作品タイトル不明
第39話 転移魔法陣
夕食まで議論は、白熱していた。
今日は、ビーフシチューを作ったのだが…これはあとの方がいいかなと付け合わせの肉を焼いている。
某料理マンガでやっていた付け合せの肉なのだが色々試した結果、やっぱりベーコンが至高である。
そんな事を考えながらジュージューと音を立てて厚切りベーコンを焼いていると…。
白熱していたはずの2人がいつの間にか俺の背後に立っていた。
「「一体何をしてるの!?」」
異様な食いつきを見せた。
メイはともかくエルナは、今までもそれなりに色々な料理を出していたのにこんなに驚くとは思わなかった。
「それは肉よね?」
「肉ですよ?なんでそんなに驚いてるんです?」
「もしかして彼はこの世界の肉を見たこと無い?」
「ああ、確かに見せたことなかったかも」
「そういえば、この世界の肉って見たことないかもです」
正確には見たことないのは生の肉である。
宿屋に泊まった時に食べた料理も肉は使われていたが…生の肉は見たことなかった。
手が止まったようなので夕食を並べた後に、こちらの世界の肉についても教えてもらった。
こちらの世界の肉は基本的にすべて火を通す。
まぁこれについては理解出来るのだが…。
この世界の肉は生の段階から色が黒いそうだ。
「それは血のせいでは?」
「血?」
「血って空気に触れて時間が経つと黒くなるんですけど…」
2人とも頭の上にハテナマークが浮かんでいるようで頭を傾げている。
今まで生肉を見せてなかったので、そういう印象を受けるのもおかしくないかもしれないが…。
「また詳しい事が書いてある本を渡しますよ、残念ながら専門知識過ぎて解説出来るほど詳しくないので…」
そうこうして夕食を食べる。
「美味しい!!」
「神の恵み!」
と相変わらずオーバーな反応だが、まぁ悪い気分ではない。
「ところで魔法陣の改良は終わったんですか?」
「ええ、粗方」
と言われてざっくりと説明を受けた。
今回は、召喚魔法ではなく転移魔法を使うそうだ。
あちらの世界に転移魔法陣を書いてもらい移動出来るようにするという訳である。
こちらの世界の魔法陣には保護魔法や、隠蔽魔法を仕込んでも問題はない。
問題はあちらの世界で書いてもらう転移魔法陣なのだが…。
「私達が使えるようにするには、私達の血を仕込んだ魔法陣を作る必要があるのよね」
紙に書いた魔法陣で問題ないのであればこちらで書いた物を送れば済む。
全くこっちだと便利だな『通販サイト』と神様に感謝である。
「問題は、あっちの世界に魔力がないことね」
「外部の魔石から取り込む術式を入れるとどうしても大きくなるのよね」
結局あちらの世界で魔法陣はA1用紙と同じ位のサイズになってしまうそうだ。
「まぁそれくらいのサイズなら大丈夫だと思いますよ」
明日プリンタなどが届き次第色々と試す事になりそうだ。
ちなみに、俺とエルナは同じ寝室だが…。
メイはお風呂で寝ている。
安全な水に浸かっていられるなんて夢のようという話をしていた。
もし向こうの世界に言ったら専用のプールでも用意してあげた方が良さそうだ。
当初こっちでしか暮らせないのであれば、あちらに金貨を送ってこちらは大人しく隠れて暮らしていく事を想定していた。
しかし転移魔法が可能になるというのなら、基本は向こうで暮らしてこちらの世界で物資などを調達して向こうで金に変えるというのが一番理想的な暮らしだと思われる。
それで妹は納得してくれるのだろうか…こっちの世界を見たいと言わないだろうか…。
「言いそうだよなぁ…」
とポツリと呟く。
まぁそのへんは誤魔化すしかないか…。
と若干諦めモードではあるが、久々の帰郷に少し心が弾んでいた。
転生神サマside
気軽に世界を渡ろうとするんじゃない!
と言いたい所だけど…双方の世界でやりとり出来ちゃう現状やれちゃうよねぇ…。
後は魔力の件をどう解決するかかな?
特に魔力がない世界であの2人が生きていくのはなかなか難しいんじゃないかな?
しかし、移動してしまったらこの食品達ともお別れかぁ…。
大量注文している商品から拝借してる訳だが気付く様子がないのもどうかと思うけど…。
これが無くなるのは悲しい…。
ん?あちらの世界の神様から連絡があるとは珍しいね。
「もしもし、どうしたん?」
「ねぇ、せっかく面白い子が来たのに帰っちゃいそうなんだけど!」
どうやら向こうでも観察してたようだ
「まぁ帰れるなら帰るでしょ、正直そっちの世界住みにくいし」
「あの子の力なら未開拓領域も探検出来そうでしょ!ねっなんとかならない?」
あの世界の未開拓領域はとんでもなく広い。
そもそも、あの孤島…いや大きさ的には孤大陸な訳だけどそこで終わるのは確かに勿体ない。
「ならそっちで神託でも下せばいいじゃない?三賢者の2人に」
「そんなルール違反できないの分かってるでしょ?」
外界への干渉は基本的にNG、特にあちらは管理神だ。
私のように転生を司る神様と違い、管理しているのは人ではなく世界そのもの干渉は不可だ。
「どちらにしてもあの2人を連れて行くならまた戻ってくるでしょ」
「あの2人だけ帰さないかしら…」
あちらの管理神としてはそれが心配なようだ。
「まぁ、途中で投げ出すような子ではないし大丈夫だと思うわよ」
あの性格上、恐らく最後までやりきると思われる。
「心配だぁ…せっかく面白くなってきたのに…」
「まぁ、経過を見守るしかないわね」
そこで通信が途切れる。
まぁ仕込んだ策も発動するまでは少し時間がかかるしその間はこっちの世界でバカンス気分を楽しんじゃないかと思うけど…。
「物資調達自体にはスキルを使うでしょうし、これが無くなると楽しみも減っちゃうからしばらくは続けて欲しいわね…」
と今後の行動も含めて観察のしがいがある対象として非常に目が離せない存在になっている。
そして彼が頼んだ荷物からまた食品類を拝借しておく。