軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第44話:新たなる行事

リリィのパン屋の視察に行ってから、更に日が経つ。

このルーダの街に来てから、すでに三ヶ月になる。

街でのオレたちの生活は、順調に進んでいた。

「パパ! テストで満点をとったよ!」

まずはマリア。

前以上に初等部の勉強を頑張っていた。

毎日朝から午後までの授業を、真面目に受けている。

定期的に行われる学力テストでも、いつも好成績を収めていた。最年少の五歳にも関わらず、学年トップだった。

「あっ、パパ。こんど、クラウディアちゃんのお家に、またみんなで遊びにいってもいい!」

クラスメイトのクラウディアたちとも、相変わらず仲良くしている。

ルーダの街にあるバーモンド伯爵家の別邸に、クラスメイトと遊びに行くようになっていた。

最近、オレは心配性になってきた。そのためバーモンド伯爵家の別邸に、当初はマリアの様子をこっそり見にいっていた。

「クラウディアちゃんのお家は、お人形がたくさんあるから、楽しいんだ!」

だが監視の心配は不要だった。心配は杞憂。マリアたちは大人しく、女の子的な遊びをしていた。

またバーモンド伯爵家の別邸は、警備のレベルも合格点だった。あれなら普通の賊は、侵入できない。

マリアを遊びに行かせても安心である。

まあ……オレが侵入した気配を感知できないは仕方がない。

何しろ完全に気配を消したオレの感知できる奴は、この大陸の兵法者でも数人しかいないのだ。

「パパ、毎日、楽しいね!」

こんな感じでマリアは笑顔で毎日を過ごしていた。

次に聖女リリィ。

彼女のパン屋の仕事も順調だった。

週に5日の仕事を、一日も休まずにこなしている。

「オードル様。試作のパンを焼いてので、食べてみてくださいませんか?」

最近では家の 窯(かま) で、パンを焼くようになっていた。

店の親方から教えてもらった、初心者向けのパン。まだ形は揃っていないが、かなり本格的な味だった。

さすが元々は実家がパン屋の娘。才能があるのであろう。

このまま順調に修行を重ねていけば、いつか本格的なパン職人になれるであろう。

今後も試作のパンを食べるのが、楽しみである。

「リリィ。すまないが、家の中でも、もう少し厚めの服を着てくれないか?」

「えっ、オードル様? あら、そうでしたわね。大変失礼いたしました」

そんな頑張り屋のリリィだが、家の中ではどこか天然なところがある。

目のやり場に困るから、風呂上がりに、そんな薄着でウロウロするクセは直し欲しい。

白魔狼のフェンも元気にしていた。

パン屋のリリィの警護も慣れてきたのであろう。

最近ではしだいに活動範囲を広げていた。ルーダの街の中を散歩しながら、隅々まで自主的に探索をしているようだ。

「ん? フェン、そいつらは手下の野良犬か?」

いつの間にかルーダの街の野良犬と仲良くなっていた。

白魔狼族の力で従わせたのであろうか?

