軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

08-17 衝撃の告白

ミーネの方は一旦保留として、仁はラインハルトに会うべく、泊まっている宿へと戻った。

「ジン!」

ラインハルトの部屋を訪れると、執事のクロードが何か言う前にラインハルト本人が飛び出してきた。

「いったい何があった? 何で今の今まで音沙汰がなかったんだ? 僕にも話せない事だったのかい?」

仁の肩を掴んでまくし立てる。慌てて仁は、

「落ち着け。これから説明するつもりだ。ここは落ち着かないから、俺の馬車へ行こう」

そう言った。するとさすがはラインハルト。

「ふむ、周りに聞かれたくないんだな? わかった、行こうじゃないか! ……クロード、ちょっと出てくる。帰りが遅くなっても心配するな!」

と大声でクロードに告げ、

「さあ、行こう、ジン!」

と、仁の背中を叩いた。

仁は自分の部屋に寄り、アンを呼ぶ。

「はい、ごしゅじんさま?」

「お前も一緒に来い」

というわけで、仁はラインハルトとアンを連れて馬車へ乗り込んだ。

「さあジン、説明してくれ!」

とせかすラインハルトに、

「まあ待ってくれ。実はラインハルト、この馬車には君にも話していない秘密があるんだ。ここをこうすると……」

そう言って、後部座席の後ろ、荷物収納スペースに見せかけた扉を開ける。

「ここに 転移門(ワープゲート) が備え付けてあるんだよ」

その発言にラインハルトは仰天する。

「何だって! と言うことは、ということは……ここからコンロントーに行けるという事なのかい!?」

「まあ、どこに出るかは行ってみればわかる。どうだい、来るかい?」

と仁が言えば、

「もちろん行くとも! 楽しみだな!」

そう言って今にももぐり込みたそうにしている。仁は笑って、

「それじゃあ、俺が先に入るから、アンの手を握って続いてくれ」

この 転移門(ワープゲート) もまた、仁の魔力パターンが無いと通過できないのである。

ラインハルトは仁が転移した事を確認すると、アンの手を引いて 転移門(ワープゲート) へと飛び込んだ。

* * *

ラインハルトが受け入れ側の 転移門(ワープゲート) から出ると、そこは広い部屋であった。

ぱっと見ただけで50以上の 転移門(ワープゲート) が並んでいる。皆稼働しているように見える。

「ジ、ジン、ここは? 以前来た地下室とは違うようだが?」

崑崙島の 転移門(ワープゲート) 室とは似ても似つかぬ部屋の佇まいを見て、ラインハルトはそう尋ねた。

「ああ、そうさ。ラインハルト、蓬莱島へようこそ」

「ほうらい島だって?」

「ああ。まあ、ゆっくり説明するよ。まずはこっちへ来てくれ」

仁は興奮気味のラインハルトを伴って一旦 転移門(ワープゲート) のある研究所の外へ出る。こちらはもう夕方だった。

「え? 僕らがいたテルルスはまだ昼過ぎだったのに?」

「ああ、ここはテルルスとは3時間半くらい時間がずれているんだよ」

「?」

まだよくわかっていない様子のラインハルト。だが仁は後でゆっくり説明するからと、館へラインハルトを招き入れる。

「あ、靴は脱いでくれよな」

そう言うと、崑崙島で慣れていたラインハルトは承知していると肯いて靴を脱ぎ、館へと上がった。

「ラインハルトに会わせたい人がいるんだ」

仁がそう言うとラインハルトは首をかしげ、

「僕に会わせたい人? ……ジン、まさか?」

仁は皆まで言わさず、エルザの部屋の襖を開けた。

「エルザ、ラインハルトを連れてきたぞ」

* * *

「エルザ! 無事だったのか! この馬鹿、心配させて!」

「ライ兄、ごめんなさい。私が愚かだった」

2人の従兄妹は手を取り合い、再会を喜び合った。

