軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

追い求めた真実は残酷で-4

「生き続けているって……その、千年もあの化け物の体内でってこと? あなたたちは自分の身体を用意しているってことで納得はしたけど、どうやって……?」

星喰いデミスの体内で、それも千年も生き続けていることが信じられず、タカコは驚愕の表情を浮かべた。

「星喰いデミス……どれだけの威力のある兵器を用いても、途中で星喰いデミス自身に破壊されてしまうか、星喰いデミスによって変化させられたモンスターたちに喰い止められる。攻撃が命中しても、そもそも星喰いデミス自身の耐久力が高すぎるせいで微々たるダメージしか与えられない」

しかし、来栖はタカコの質問に答えることなく、一同の目の前に再び、過去に星喰いデミスと戦った時の映像を映し出すと順を追うように話始めた。

映像に流れるラストスタンドが放つ驚異的な魔力銃器による砲撃、アースに取り付けられた巨大な砲台から放たれる極太の 熱線(レーザー) 、爆薬の詰められた鉄塊から巻き起こされる爆発、過去の超人たちが放つ様々な威力の技、魔法、その全てが星喰いデミスに決定的なダメージを与えられずに終わっていた。

どうすれば倒せるのかもわからない正真正銘の怪物の姿がそこにはあった。

「どうやっても倒せない敵を前に、最早、人類は地下に籠って永遠の眠りにつくしかない……そう諦めかけていたときのことだ。彼女を含める超人たちが最後の賭けに出たのは」

映像に流れるその超人たちの行動から、来栖の言う賭けがなんなのかはすぐにわかった。

星喰いデミスは球体状の形をしているが、綺麗な球面ではない。全身にウネウネと動く触手のようなものを張り巡らせ、所々にデコボコと穴が開いている。

その中でも特に大きく開かれたラストスタンドが優に数体入れるだろう穴の中へと、過去に人型殲滅兵器と呼称されていたラストスタンドを含めるロボットの数々、そして超人たちが次々に乗り込んだからだ。

直後、外で戦っていた紫色の化け物を含めるモンスターたちが突然交戦の手を止めて、体内に侵入した超人たちを追い出すべく、追いかけて大穴へと乗り込んでいった。

「慌てぶりからもわかるだろう? 体内に潜られては困る理由があるのか、モンスターたちはこぞって彼女たちを追いかけた」

「……中に入った人たちはどうなったんだ?」

映像はそこで止まり、鏡は突入した超人たちの安否を心配するように問いかける。

「誰も戻ってはこなかったよ……恐らく、皆死んだだろうね」

「でも、そのリーシアって人は生きてるんだろ? 誰も戻ってきてないのにどうしてそのリーシアって人だけ、生きてるのがわかるんだ?」

「僕が彼女に送った指輪から、今も反応があるからさ」

「指輪?」

「彼女はヒーローで、人々のためにいつも戦っていた。いつ死ぬかもわからない状況で帰りを待つのが心臓に悪かったのでね、彼女がつけた時にのみ生体反応を示す指輪を送ったのさ。それと、彼女は取り込んだ遺伝子によっては見た目が変化することもあってね、どれだけ見た目が変わっても……彼女だとすぐに見抜けるようにね」

その時来栖は、どこか寂し気な表情を見せた。

それが何を意味するのか、ライアンが浮かべていた気の毒とでもいうかのような表情からも読み取って、タカコとパルナは察してしまう。

「その指輪は、彼女の核となる遺伝子を読み取って反応を示す。彼女がまだ生きているのは間違いないよ。少なくとも……星喰いデミスが眠っているのがその証拠だ」

「生きてるって……千年もか? 眠ってるから……証拠ってどういうことだ?」

そして、どうして来栖がこんなにも必死になっているのかにも気付き、自分たちにした仕打ちをまだ許してはいないとはいえ、気の毒に思えてしまった。

「タカコさんも言ってましたが……リーシアさんはどうやって千年も星喰いデミスの体内に?」

少なくとも千年も生き長らえるのはおかしい。そう考えてクルルは説明を求める。

「これは……僕の推測でしかないが」

来栖は暗い表情になって小さくため息を吐くと、そこで一度言葉を切ると――、

「彼女は星喰いデミスと同化して生き永らえている」

自分でもその可能性を考慮したくないのか、苦しそうな表情でそう漏らした。

「同化……? リーシアさんも他の人たちと同じように星喰いデミスに取り込まれたということですか?」

「いや、そうじゃない……逆だよ」

逆という意味が理解できず、クルルは首を傾げる。

「星喰いデミスの内部がどうなっているのかは未だにわからない。だが……あれは間違いなく生命体であって意識が存在する。だから彼女と僕はこう考えた……人間と同じように身体に信号を送っている脳のような、核となる部分が必ずあるはずだと」

「だろうな」

そこで、来栖が放った逆という言葉の意味も、どうして超人たちが星喰いデミスの内部に入りこんだのかも悟った鏡が、頬に汗を垂らしながら反応する。

「さっきの映像でも体内に侵入したら追い出すようにモンスターたちが動いていたし……指令を出している部分はありそうだ。それを破壊するために……超人たちは星喰いデミスの身体の内部へと入り込んだってところだろ?」

「そうだ。そして彼女たちは……その核を見つけることに成功したのさ」

「見つけたって……どうしてわかるんですか?」

憶測で話しているはずなのに、確信めいた表情を見せる来栖にクルルが問いかける。

「星喰いデミスが、眠ったからだよ」

だがその一言で、クルルだけではなく、タカコたちも理解したのか「……まさか」と各々に口漏らし、驚愕の表情を浮かべた。

「彼女は笑いながら言っていたよ。『いざとなったら我が星喰いデミスを取り込んで、取り込まれる側の恐怖を教えてやる』ってね。まさか、本当にやるとは思わなかったけど」

リーシアが超人として持っていた能力は、相手の遺伝子を取り込んでその性質を自分の力にすること。星喰いデミスの遺伝子を取り込み、その力を使うことでリーシアは星喰いデミスの核とも呼べる部分との同化を果たした。

その結果がもたらしたのが、今へと繋がる時間だった。

「目的は核……コアの破壊だった。でも……コアを破壊するだけの戦力も、力も残されていなかったんだろうね。だから、星喰いデミスは死ぬんじゃなくて眠ったんだ」

同化を果たしたリーシアが最初に起こした行動は、星喰いデミスの意識に干渉してアースから離れ、紫色の化け物たちをその身へと収容させることだった。そして戦いが終わり、人類は星喰いデミスによる恐怖から解放される―――はずだった。