『ちがうワン、オードル! 彼らはボクの友だちだワン!』

だがオレの予測は外れていた。

フェンは純粋な仲間として、野良犬たちと仲良くしていたのだ。

食いしん坊キャラのフェンだが、意外と人望があるのかもしれない。

『オードル。今日も鍛錬をつけてくれワン!』

あとフェンは戦いの訓練も積極的にしていた。オレが戦いの鍛錬を、フェンにつけてやるのだ。

夕方の空いた時間。家の庭で、フェンと1対1の戦闘訓練。対人戦や対魔獣戦のコツも教えている。

『やったワン! オードルの裏をかけたワン!』

鍛錬のお蔭で、フェンの戦闘能力は向上していた。油断するとオレでも反応できない時がある。

さすがは上級魔獣の白魔狼族。フェンは一族の中でも才能があるのかもしれない。

このままでいけば親の仇を取れる日も近いであろう。

最後に女騎士エリザベス。

彼女は元気にしていた。

体調も常に良好。相変わらずハイテンションだった。

「とほほ……今日も仕事は見つからなかった……」

だが就職活動の方はイマイチだった。

不器用さを発揮して、未だに無職街道を爆走している。

「気にするな、エリザベス。人は向き不向きがある。時を待つのも兵法だ」

オレは無理をする必要はない、とアドバイスしていた。

何故ならエリザベスの本業は“女騎士”であり“戦う”こと。

ルーダは国境から離れているために、平和な街。戦いの無い街の暮らしでは、何もしないことも騎士の立派な仕事なのだ。

「だから今はフェンとオレとの鍛錬に我慢しておけ9

エリザベスも家の庭で、戦闘訓練を行っている。

対戦相手はフェンとオレが交互に。お陰で彼女の戦闘能力も、かなり向上していた。

特に対魔獣戦闘は、徹底的に教え込んでいた。前回の 鉄大蛇(てつだいじゃ) 戦闘のように、魔獣に対して後れをとることもないであろう。

「分かった、オードル……だが、ここだけの話、私だけ無職のままでは恥ずかしいのだ! マリアもフェンも頑張っているのに……くっ! 相談所に行ってくるぞ!」

こんな感じで、今日もエリザベスは仕事を探しにいく。プライドの問題なのであろう。

だからオレは止めないようにしている。

こんな感じで、ルーダの街の生活は順調。

郊外の家を拠点にして、平日はそれぞれが仕事と勉強に精を出す。

週に二日の安息日は、家族みんなで一緒に過ごす。

庭の畑に野菜を植えて手入れをしたり、家の改築も行ったりする。

最初のころはホコリだらけだった家も、今では輝きを放つように綺麗になっていた。

これも家事と掃除を頑張る女性陣のお蔭。

ドタバタもあるが毎日が、ゆったりと時間が流れていた。

「みんなと一緒なら、こういう街の暮らしも悪くはないな……」

こうしてルーダの街でのスローライフを、オレは満喫していくのであった。

こんな感じで、ゆったりと月日が流れていく。

ルーダの街に来てから、5ケ月が経とうとしていた。

「パパ! 大ニュースだよ!」

そんなある日のこと。

学園から帰ってきたマリアが、興奮していた。

「どうした、マリア?」

ここまで興奮したマリアを見たのは、初めてである。何事かと心配になってしまう。

もしや、また事件でも起きたのか?

「知りたい、パパ?」

マリアは勿体ぶってきた。この態度から事件ではなさそうだ。

まずは一安心。

では何かがあるのであろうか?

「どうしよーかなー、教えよーかなー」

再度、じらしてきた。この辺のマリアの態度は、子どもとして成長した証なのであろう。

父親としても嬉しいが、早く知りたい。

「ああ。とても気になる」

マリアのハイテンションの正体が知りたい。

後ろに隠している紙が、興奮している物なのであろうか?

「じゃーん。では、発表にします!」

マリアは隠していた紙を、前に出してきた。

何やら学園からの、お知らせの用紙である。。

「なんと、パパ! こんど、競技大会があるんだよ!」

「競技大会……だと?」

競技大会だと? 初めて耳にする単語である。

剣の腕を競い合う“闘技大会”なら聞いたことがある。一体何をする大会なのであろうか?

「パパ、これは、かけっこや、つな引きとか、するんだよ! うんどう会って呼ぶこともあるみたい!」

なるほど。そういうことか。

生徒だけで親睦を深めあう、運動の大会。大陸最強の戦士を決める戦い、に似た感じなのであろう。

それは楽しみだな。

「あと、家族の人の競技も、あるんだって、パパ!」

「なんだと?」

マリアの家族は父親のオレ。あと姉としてエリザベスとリリィがいる。

フェンも家族だが参加できるのであろうか?

「お弁当とかみんなで食べたりするんだって!」

「そうか。それは盛大になりそうだな」

お弁当は皆で作って、当日はお祭り騒ぎになりそうだな。

「うんどう会、楽しみだね!」

こうしてオレたち家族は、マリアの運動会に参加するのであった。