2人が落ちついた所で、仁はソレイユとルーナに命じて夕食にした。仕度は老子がメイドゴーレムにさせていたので運ぶだけである。

「さあ、再会を祝して」

仁がそう言って、ワインの入ったグラスを掲げる。畳の部屋、座卓に座布団でワインだが、他にいい酒もないので仕方ない。

「乾杯」

そうして3人は、夕食を食べ始めた。食べながら仁は、聞きたくてうずうずしているラインハルト、そしてエルザの疑問に答えるべく、考えていた説明をすることにした。

まず、

「ラインハルト、国を離れて、1人の友人として聞いて欲しいんだ」

と前置きを言う。ラインハルトは深く肯いた。

そして仁はついに告白をする。

「俺は元々この世界の生まれじゃないんだ」

「どういう意味だい?」

一回で通じないとは思っていた仁。

「つまり、別の世界で生まれ育って、こっちの世界に……まあ、転移してきたんだよ」

「……」

2人ともその意味を測りかねて考え込んでいたが、やがてラインハルトが口を開いた。

「そうか、あのとんでもない知識はそのせいなのか」

「ああ。俺が元居た世界には魔法は無かった。代わりに科学が発達して人々の暮らしを支えていたんだ」

「それがどうしてこの世界に?」

当然の疑問である。

「向こうの世界で死にかけて、危ない所を礼子が召喚してくれたんだ。まあその時はまだ今の礼子じゃなかったけどな」

「召喚!?」

「死にかけた、の?」

驚くポイントが違うが、やはり衝撃的な内容だったのだろう。

「しょ、召喚って……しかも異世界から? はあ、ジンの口からでなければ一笑に付す所だよ」

「ジン兄が死にかけるなんて信じられない」

仁は苦笑して更に言葉を続ける。

「まあ、そうだろうな。礼子……の元になった 自動人形(オートマタ) だって、俺を見つけるのに1000年かかったらしいし」

「1000年!? ちょ、ちょっと待ってくれ。1000年だって?」

1000年という年月にラインハルトは最早我を忘れそうだ。

「ああ。その 自動人形(オートマタ) を創った人の名前はアドリアナ・バルボラ・ツェツィ。俺の先代だ」

「ええええ!?」

ラインハルトの驚きは頂点に達した。

「じゃあ、ジン兄は、アドリアナ・バルボラ・ツェツィと会った事があるの?」

そのエルザの言葉に仁はかぶりを振る。

「いや、記録でしか知らないんだ。召喚後、先代の魔法によって、残されていたその魔法知識を受け継いだんだよ」

「…………」

しばらくの間沈黙の時が流れる。

今度先に口を開いたのはエルザの方だった。

「ジン兄が普通じゃない理由がわかった。話してくれたのは私たちが初めて?」

仁は肯く。

「ああ、こんな事、吹聴して回るような話じゃないしな。おかしな奴に目を付けられるのは御免だったし」

とそう言ったのだが、

「……それは無理」

とエルザに言われてしまった。

「今でも 統一党(ユニファイラー) に目を付けられている。エリアス王国でもエゲレア王国でもジン兄は目立っていた」

「だよなあ」

それは仁も承知している。

「この島に籠もっていればそんな事もなかったんだろうけど、やっぱり1人というのはなあ」

周りがゴーレムだけというのは寂しいものだ。

仁がそう言うとエルザは安心したように肯き、

「よかった。ジン兄もちゃんとした性癖だった」

などと言う。相変わらず、人形好きな性癖があると心配していたらしい。

「ところでエルザ、その『ジン兄』ってのは何だ?」

ずっと黙っていたラインハルトが口を開いた。

「私はもうランドルの家を捨てた。そんな私をジン兄は妹分にしてくれた。だからジン兄」

それを聞いたラインハルトは腕を組み、

「うーん、そうか。エルザの事があったんだな……」

そう呟いて少し考え込む顔をした。

そしてあらためてエルザの顔を正面から見つめ、

「やっぱりお前はもう戻るつもりはないんだな?」

と真剣な顔で尋ねたのである。