ああ、別に女性騎士だっているし、エルザやサキの護衛ならおかしくないだろう?」

「え? ボクにも付けてくれるのかい?」

仁は頷く。

「ああ。というか、必要に応じて、警護したり派遣したりできるようにする」

出掛けるときに、行き先や目的に応じて、というわけだ。

そのあたりは老君に一任する、と仁は言った。

「……で、本体の改造は?」

こちらはエルザ。やはり気になるらしい。

「うん、もちろん『 力場発生器(フォースジェネレーター) 』は標準装備しておくさ。空でも警護できるように」

「……ん、それは当然」

「とはいえ、普段は姿を現して、お付きのゴーレムとして付き添ってもらう。姿を消しての警護は、少女型と少年型にやってもらおう」

もちろんこれも必要に応じて、という但し書きが付く。

「なんだかややこしいね。でも老君ならうまくまとめていけるのかな?」

人間では管理が難しいが、こういうために開発された老君なら、易々こなしてくれるであろう。

「最後に、礼子型のパンセとビオラには、 隠密機動部隊(SP) は引退してもらって、崑崙島で働いてもらおうと思う」

「ああ、崑崙島か。なるほどね。ジンの言うことはわかるよ」

「崑崙島には、5色ゴーレムメイドの各100番が在駐していて、館のあれこれを引き受けてくれているが、今後更なる開発をするなら人手が足りなくなるだろう?」

警備も置きたいし、と仁が付け加えた。

「……納得」

この方針には、エルザも承知のようだ。

「えーと、わかりにくいけど、成人男性・女性型は騎士風にして警護。少年少女型は隠密警護。レーコちゃん型は崑崙島の警護、でいいのかな?」

サキが上手くまとめてくれた。

「ああ、その通りだ。どうだろう?」

『私はいいと思います』

今まで黙って聞いていた老君も賛同した。

『ですが、安全のため、例の 古代(エンシェント) 竜(ドラゴン) の抜け殻でもっと防護服を作り、お出掛けの時にはそれを身に着けることをお勧めします』

魔力を循環させれば世界最高の強度を誇る素材である。

エルザとサキが仁用にベストを作ってくれたが、他のメンバー用も含め、防弾チョッキや火除けマントのようなものを作ればより安心というわけだ。

「ん、それなら私が考えてみる」

「ああ、頼むよ」

仁よりはエルザの方がそういうデザインには向いているだろうと思われるので、仁も同意した。

ということで早速改造に取りかかる。

とはいえ、基本性能は十分であるから、再整備をして 力場発生器(フォースジェネレーター) を取り付けるのが主な作業だ。

あとは、成人男性・女性型には鎧を。少年少女型と礼子型には服を用意。

「うん、これでいいな。みんな、これからもよろしく頼むよ」

改造が終わった 隠密機動部隊(SP) に仁がそう言えば、彼等は揃って返事をする。

「はい、チーフ!」

こうして、新生 隠密機動部隊(SP) は新たな活動を開始した。

* * *

「うおっ!? 何だ、彼等は!?」

「あ、ライ兄、いらっしゃい」

同日夕刻、ラインハルトが蓬莱島を訪れ、 隠密機動部隊(SP) を見て驚いていた。

「ラインハルト、久しぶり。彼等は 隠密機動部隊(SP) さ。こういうわけで……」

仁はラインハルトにかいつまんで経緯を説明した。

「ふうん、いいんじゃないか? ……と、すると、今僕には?」

「改めましてラインハルト様、よろしくお願い致します」

「え? あ、ああ、よろしく」

身長165センチ、重量55キロの成人女性タイプ。体型はスリムなので、ラインハルトの好みからは遠いかもしれない。

が、軽銀製の軽装鎧を着け、ショートソードを腰に付けた姿は圧巻である。

鎧は軽銀製。すなわちチタンなので、酸化膜の調整で色を変えられる。

ラインハルト用は黒。 黒騎士(シュバルツリッター) に合わせたのである。

「ふうん、これはすごいな。ジン、改めて礼を言う!」

「……それはいいけど、何か用があったんじゃないのか?」

仁が言うと、ラインハルトは少し照れくさそうに笑って言った。

「あ、そうそう。実は……ベルチェに子供ができたんだ!」

「なんだって!」

「ライ兄に!?」

「お、おめでとう!」

驚きと祝福の声が響き渡った。

2月とはいえ、ここ蓬莱島の風は暖かく、春を思わせる話題に仁たちの心は弾むのであった。