軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第69話:王立図書館 その2

――オレア教の教主オリヴィア。

苗字はないが、『花コン』にも登場したキャラである。ただし名前だけで立ち絵はなく、登場もメリア関連のルートで『魔王』と戦う前に登場するだけのサブキャラ以下、モブキャラ以上といった感じの立ち位置だ。

ただし、この世界に生まれて貴族として教育を受けた身として断言するが、オレア教の教主という立場は断じてサブキャラでもモブキャラでもない。その重要度は『花コン』のメインキャラクターと比べても高いだろう。

言うなれば、『魔王』側の 指(・) し(・) 手(・) が『魔王の影』なら人類側の指し手こそがこのオリヴィアである。

オレア教を運営しつつ、アーノルド大陸全土の国々のパワーバランスを取りつつ、『魔王』の発生が少しでも遅くなるよう負の感情の発生を抑えたり、正の感情が増えるよう様々な技術や概念を開発して広めたり、それらを餌に各国と交渉したりととんでもない御仁である。

たしかに、ああ、たしかに王立図書館はオレア教の関連施設だ。メリアがいる場所だし、間違いなくオレア教の縄張りみたいなものだ。

しかし、である。まさか教主たる人物がこんなひょっこりと顔を見せるなんて思わないじゃないか……というか『花コン』でもこんなところで遭遇はしなかったじゃないか。いや、今となってはわからないが、立ち絵がないから気付かなかっただけで実はいたのか?

「面白い表情をしていますね」

そう言って口元だけ微笑んだように見せたオリヴィアだが、目が笑っていない。怒っているのかと思ったが、どうやらそれが常の表情らしい。

自己紹介を終えたら書架から離れた場所にある休憩用のスペースに誘われ、断るに断れない俺はそのまま移動。勧められるがままに椅子に座り、机を挟んでオリヴィアと対峙することとなっていた。

オリヴィアはというと、懐から取り出した振るタイプの小さい呼び出しベルを鳴らし、どこからともなく現れた修道服姿の少女に紅茶と菓子を持ってくるように言いつけている。おそらくはオレア教の人間だろうけど、数分と経たない内に戻ってきて配膳を行い、そのまま音を立てることなく姿を消してしまった。

(身のこなしが達者過ぎる……この人の従者か? 普通に考えるなら護衛だろうけど、護衛が必要とは思えないしな……)

やばい、マジでどうしよう。なんでこんなことになったんだろう。不安に負けてメリアがいるかを確認しにきたのがそんなに悪いことだというのか……うん、『花コン』のことを考えれば悪いことだったわ。何故か顔を覗かせてきたしさ。

「別段特徴がある顔ではありませんが、面白く思っていただけたのなら幸いですよ」

俺は供された紅茶に手を伸ばし、香りを確認してから口をつける。毒の有無を探ったわけではなく、どこの産地のものか確認するためだ。

(この香りと味は……クレヴァリー家の銘茶か? 以前 社交界(パーティ) でクレヴァリー家のリネット嬢と話したが……まさかあの場にオレア教の手勢がいた? 偶然か?)

相手が相手だけに全てが怪しく思えてしまう。実は以前から監視されていた可能性すら脳裏を過ぎった。

「毒とは思わないのですか?」

「毒を用いずとも殺せる小僧相手に、わざわざそんな手間はかけないでしょう?」

どこかからかうような言葉に対し、俺は苦笑するように答える。初陣での一騎打ちから異常成長したダンジョンでの防衛戦と、それなりに濃い経験を積んできたつもりだが眼前の女性には到底敵わないだろう。

ランドウ先生ほどではない――とは思うが、俺よりも高い実力があるというのは肌で感じ取れた。

そんな強者の強さを感じ取れるぐらいには俺も強くなったのか、剣士として感覚が鋭くなったのか。そのため開き直って観念し、俺は紅茶と菓子をゆっくり味わう。もしかすると最期の食事かもしれないしな。

