軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

人龍

補佐のダンジョンマスターを差し置いて俺を抜擢してくるのか。

それだけ俺の実力を高く買ってくれているのは嬉しい。しかし、いくつかの不安材料もある。

「仕事を貰えて有り難いが、俺とお前は連携訓練なんてしていないぞ。そもそもお前の戦い方すら分からない」

「安心するがいい。最初は余一人で戦ってみせるから、しっかりと目に刻み込め。余は貴様に合わせるのは造作も無い」

なかなか強気な発言だ。勇者と魔王ってライバルだから実力はとんとんな筈なのに、気構えですらこれほど差があるなんて……まあ、俺どちらかと言うと若輩勇者だから仕方ないか。光は受精卵勇者だな。

長く続いた通路を抜けると、巨大な渓谷に出た。草木は全く無くて、赤い地面が広がっている。

写真でしか見たことないがアメリカのグランドキャニオンに似てる。

「気配が消えた!?」

「ううん、多分抑えただけ」

先程まで肌にビリビリと刺さるように感じていた気配が嘘みたいに消えた。

あれだけの気配を消せるのだとすると相当出来るやつみたいだ。危険度二段階くらい上げないとな。

「ゼカイは残れ。キャロルとセクメナは冒険者たちと通路に避難しておけ。どうやら周りに気を使って戦えるような相手ではないようだ」

「あれ、俺は残るんですね?」

「男の子だろう?」

マオがニッと口の端を上げて言うと、ゼカイはげんなりとした表情になった。

「さすがマオ様ー。ジェントルマン」

「よ、ジェントルマオー」

危険から逃れることができるキャロルとセクメナは、拍手しながらマオを褒め称えた。

でも棒読みだな。

「では行くぞ」

「おう」

気配を消したということは、敵は奇襲を狙ってる。いくらマオが最初に一人で戦うとしても、奇襲されれば俺かゼカイがやられるかもしれない。

どこから敵が現れても良いように、三人で背を合わせながら警戒して進む。

しかし、俺達の警戒を無視するように奴は堂々と目の前に現れた。

「その角…………人龍か」

「如何にも」

人龍、人になれる龍か。龍人の真逆の種族だ。

龍人の本質は人、対する人龍の本質は龍、つまりモンスター側だ。

龍人の方が多少友好的なだけで能力的には大差ない。どちらもどれだけ弱い個体でもSSランク以上の脅威がある恐るべき種族だ。

「どうして奇襲してこなかったんだ?」

「隙が無かったので。そこの犬獣人以外は情報が無い上、犬よりも強者の気がするしな」