軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第111話:迷わしの迷宮

マリアとニースの後を追い、天空に浮かぶ遺跡に転移。

立ちはだかる危険な守護者“パルマの鉄人兵”を討伐し、古代の屋敷を探索していく。

屋敷の奥に異質な扉を発見。

覚悟を決めた仲間たちと共に、オレは扉の向こう側へ進んでいく。

扉の先は薄暗い洞窟だった。

ところどころ壁が発光しているのは、古代文明の力なのであろう。

「オードル、後ろを見て! 扉が⁉」

エリザベスは後ろを振り返って叫ぶ。

入ってきた扉に異変が起きている。

霞のようにスッと、扉が消えてしまったのだ。

「オードル様、これは……」

「大丈夫だ、リリィ。出口は後で探せば、問題はない」

心配そうな女性陣を安心させる。

どんなカラクリがあるか分からないが、これも魔女が仕組んだことであろう。

いざという時は洞窟の壁を吹き飛ばせば、必ず脱出はできる。

問題はない。

「『壁を吹き飛ばす』……って、相変わらずオードルには大胆だな」

「だが、リッチモンド。油断は大敵だ。この先も何かあったら頼んだぞ」

「ああ、わかった。知識と照らし合わせていくよ」

マリアの感知によると、魔女のいる場所まではあと少し。

何が仕掛けられているか予想も出来ない。

だからこそ大事なのは仲間たちの力。

リッチモンドの古代文明の知識。

リリィの聖女としての力。

フェンの白魔狼族の嗅覚。

そしてオレとガラハッドの“戦士として直感”を総動員して進んでいく。

「えっ、私は役立たず⁉」

「もちろんエリザベスも頼りにしているぞ。何しろ “オレの居場所”を探し当てた奴だからね」

エリザベスの行動力は普通ではない。

大陸で唯一オレの故郷まで追ってきた人物なのだ。

「そうね! 私がオードルのことを一番信じているんだから!」

そしてムードメーカーとしても一行の支えになっている。

全員の力を合わせて、この先に進んでいく。

「よし、警戒しながら、進んでいくぞ」

隊列を組み直して洞窟を進んでいく。

先頭はオレとエリザベス。

中盤はリリィとリッチモンド。

後方はガラハッドとフェン。

後方からの奇襲に対応したベストな隊列だ。

全員で慎重に移動していく。

「あっ、見て。分かれ道よ。どの道が正解なのかしら……?」

行く手が三つに分かれていた。

おそらく正解は一つだけなのであろう。

「エリザベス、マリアたちのいる方は……」

「「「こっちだ」」」 『ワン!』

全員一致で同じ道を指し示す。

選んだ根拠は各自で違う。

オレとガラハッドの戦士としての勘。

リリィの聖女としての力。

フェンの白魔狼族の嗅覚。

リッチモンドの古代文明の知識。

全員の知識と経験、力の結果が一致したのだ。

「わ、私だって、こっちだと思っていたわよ!」

遅れてエリザベスも指さす。

本当かどうか怪しいが、今は信じてやろう。

「よし、こっち進んでいくぞ」

オレたちは警戒しながら、更に先に進んでいく。

洞窟は自然にできたものに、人の手が加えられている。

特に危険な罠は仕掛られていなかった。

だが問題は別れ道。

最初と同じような選択が、何度もあったのだ。

「「「こっち」」」

『ワン!』

だがその後の選択も、全員の意見が一致。

マリアの探知によると、今のところ順調に進んでいる。

「全問正解とか……凄いわね。このメンバーは……」

エリザベスが感心するのも無理はない。

博打の世界でも、連続して正解できる可能性はかなり低い。

オレも博打は苦手ではない。

だが今回は100%の確率で正解している。

全員の力のお蔭なのだ。

「あれ、この先は、道が分かれていないわね……?」

エリザベスは首を傾げる。

別れ道の連続は終わったのだ。

洞窟の通路は終わり。

今までとは違う雰囲気の通路が伸びていた。

「いよいよだ。全員、気をつけろ」

オレの直感が告げている。

この先に危険な存在がいると。

「オードル様……」

『ワン……』

リリィとフェンも気が付いていた。

自分たちを襲撃した、魔女に近づいていることを。

「ここから先は隊列を変える。リリィとリッチモンドは最後尾に。何かあったら教えてくれ」

おそらく話し合いでは済まないであろう。

戦闘員を最前線に。

非戦闘員の二人は、後方に隊列変更だ。

「かしこまりました、オードル様」

「任せてくれ、オードル!」

リリィとリッチモンドは直接的な戦闘能力はない。

だが二人の能力は確実に必要になるであろう。

「エリザベスとフェンは、オレの後方に。隙があったら、マリアとニースの救出を頼むぞ」

「私に任せてちょうだ!」

『ワン!』

エリザベスとフェンは救出担当。

もしも魔女と戦いになっても、直接には参加しない。

マリアとニースの救出要因だ。

「最後にガラハッド。お前はオレと魔女退治だ」

「ふふふ……承知しました」

この男は危険な性格の戦闘狂。

だが仲間としてはこれほど頼れる剣士は、この大陸には存在しない。

最後になるであろう剣聖との共闘だ。

「さあ、いくぞ」

こうして隊列を組み直して、魔女のいる場所へと進んでいくのであった。

それからしばらく進んでいく。

狭い通路の先に、広い空間が見えてきた。

感覚的におそらく、この空洞のどこかに魔女がいるのであろう。

「いよいよね。それにしても不気味な空間ね、オードル?」

「そうだな、エリザベス。ここは古代文明の研究所というより、神殿にも似ているな」

「神殿? こんな怪しい神殿なんてあるの、オードル?」

「そうだ。昔、南方の樹海で、これに似た雰囲気を見たことがある」

エリザベスは話ながら昔を思い出す。

大陸の南方にある遺跡で、似たような空間があったのだ。

もちろん、似ているだけで、これほど不気味な雰囲気はない。

「神殿だって、オードル? ボクの研究では、古代文明人は無神論者だったと思っていたんだけど」

「そうかのか、リッチモンド? とにかく警戒していくぞ」

広い空洞の中を更に奥に進んでいく。

さっきの屋敷とは違い、この空間は人が住んでいるような痕跡はない。

所々に人工的な柱があるが、危険な様子はない。

この空洞はおそらく、長らく放置された場所なのであろう。

「……ん? 全員、止まれ」

前方に何かを感じた。

オレは仲間に警告する。

いる……。

すぐ近くに、何かがいるのだ。

『よくぞ、ここまで来たものです……』

その時だった。

誰もいない前方の空間から、女性の声がする。

美しい声だが、どこか機械的で無機質な声だ。

『さすがは見込んだ者ね……』

直後、目の前に人影は現れる。

姿を現したのは黒髪の女だった。

歳は若い乙女にも見えるが、大人の女性にも見える。

薄いローブの上からでも分かる、妖艶な身体つきだ。

だが相手から感じるのは、普通の気配ではない。

明らかに別次元の存在だ。

「“魔女”……黒髪の魔女か……」

こうして全ての元凶である魔女と、オレは対峙するのであった。