「ふむ……なるほど、なるほど……噂に違わぬ豪胆さ。しかしところどころに演技の色がある。さすがは東部の雄、サンデューク辺境伯家ですね。嫡男に対して素晴らしい教育を施しているようです」

「……実家をお褒めいただき、光栄ですね」

話だけ聞いていれば褒められているようだが、その瞳が全てを台無しにしている。言葉や口元は柔和で友好的だというのに、瞳が、目付きが、取るに足らないもの見るように冷めきっているのだ。

(しかし、それならなんで声をかけてきたのやら……読めなさ過ぎて怖いな)

改めてオリヴィアを見る。外見だけを見れば美しい女性だ。 体形(スタイル) はスレンダー気味ながらバランスが良く、身長は俺と同じぐらいで百六十センチを僅かに超えた程度だろうか。

光の加減によっては白色にも見えそうなぐらい薄い黄色の髪――これは金髪でいいのだろうか? そんな色合いの髪を肩口でバッサリと切ってボブカットにしている。

青色の瞳をこちらに向けてじっと見つめてくるが、やっぱり俺を見ていない気がする。視線は向けているけど意識していない……そんな感じの眼差しだ。

先ほどの体捌きを見た限り、接近戦を相応にこなせるが本質は魔法使いだろう。それもモリオンと似たような万能型で、モリオンとの違いがあるとすれば上級魔法さえ扱えそうな雰囲気がある点か。あくまで雰囲気だから確証はないけども。

「それで、先ほどの件ですが……失礼いたしました」

さりげなくオリヴィアを観察していたが、視線を向け過ぎないよう注意して頭を下げる。実際に剣を抜いたわけではないが、抜こうとしたのは事実だからだ。

「ああ、お気になさらず。妙な気配がしたから様子を見に来たのですが、噂のサンデュークの神童とやらがいたので背後を取って反応を見ただけですから」

こちらこそ謝罪します、と頭を下げるオリヴィア。なんというか、掴みどころがない反応だった。それでもオレア教の教主相手に無礼を働いたことを お(・) 互(・) い(・) 様(・) で済ませてもらえるなら助かる。

(いくら俺が辺境伯家の嫡男っていっても、さすがにオレア教の教主相手だとどうにもならないからな……)

望んだ名声というわけではないが、名前が売れた今の俺でもオレア教が敵に回るとすればレオンさんに切り捨てられるだろう。しかし、なんでわざわざ背後を取って殺気というか妙な気配を叩きつけてきたのやら。

(……でも、お互い謝罪し合ったことを蒸し返すのはまずいか)

何か興味を引いたのだろうか。あるいは話の通り、俺がいたから興味本位に行動してしまったのだろうか。

「しかし、何故王都でも噂になっている方がここに? 入館許可の申請が出ていたのは知っていますが、何か気になることでも?」

なんでオレア教の教主って名乗ったのに、王立図書館の入館許可の申請云々ってぶちまけてるんだこの人……あ、カマかけか。

「ダンジョンの異常成長に巻き込まれたので、過去の事例を詳細に知りたくなりましてね。しかし、王城に対して申請した内容すら把握されているとは、オレア教の教主という立場は大したものですね?」

「王家の方々とは懇意にさせていただいていますからね」

そう言って微笑むオリヴィアだが、俺が入館許可を申請したのは担当の部署であって王族の面々じゃないんだよなぁ……この図書館がオレア教の管理下にあるって前提で話をスルーしてたら、何かヤバい地雷を踏んでいた気がするわ。

俺がそんなことを考えていると、オリヴィアが再び呼び出しベルを振って修道服姿の少女を呼ぶ。そして小声で何事かと呟くと、少女が姿を消してすぐに戻ってきた。オリヴィアはそれを確認すると、呼び出しベルを逆さまにして机に置く。

「この王国では過去に三度、ダンジョンの異常成長が起きました。その時の情報をまとめたものがこちらになります」

「……ありがとうございます」

少女から差し出された本を受け取り、俺へと差し出してくるオリヴィア。いや、なんなの? 思わずお礼を言って受け取ったけど、なんか怖いんだけど?

