軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

森演習1日目終了

キャベンディッシュを難なく振り切って、残り時間一時間程。

後は余裕を持って拠点に向かえば良いだけである。

途中の魔物を狩りながら、問題無く進む。

遠目に他の班を見たが、近寄る事はせずに通り過ぎる。

密かに捕った虫魔物が100匹を越えそうになった頃、

バキバキバキ!ダスダスダス!

と轟音が響いてきた。

「「「ギャーッ!うおーー!!」」」

と叫び声も聞こえてくるが、音だけで姿が見当たらない。

臨戦体勢を取りながら、周りを見回す。

バキバキバキ!ダスダスダス!

後ろから木を薙ぎ倒し、地響きを立てて近付く轟音。

ガサガサガサ、

「だ、だれかー!助けてくれー!」

「早く!とにかく走れ!止まるな!」

「急げ!もうすぐ拠点に着く!急げ!」

叫び声を上げながら走る3人の学園生、必死過ぎて俺達には気付いていない。

その後ろからは、黒い靄を纏った5メートルはある巨大トカゲ。

「あ、やべ、ロックリザードじゃん、何でこんな森ん中いんの?あれ硬くて嫌いなのにー」

「呑気な事言ってないで構えなさい!」

アールスハインは既に構えを取って、後方からはユーグラムが魔法を放つ。

眠りの魔法、麻痺の魔法、暗闇の魔法を次々撃ち出すが、一向に止まる気配の無いロックリザード、行動阻害系の魔法は効果が無いので、物理攻撃に即座に切り替え魔法を放つ。

火魔法、風魔法、雷魔法のことごとくが硬い鱗に阻まれる。

いよいよ近付いてきた時、試しに思い付いた魔法を放ってみる。

「えい!」

ドウッ!!

停止したロックリザード、地面から突き出した硬い石の巨大槍に、串刺しになりビタンビタンと暴れているが、胴体を貫通する巨大槍が外れる事は無い。巨大な刀剣をイメージしたのであの硬そうな鱗も貫通した!

無言で見てくるユーグラムに、エヘッと笑いを返して、走り出したアールスハインとディーグリーを見る。

ユーグラムも氷魔法を放って、ロックリザードの動きを妨害している。

串刺しになり空中に半分浮いた状態のロックリザードに、下から切り掛かるアールスハイン、ディーグリーは尻尾側に回り、腰につけた鞄から何かを出してナイフに塗り付けロックリザードに切りつけた。

硬い鱗に阻まれて中々攻撃が通らず苦戦する二人、ユーグラムの氷魔法は徐々にロックリザードの体力を削っている様だが、決め手には欠ける。

あの鱗が何とかなれば、勝負はそれ程時間をかけずに付くだろう。

掌に水魔法玉を造り、水の性質を酸に変えて、アールスハインとディーグリーが切りつけている部分に、塗り付ける様に当て、ある程度鱗を剥がすと性質を水に戻す。

アールスハインとディーグリーは、鱗の剥がれた部分を抉る様に切り、大量の血を撒き散らすロックリザードから一旦離れた。

苦痛にもがくロックリザードは、やがて動きを鈍くしていき、ユーグラムが放った氷魔法が体内の血まで凍らせたのか、動かなくなった。

黒い靄が完全に霧散したので、ロックリザードを串刺しにしていた巨大槍を元に戻す。

ズバターーーン

と地に落ちるロックリザード、警戒しながらも近付いて、生死の確認をするアールスハイン、その場に座り込むディーグリー、ゆっくりと溜め息をつき力を抜くユーグラム。

俺はロックリザードの所に飛んでいって、その硬い鱗に触れてみる。

コンコン叩くと、石では無く金属に近い音がする。

酸で全体に攻撃をしなかったのは、珍しい魔物の素材は高額で売れると聞いていたからだ。

ロックリザードが珍しい魔物かは知らないが、これだけ硬い鱗なら加工出来れば鎧とかになるかな?と計算した上で最小限の攻撃をしたのだ。

別に今すぐ金に困っているわけでは無いし、以前マジックバッグを作った際にかなり高額な謝礼も頂いたし、欲しいものも無く、生活は全て面倒見て貰っているので、金が必要な訳でも無いが、元庶民としては、高額で売れるかもしれない素材が目の前に有れば、そりゃ計算もするし、加減だってする!

