軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

31-17 カイナ村で

蓬莱島時間午後4時20分、カイナ村では午後2時である。

仁とエルザ、礼子とエドガーはカイナ村にある仁の拠点、二堂城前広場へと『コンロン3』で移動した。

「さて、バロウとベーレはいるのかな?」

円満退職を決めた後、どうするか決めるための猶予期間として休暇を与えていたのである。

あれからおよそ1月。彼等の結論も出たことだろう。

「あっ、ジン様!」

「お、遅れて申し訳ございません!」

ばたばたと、文字どおり音を立ててバロウがやって来た。

「そんなに慌てなくてもいいよ」

苦笑する仁。

「そ、そういうわけにも……ああっ! そうだ!」

「ど、どうした?」

慌てるバロウに、何か厄介事でも生じているのかと身構える仁。

「その、ご結婚、おめでとうございます!」

「あ、ああ、ありがとう」

そこへベーレもやって来た。

「ちょっとバロウ! なに外で立ち話しているのよ! ……ジン様、エルザ様、ご結婚おめでとうございます!」

バロウには厳しく、仁とエルザにはにこやかに。見事な変わり身を使うベーレであった。

* * *

「今日のご予定は聞いております」

二堂城3階の執務室で仁はバロウとベーレを前にして打ち合わせをしていた。

「そうか。それなら話は早い」

老君からバトラーを経由して聞いているようだ。

「『自動車』という馬なし馬車を使って、村の中を回るつもりだ。バロウとベーレはゴーレム馬で付いてきてくれ」

「はい!」

「はい」

他には二堂城勤務である5色ゴーレムメイドの101番とバトラーB、Cが付いてくることになる。

パレードなので人数が多いのは仕方がない。

「二堂城を出て、道筋は……」

おおよその段取りを確認していく仁。

「で、戻って来たら即宴会になるようにする」

「え、でもメイドさんたちが」

二堂城勤務の5色ゴーレムメイドはパレードに随伴するのでそれを危惧しているのだ。

「そこはそれ、増援を呼んでいるから大丈夫だ」

蓬莱島からそれぞれ10体ずつ呼び寄せる予定である。

もちろん、食材もその時に取り寄せるし、一部は向こうで調理してから持ってくることも考えていた。

「……と、以上だな」

「わかりました」

時刻は午後3時半。パレードまであと30分である。

* * *

「……まだかな?」

「もう来る頃だよ」

マーサ宅では、ハンナが今や遅しと、仁たちが来るのを待ち構えていた。

遠くで歓声が起こる。

「ほら、来たようだよ」

歓声がだんだんと大きくなり、近付いてくる。

「……ジンにーちゃんおめでとう!……」

「ジン、おめでとう!」

「おめでとう、エルザねーちゃん!」

「お幸せに!」

「やっとか、この野郎! エルザちゃんを泣かせるなよ!!」

村人総出で仁たちを祝福し、お祝いの言葉、歓声、そして子供たちは花を投げたりもしている。

「おにーちゃん、おめでとう!」

仁とエルザを乗せた自動車がマーサ宅の前に来た時、ハンナは目一杯大きな声で祝福の言葉を投げた。

仁とエルザはそれを聞き、ハンナと目を合わせ、にこやかに手を振ったのである。

「わあ、おねーちゃん、きれい」

仁たちの自動車の後ろには村人たちが列をなして付き従っている。

ハンナもその中の、子供たちの一団に混じって歩き出した。

「ジンにーちゃん、おめでとー!」

「エルザねーちゃん、おめでとー!」

「ジン、おめでとう! エルザちゃんを大事にな!」

「泣かすんじゃねえぞ!」

皆、心からの祝福を叫んでいる。

(おにーちゃん、おめでとう……)

嬉しい半面、ちょっぴり寂しいハンナであった。

* * *

パレードは村を一巡りして二堂城へ戻る。

そしてそのまま宴会に突入した。

とはいえ、村を代表して、村長ギーベックが一言。

「ジン、エルザさん、結婚おめでとう。お二人が末永く添い遂げられるよう、村人一同祈っています」

本当に一言だけであるが、万言を費やすよりも気持ちがこもっていると仁とエルザは感じていた。

宴会に出されたのは各国から取り寄せたさまざまな食材を使った料理。

「ジン、おめでとう。お前もついに家庭持ちか。頑張れよ」

「はい。ありがとう、ロックさん」

今日は無礼講なので、皆仁の前に来て一言二言話してからまた宴会に戻って行く。

「エルザちゃん、ほら、うちの子こんなに大きくなったのよ」

「わ、かわいい」

去年の6月に生まれたヘンリーを抱いたパティがやって来た。出産時は難産で大変だったが、サリィとエルザの尽力で母子とも健康である。

「今度はエルザちゃんね」

「え、あ、う」

こうした話題にはまだまだ耐性のないエルザである。

「おめでとう、ジン。これからもっともっとしっかりして、エルザちゃんを守ってやらなきゃ駄目だよ」

「はい、マーサさん」

「エルザ、言いたいことがあったらはっきり言うこと。我慢して溜め込むのが一番よくないことだからね」

「はい、サリィ先生」

それからも村人たちが入れ替わり立ち替わり仁とエルザの下を訪れていく。

仁とエルザの結婚『疲労』宴カイナ村篇はこうして過ぎていくのであった。