殺気とは異なる、違和感にも似た嫌な気配。状況が状況だけに強い困惑が原因で感覚が誤作動を起こしているだけって感じもするが……ん?

(呼び出しのベル、なんでそのまま机に置いた? もしかして『真実の鐘』か?)

先日、キドニア侯爵も『真実の鐘』を使っていたことから、つい過敏に反応してしまう。呼び出しに使ったベルだから『真実の鐘』じゃないとは思うものの、そう思わせて……なんて疑ってしまったのだ。普通に使える『真実の鐘』があってもおかしくないし。

「そちらの書類は?」

せっかくだからと渡された本の内容を確認しようとしたが、オリヴィアがこれ見よがしに書類を取り出したため話を振る。聞けってことだろう、多分。

「先日起きた『王国北部ダンジョン異常成長事件』に関する詳細です」

「……それを俺の前で読みます?」

最早取り繕っても仕方ないと判断し、素の口調で尋ねる。オリヴィアはそんな俺の問いかけに何も答えず流すと、どこからともなく 片眼鏡(モノクル) を取り出して右目にかけた。そして俺の訝しげな視線に気付くと、指先でクイ、と片眼鏡を持ち上げる。

「ああ、コレですか? 歳を取るとどうにも不便でしてね」

「そんな発言が似合う年齢には見えませんが……俺よりいくつか年上ぐらいでしょう?」

前世を含めなければ十二歳の俺が言うセリフではないが、オリヴィアは外見だけで判断するなら二十歳程度。前世と比べてこの世界の平均寿命が短いとしても、歳を取ったというには少々早いだろう。

そのため二十歳――というと怒られるかもしれないため、更に数年引いた表現で尋ねる。

「ふふ……お上手ですね。年若くとも貴族の生まれらしい 如才(じょさい) なさです」

「如才って……」

普段聞き慣れないというか、意味は知っていても話し言葉では使わない単語が出てきた。それだけで判断するなら年配の方っぽい気がしないでもないが……。

「あー……女性にお尋ねするのは恐縮ですが、おいくつで?」

「百から先は数えてないわ」

ん? 口調が崩れた? 女性相手に年齢の話はまずいとは思ったけど、違う方向で何か引っかかる部分があったか?

(まあ、さすがに冗談だろ……冗談だよな?)

小粋なジョークというには難があるが、きっと冗談だろう。『花コン』ではさすがに不老不死の存在は登場しない。不老という意味では『魔王の影』は何百年と生きることができるものの、殺そうと思えば殺せるから不死とは呼べないだろう。

ただし、寿命を延ばすような能力を持っている『召喚器』が存在する可能性は否定できない。

『花コン』のキャラの中には嵐を巻き起こすような能力を持つ『召喚器』の持ち主もいるのだ。大規模な嵐と比べると、人ひとりの寿命を延ばすぐらい大人しいものだろう。これが完全な不老不死となると難しいだろうが、と俺は思考を巡らせる。

「あなたは……」

不意に、オリヴィアが 俺(・) を(・) 見(・) た(・) 。それまでと異なり、俺という個人を認識したように片眼鏡越しに小さく目を見開いている。

「わたしの知り合いに似ている気がするわ。遠い……遠い昔に死に別れた、大切な友人に」

「……いきなりですね」

本当に自分の年齢を信じさせたいのか、昔を懐かしむようなことを言い出したな、おい。ただ、俺の何に反応したのか、それはわからないが。

「話が逸れましたね」

だが、数秒もしない内にオリヴィアが元に戻る。そして再度片眼鏡越しに俺へと視線を向けてきた。

「ふむ……」

「なんですか? って、まさか!?」

片眼鏡から感じる違和感――おそらくは『召喚器』によるものだと判断した俺は咄嗟に身構えてしまう。

「勘は良い。身体能力も同年代の中では上位。実戦経験も積み、大きな功績も挙げた。魔法の才能は皆無。『召喚器』は……常時発動している? なんとも曖昧ですね」

詳細は分からないが、おそらくは片眼鏡型の『召喚器』だ。形状と言葉から推察するに、相手を見ることで情報を得る『召喚器』だろう。ゲーム的な表現でいえば相手のステータスがわかる能力だろうか。

