軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

30-16 1日目終了

〈『 ゴーレム競技(ゴンペテイション) 』午後の部は、『的当て』です。50メートル離れた的に玉を投げて正確さを競います〉

円形の的の直径は3メートルあり、同心円が描かれている。

3メートルの円の中に2メートル、1メートル、30センチと3つの円があって、それぞれで得点が異なる。

一番外側の3メートルの円に当たると10点。2メートルの円で30点。1メートルの円で60点、30センチの円に当たれば100点がもらえる。

1体につき、練習1回の後3回投げることができ、そのうちの高得点2回を集計して得点とする。

まずは練習。ゼッケンの順に一回り。

〈さあ、各選手の練習が終わりました。まずは1番、 鋼鉄騎士(シュタールリッター) からです! 構え……投げました! 30点です!〉

1回の練習でコツを掴むのはなかなか難しいが、 鋼鉄騎士(シュタールリッター) はいきなり的に当ててきた。

的には青い跡が付くのでよくわかる。

〈続きますは2番、ザーベラー。投げました! 30点です!〉

〈1番・2番共当ててきましたね。優秀ですね〉

このまま高得点が続くかと思いきや、3番、4番、5番、6番と連続で無得点。

〈やはり難しいのでしょうね〉

(よく見えないけど、投げている玉って丸くない気がするんだが、礼子、わかるか?)

(はい、お父さま。不規則な形をしています)

それもそのはず、当たると的に色が付くようにしているので、構造としては芯になる鉄球、その周りにインクを含んだ布を巻き付けてあるのだ。

因みに2投目は赤いインク、3投目は黒いインクの玉が用意されている。

だがそれ故に空気抵抗を受けて、なかなか狙った所へ行かないということになっているわけだ。

〈15番、10点です!〉

〈16番、10点です!〉

だが、ちらほらと1投目から得点を上げる者も出ていた。

そして40番。

〈30点! 3人目の30点です!〉

やはり、ドナルド・カローの 古き戦士(アルトクリーガー) はいい性能をしている、と仁は思った。

そして仁も注目する41番。

〈またもや30点です! これで4人!〉

(やはり、こいつも侮れないな……)

さらに警戒する仁であった。

〈さあ2回目となります。2回目は41番から始めてもらいます!〉

『ファントム』が、今度は赤い色の玉を掴んだ。そして、投げる……。

〈おおっ! 100点! 100点が出ました!〉

(やはり学習能力が高いな……)

特定の技術の習得だけが早いのではないということは、 制御核(コントロールコア) の処理能力が高いということを物語っている。

仁は、そばでじっくりと解析してみたいものだ、と思うのだった。

試技は進んでいく。

〈やった! やりました! 40番 古き戦士(アルトクリーガー) 、100点です!〉

古き戦士(アルトクリーガー) も2度目は精度を一気に上げたようだ。

そして、35番 鉄戦士(アイアンウォリアー) が30点、16番 蒼天の騎士(ブルーナイト) も30点。

上位陣は確実に点を取っていく。

2番ザーベラー、1番 鋼鉄騎士(シュタールリッター) は共に60点を上げた。

〈泣いても笑っても最後、3回目の試技です!〉

今度は1番からである。投げるのは黒い色の玉だ。

〈惜しい! 1番 鋼鉄騎士(シュタールリッター) 、惜しくも30点に留まりました!〉

1度目が30点、2度目が60点、3度目が30点なので、上位2回を足すと30+60=90点、これが 鋼鉄騎士(シュタールリッター) の得点となる。

〈2番ザーベラー、またも60点!〉

〈16番 蒼天の騎士(ブルーナイト) 、30点!〉

〈35番 鉄戦士(アイアンウォリアー) 、60点を出しました!〉

〈40番 古き戦士(アルトクリーガー) 、残念! 60点です!〉

前回は100点だったが、今回はインク玉が不出来だったようで、軌道が定まらず、60点に終わった。

そして41番である。

〈投げました! ……やりました! またもや100点です! これはすごい!〉

この時点で『ファントム』の1位が決まった。

結局のところ。

1位 ファントム 100+100=200点

2位 古き戦士(アルトクリーガー) 100+60=160点

3位 ザーベラー 60+60=120点

4位 鋼鉄騎士(シュタールリッター) 30+60=90点

4位 鉄戦士(アイアンウォリアー) 30+60=90点

となった、4位は同率である。

なお、人気の高い 蒼天の騎士(ブルーナイト) は60点で8位。

〈さあ、的当てが終わり、本日の競技は終了です。……解説のトルフさん、大分上位陣が絞られてきました〉

〈そうですね。下位は得点がゼロですから、ここからの巻き返しは難しいでしょうね〉

〈明日は自由演技と模擬戦になります、楽しみですね〉

〈はい。特に自由演技は各製作者の特色が出ますからね〉

時刻は午後4時近く。

〈それではそろそろ本日の放送を終わります。解説はトルフェデスト、通称トルフさんと、司会の私、エムサストンことエムシィでお送り致しました〉

〈それではまた明日〉

こうして ゴーレム競技(ゴンペテイション) 1日目は終わりを告げた。

* * *

「うーん……」

仁は、用意された貴賓室でソファに座って考え込んでいた。

「ジン兄、何考えてるの? 少し休憩したら?」

そこへ、深紅色をしたフレッシュジュースを持って、エルザがやってきた。

「お、ありがとう。喉が渇いていたんだ」

「ん」

エルザからジュースを受け取った仁は、半分ほどを一気に飲み干した。

「ふう、美味いな、これ。でも初めての味だ」

「『グレナード』だって。セルロア王国産の『ザクル』って果物から作るらしい」

そのままでは酸味がきついので砂糖を入れて調整するらしい、と説明するエルザ。

砂糖を使うので、高級飲料に分類されるようだ。

「甘酸っぱくて、美味しい」

「うーん、でも砂糖が入っているんだろう? 元の果汁はきっと酸っぱいんだろうな……」

正解である。

『ザクル』は、現代日本でいう『ザクロ』に近い果実であった。

残り半分を飲み干した仁は、エルザにありがとう、と言った。そして続けて、

「……で、だな。さっき気が付いたんだが、今回飛び入りで参加した41番な。あれ、おそらくはエゲレア王国に現れたものとは違うぞ」

と、昼間の競技で気が付いたことを述べた。

「え、どうし……ああ、『重さ』」

仁は頷いた。

「正解。重力魔法を使っている感じもしなかった。あいつは少し重いくらいで、5倍も重いなんてことはない」

「……謎のゴーレムは何体もいる、ってこと?」

「それがわからないんで悩んでいたんだ」