軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二十九話 緊急会議の議題は王家

王家の書状が届いた翌日、わたしは緊急会議を招集した。

前回の家族会議から一ヶ月以上が経っていた。今回はシルベルク氏にも参加してもらうことにした。

「シルベルクしゃんも来てもらいましゅ」

「理由は」

「情報を持っているからでしゅ。情報を持っている人間が会議にいない会議は、判断が遅くなるでしゅ」

お父様が少し考えてから、うなずいた。

「分かった、呼ぼう」

当日、食堂に六人が揃った。お父様、ルード、ジル、シルベルク氏、そしてティナもついてきた。ティナは「フィアちゃんの会議なら参加したい」と言ったそうで、シルベルク氏が連れてきた。

「ティナしゃんも参加でしゅか」

「駄目だった?」

「いいでしゅ。でも発言する場合は手を上げてからでしゅ」

「分かった」

わたしはテーブルの上に紙を置いた。

「では、会議を始めましゅ。今日の議題は一つでしゅ。来月の王家の調査に、どう対応するかでしゅ」

全員が紙を見た。今日の紙は前回より字が読みやすい。練習の成果だ。

「まず情報の確認でしゅ。シルベルクしゃん、最新の状況をお願いしましゅ」

シルベルクが少し驚いた顔をしてから、話し始めた。

「来月の十八日前後に、グレンドル翁と王宮魔法師二名が来る予定です。今回は書状で正式通告が来た通り、フィア様に直接会うことを要求しています」

「ありがとうでしゅ。次に、わたしの制御の状況でしゅ。ジル、お願いしましゅ」

ジルが少し微笑んでから、報告した。

「今週のシミュレーションで、三方向からの同時鑑定に対して、普通の魔力持ちの子に見せることができるようになりました。ただし、翁レベルの鑑定には、まだ対応できるか分からない部分があります」

「ありがとうでしゅ。では、対応の選択肢を整理しましゅ」

わたしは紙の下の部分を指した。三つの選択肢が書いてある。

「一つ目。会うことを断る。二つ目。会うが、条件をつけて交渉する。三つ目。完全に制御して普通の子として会う」

全員が紙を見た。

「一つ目の問題点でしゅ。断ると、より強制的な手段を取られる可能性があるでしゅ。現在の状況では、断ることで事態が悪化するリスクがあるでしゅ」

「その通りだ」とお父様が言った。

「二つ目の方法でしゅ。会うことには応じましゅが、こちらから条件を出すでしゅ。何のために会いたいか、その後どうするつもりか、明確にしてもらうでしゅ。お父様が交渉の前面に立つでしゅ」

「条件というのは、具体的には何を想定している」

「フィアは王宮に連れていかない、という確約でしゅ。それから、調査の目的と結果の開示でしゅ。こちらの情報を一方的に取られるだけでなく、相手の情報もいただくでしゅ」

シルベルクが言った。

「それは、かなり強気な条件では」

「はい。でも、ヴォルフ侯爵という反対勢力がいるでしゅ。彼の存在が、王家が強引に動けない理由になっているでしゅ。その状況を活かすでしゅ」

「なるほど」

「三つ目の方法でしゅ。制御を完璧にして、普通の子として会うでしゅ。翁が何を感じ取っても、普通の子と変わらない反応しか出ないようにするでしゅ。ただし、これは難易度が高いでしゅ」

「難しいか」

「翁が相手では確実ではないでしゅ。でも、二つ目と組み合わせることはできましゅ。交渉しながら、同時に制御も完璧にするでしゅ」

ルードが手を上げた。

「フィアの意見は? 三つのうちどれがいいと思う」

「二つ目と三つ目の組み合わせでしゅ」

「やっぱりそうか」

「お父様が交渉する間、わたしは制御を完璧にするでしゅ。二重の対策でしゅ」

ティナが手を上げた。

「あの、わたしに何かできることはありますか」

「ティナしゃんとシルベルクしゃんには、引き続き王都の情報を集めてほしいでしゅ。来月の調査の前に、何か変化があれば教えてくれましゅか」

「分かった」

「それと、ティナしゃんには一つお願いがあるでしゅ」

「うん、何?」

「当日、町で普通にしていてくれましゅ。王家の人間が来たとき、町が普段通りであることが大事でしゅ。何かおかしいと思われると、調査が広がるでしゅ」

「つまり、普通に過ごすってこと?」

「そうでしゅ。ティナしゃんが普通に薬草屋の娘として過ごしていることが、一つの安全弁になるでしゅ」

ティナが少し真剣な顔をして、うなずいた。

「分かった。任せて」

「ありがとうでしゅ」

シルベルクが言った。

「フィア様、一つよろしいですか」

「はい」

「もし交渉の場で、フィア様が何か言う機会が生まれた場合、どうされますか」

「その場合は、お父様に判断をゆだねましゅ。わたしが前に出ることで、かえって状況が複雑になる可能性があるでしゅ」

「三歳の子どもが出てくると、感情的な場面になりやすいですから」

「そうでしゅ。ただし、お父様が困ったときは、少しだけ助けましゅ」

「少しだけ、か」

「三歳にできることは限られているでしゅが、ゼロではないでしゅ」

お父様が言った。

「……頼もしい限りだ」

「来月、一緒に乗り越えましゅ」

会議が終わった。

前回より少し長くなったが、四十分以内に終わった。

全員が部屋を出た後、ルードがわたしの隣に残った。

「フィア」

「うん」

「さっきの会議、ティナとシルベルクも呼んだのは正解だったと思う」

「そうでしゅか」

「情報の質が上がった。それと、シルベルクが父の隣にいることで、父が少し落ち着いているように見えた」

「そうでしゅね。ひとりでかかえている人間は、隣に同じ立場の人間がいるだけで変わるでしゅ」

「……前世でもそうだったのか」

「そうでしゅ。一人で障害対応している人間に、隣に座って一緒に画面を見るだけで、落ち着くことがあったでしゅ」

「なるほどな」

ルードが立ち上がりながら言った。

「来月、俺もいるから」

「うん、知っていましゅ」

「安心しろ」

「してましゅ」

ルードが少し笑って出ていった。

わたしはノートを開いた。

今日の記録。緊急会議実施、六名参加。方針決定:二つ目と三つ目の組み合わせ。交渉担当:お父様。制御担当:わたし。情報収集:シルベルク・ティナ。当日の通常維持:全員。

最後に一行足した。

ちーむが動いているでしゅ。あとは本番でしゅ。