「……相手の能力を見る『召喚器』ですか?」

「頭の回転も良いですね。次代のサンデューク辺境伯家は安泰……いえ、更なる隆盛を迎えそうです」

俺の質問に対して肯定するような返答があったが、オリヴィアは意地悪そうに口元を歪める。

「まあ、逆に没落したり、滅んだりする可能性もありますがね」

「…………」

オリヴィアの言葉に俺は沈黙を選ぶ。相手がオリヴィアでなければ即座に決闘を申し込まなければならないレベルの 暴(・) 言(・) だったが、こんなにも得体の知れない相手なのだ。一々怒っていてはキリがないし、どうにも試されている気がしてならない。

「……ふむ。失礼を謝罪しましょう。忍耐強い……いえ、性格が冷静というわけでもありませんか。こちらの意図を読まれましたかね」

その若さで大したものです、と褒めてくるオリヴィア。そのついでに謝罪のように小さく頭を下げてくるが、俺としてはもう、 そ(・) う(・) い(・) う(・) 生(・) き(・) 物(・) だと判断して対応するしかない。

(サンデューク辺境伯家が没落したり、滅んだり……『花コン』だとルートによっては実際に起きることだからな。ミナトはその引き金を引くし、俺に怒る権利はねえ……でも、いや、まさか……)

本当に、まさかとは思うが。俺の反応を確認するための挑発だろうけど、オリヴィアは『花コン』に関して知っている――なんてことはないだろうか? 片眼鏡型の『召喚器』で俺の内心や考え、知識を読んだ可能性もあるが、それならもっと大きな反応がありそうだし……。

(もしもそうなら是非とも協力してほしいな。うちは辺境伯家だけど、オレア教の教主なら影響力は桁違いだ。『花コン』の主人公が召喚されたなら色々と手を打てるし、誘導もしやすくなる)

『花コン』では主人公がアイリスをはじめとして仲間を募り、学園内の依頼を達成したり、ダンジョンに挑んだり、学生らしく遊んだりと様々なことを行う。

他にも授業に参加する、自主訓練をする、新しい仲間を探す、既に出会っている仲間と交流する、買い物をする、錬金術でアイテムを作る等々、主人公を育てる方向性や攻略したいルートに向けてプレイヤーが選択し、ゲームを進めていくことになる。

学園を舞台としたゲームとしては無難というか、必要なものは全て揃っていると言えるだろう。だが、転生してからこの世界で生きてきた身としては、それらの中に一つだけおかしな選択肢が混ざっているように思えてならない。

それは、『ダンジョンに挑む』という選択肢だ。

先日異常成長したダンジョンで防衛戦をした経験から言わせてもらえば、周回プレイ以外のパターンで召喚されたばかりの主人公がダンジョンに挑めば死ぬだろう。

一応、『花コン』で序盤に挑めるのは王都近辺の比較的小さく、出現するモンスターも弱いものばかりのダンジョンだけになるが……前世で学生もやっていた身としては、いきなり猛獣と戦えと言われるようなものだと思う。

小規模ダンジョンの破壊方法がボスモンスターの討伐だった場合、中規模ダンジョンの雑魚より高いレベルとステータスのモンスターが配置されるのだ。先日のダンジョンでたとえるなら、強めのリッチや 通(・) 常(・) の(・) デュラハンと遭遇するようなものである。