もったいない精神は、ばあちゃんからしっかりと譲り受けてるからね!

一人ロックリザードに跨がりうんうん頷く俺を、3人が生暖かい視線で見てたなんて知りません!

残り僅かとなった時間を思い出し、マジックバッグにロックリザードを収納した後、ユーグラムが血を焼き払い後始末をする。

大量の血を放置すると、そこから新たな魔物が生まれたりするらしい。

さて、拠点に戻ろうかと俺と3人が歩き出すと、拠点方向からガサガサと複数の足音がするので、一応臨戦体勢を取り様子を窺う。

ガサッ!と目の前の薮を突っ切って現れたのは、我らがインテリヤクザな担任と何名かの見知らぬ男達だった。

バトルアックスと言うらしい斧を持ったインテリヤクザな担任は、凶悪な顔をしてこちらに向かって来たが、呑気な俺達の姿を見て、

「お前ら、すぐに拠点に戻れ!この辺でロックリザードの目撃情報があった!警戒しながら最速で戻れよ!」

「「「「………………」」」」

「何してる?さっさと戻れ!」

「いや、先生、そのロックリザードなら、俺らがさっき倒したけど?」

「は?いやいやいや、お前らのその装備で勝てる相手じゃねーだろ?」

「あー、そこはケータ様の魔法で上手いこと行きました!」

「…………本当に倒したのか?」

凄く疑われるので、マジックバッグからさっき倒したロックリザードを出してやると、カッ!と目を見開いたインテリヤクザな担任。

「……………………お前らマジか………取り敢えず、無事で良かった、拠点に戻るぞ!」

と先頭を歩き出した。

急いでロックリザードを収納して後に続く。

戻る道すがら担任と共にきた男達に、ロックリザードを倒した方法を詳しく聞かれた。

男達は、演習の間学園に雇われた冒険者達で、教師と共に生徒の安全のため、拠点に待機していたそうだ。

ユーグラムが、やたら俺の可愛さを強調しながら、ロックリザードとの戦闘内容を説明していく。

アールスハインが苦笑し、ディーグリーが拗ねて、説明が終了するころ拠点に到着。

拠点には、もう既に生徒の大半が到着していて、数班を残すのみとなった。

拠点に設置された魔物の査定場所に向かい、アールスハインがマジックバッグから捕った魔物を次々取り出すと、マジックバッグの存在に驚いて、出てくる魔物の数に驚いて周りがザワザワと騒がしくなる。

それを見ていたインテリヤクザな担任が、悪い顔でニヤリと笑い、俺に向かって顎をしゃくった。

俺の持ってる魔物も出して良いらしい。

んじゃ、遠慮無くー!

アールスハインの次に、俺がマジックバッグから取り出した、大量の虫魔物にユーグラムが顔を引き攣らせるが、構わず出します!結果100を超える虫魔物の山に、周りは声も出なくなった。

ウサギ魔物とキツネ魔物を数匹、最後にロックリザードを出して終了。

冒険者ギルドとか言う所から、出張してきているらしい査定の担当者が、最初はホクホクした顔をしていたのに、段々顔を引き攣らせ、ロックリザードを見て絶句してしまった。

インテリヤクザな担任が、悪い顔で親指を立ててくるので、ちっさい手で親指を立てて返したよ!

数が多過ぎて査定は後日になりました。

残った数班も、時間ギリギリに戻って来たので、馬車数台に別れて、学園に戻ります。

勿論馬車には、お手製のブランコをつけて、皆に微笑ましく眺められながら帰ったよ。

学園に到着した後は、一旦解散して着替えをしたら食堂に集合。

部屋に戻るとシェルが迎えてくれて、お風呂の準備と着替えが用意されていた。

アールスハインと一緒に風呂に入り、着替える。

アールスハインは生成り色のシャツと、紺色のゆるいパンツ、俺はクリーム色のモコモコしたつなぎ。

アールスハインに抱っこされると、アールスハインがぬいぐるみを抱いている様で、ちょっと笑う。

シェルも一緒に食堂に向かう。