そんな危険な場所に学生が挑めるのだろうか? 『花コン』のイベントでも授業の一環としてダンジョンに挑むことはあったが、それは将来領地内のダンジョンを管理する貴族として、実際にどんな場所か体験するという話だった。

だから、この世界で『花コン』の主人公が本当に召喚されたとして、ダンジョンに挑めるのかという疑問があるのだが――。

(『花コン』のシナリオが進むと、『魔王』の発生が近付くにつれてダンジョンが発生しやすくなったはず……それで各地の領主の手が回らなくなって学園にもダンジョンを破壊する依頼が来た、っていうシナリオだったが……)

ダンジョンを比較的安全に破壊しようと思うなら、大軍を投入すれば良い。しかしそれでは手が回らず、少数精鋭で侵入してダンジョンを破壊するという方法を取ることになる。

『花コン』に登場するメインキャラクター達はミナトを除き、全員が全員、才能に溢れた存在だ。そんな彼ら、彼女らがパーティを組んでダンジョンに挑めば攻略は難しくないだろう。

『王国北部ダンジョン異常成長事件』のように特定の場所を防衛する必要はなく、自由に動けるため、モンスターと常に戦うようなことは起こり得ない。

ゲームと違ってエンカウント率が設定されているわけじゃないだろうし、戦いの音や規模が大きければ周囲のモンスターが気付き、増援として駆け付けるだろうけどさ。

そんなわけで、オリヴィアに『花コン』のことを話して協力を求めるというのはアリかナシかでいえばアリだと思う。

問題は、話して信じてもらえるか。

そして何よりも、オリヴィアを信用して良いのか。

俺の話を信じてもらうのは簡単だ。『真実の鐘』を用いて嘘がないことを証明すれば良い。

だが、眼前のオリヴィアを見ると悩んでしまう。この人物に『花コン』のことを伝えた場合、とんでもなくまずい事態に陥るのではないかという不安が胸の内に湧いてくるのだ。

(信用や信頼は横に置くとして、オレア教の教主だから協力を得られれば本当に助かる……はず……でも、なんだろうな。話すとヤバい気がする……)

それは根拠のない勘だ。剣士としての直感ではなく、貴族として受けてきた教育がそうさせるわけでもなく、オリヴィアと言葉を交わした一人の人間としての結論だった。

「『花コン』……」

「……?」

それでも一応は『花コン』――『花と宝石の協奏曲』の略称を呟いてみるが、オリヴィアは不思議そうに首を傾げるだけだ。『花コン』という言葉が何を指すのか頭の中で探しているのかもしれない。

(演技かどうか見抜けねえ……『花コン』って言葉に聞き覚えはなさそう、か。とりあえず、こうして面識を得られた。今はそれで良しとしておこう)

後になって悔いることがあるかもしれないが、今はまだ、詳細は伝えない方が良い。俺はそう判断した。

「そういえば……先ほどは急いでいたようですが、何かありましたか?」

そんな俺の結論を見抜いたわけではないだろうが、こちらの思考が一段落したタイミングでオリヴィアが話題を変える。だが、新しい話題は俺にとって答えにくいものだった。

(やっぱりそれを聞いてくるか……でもあの呼び出しベルが『真実の鐘』なら嘘は通じないし、あの消えた女の子が本当にメリアなら対『魔王』用の切り札が存在している証拠になる……)

俺の心の安寧のために、是非とも確認しておきたいところだ。実際に姿を見たんだし、確認しても嘘にはならないだろう。

「本棚の陰から銀髪の少女が顔を覗かせていまして……声をかけたらいなくなりましてね? 気になったから追いかけてみたところだったんですよ」

さすがに顔を見ただけの俺がメリアの名前を出すのはまずい。そう判断した俺は見たまま、ぼかした物言いで答える。

そんな俺の返答に対し、オリヴィアの反応はといえば。

「――なんですって?」

思った以上に鋭い反応が返ってきて、俺は冷や汗を一筋流すのだった。