軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第36話 教会(ヤ)

翌日は、早速ということでエルナと共にウエスティ聖国に着ていた。

「しかし、あの驚きっぷりは凄かったわね…」

と昨日のメイの様子を面白そうに話すエルナ。

「エルナさんも似たようなもんでしたよ」

「あんなに酷くないわよ」

と笑っているが俺から見れば似たような反応だったので、メイの事を小馬鹿にしている様子を生暖かい目で見ていた。

「それでここでは、昨日のあれを売るのよね?」

「昨日効果は確認してもらいましたしね、塩を足がかりにして売ろうと思ってますよ」

しかし、転移魔法のおかげで各国への移動は一瞬で済んでしまうのは本当に便利だった。

「その気になったらエルナさんだけでも国落とせたんじゃないですか?」

「武力では叶わないし…あなたのような知恵も資材もないから無理よ」

手段を問わないのであれば、転移魔法を使って各国の水源を毒なんかで汚染、最悪病原体をばらまくだけで終わる。

切羽詰まればそれくらいならやれたのではと思っている。

エルナはそんな事を考えてもいないのはひとえに、四英雄以外には恨みを抱いていないのが影響しているように思える。

結局未だに直接会ってはいないのだが、一体どんな人物なのか少し興味は湧いていた。

到着したのはウエスティ聖国の首都から一番遠い街だが、他国の品が手に入るということで人の行き来が多い街だった。

前回と同じようにそれなりの宿に泊まり、そこの食堂で情報を収集した。

ここもサウスローズと同じようで魔物狩りが活発に行われているようだった。

ただ、サウスローズとの違いは貧民街と呼ばれるものはなく表向きは、市民は別け隔てなく生活をしていた。

「市政の様子を見ると善政を敷いているように見えますけどね」

「宗教国家だもの、神を信じるものは救わないと…ただ問題はその宗教家達な訳だけど」

「まぁそうですね。表向きは良いのかもしれませんけど…」

そうこの宗教第一主義というのが一番の問題だった。

ちなみにやってることはヤ◯ザに近い。

信奉代というなの定期的なお布施、店を出すなら祝福代、後は人身ですら神に捧げる人身御供といって召し上げる事があるそうだ。

宗教を盾にしているがやっていることは完全にヤバイ奴らである。

「交渉は慎重にしないと宗教を盾に召し上げられそうですね…」

「今回は魔石をメインにしてるからよっぽど大丈夫だと思うけどね」

今回は金貨はそこまで要求せずにほとんどを魔石に交換する予定である。

特に、ノースリーン共和国で魔石の需要が増えているので隠れ蓑としても丁度よかった。

「昨日必死に詰め替えさせられた、この美容品にほんとに食いつくのかしら」

「高位の神官様達はみんな女性なのでしょう?なら大丈夫でしょう」

この世界の美容状況はすでに確認済みである。

ちなみにここの宿の女将さんにも情報料ということで使ってもらったのだが大好評だった。

「でもあからさまにノースリーンのマーク入れてよかったの?」

「もちろん今回はわかる位置に入れておかないと俺達が狙われたら面倒ですから」

翌日準備を整えてこの街で一番と言われている商会へと足を運ぶ。

当初は塩を卸したいと伝え、こちらは以前サウスローズで降ろした時の塩より量を増やし金貨20枚で取引を終えた。

今回は、後ろ盾として勝手にノースリーン共和国を持ち出しているのですべて金貨で受け取る。

「合わせて、まだ試作段階の品なのですが…」

といって美容系商品を紹介する。

商会長は男性だったのだが、効果はすぐにわかったようで自身の妻を呼び出す。

そして一通り吟味したのち…。

「これは素晴らしい品ですね…ただこの手の商品は教会を通さねばならず…もし差し支えなければそちらに伺って頂けないでしょうか?」

と予想外の返しが帰ってきた。

「それでしたら…辞めておきましょうか。教会へとなるとお布施となってしまいますので…」

さすがにヤ◯ザ事務所で取引となると危険すぎるので、言葉を濁すと…。

「あっ…いえ…少しお待ちください…」

逃してはまずいと思ったのか商会長と妻の表情が曇る。

商会長はすぐに子飼いに言伝をする。

「こちらの商品を少しお借りしてもよろしいでしょうか?」

そういって美容液を手に取る。

「構いませんわ」

そういって美容液の入れ物を手にとり子飼いはどこかに向かった。

「いま、教会に使いを出しました。ここにきての取引であればお布施にはなりませんので…」

どうやらこの取引を逃したくないという想いが強いらしい。

「ところでこれを一部教会の方が来る前に売って頂く事はできますか?」

と奥様が話しかけてくる。

「構いませんわ、女性には夢のような商品ですものねこちらを1セット差し上げますので今のうちにどこかにお隠しください」

「ありがとうございます。あなた、絶対粗相のないようにね!」

そういって奥様はそそくさと1セットを持って消えていった。

「あちらの代金は、言い値でお支払いしますので教会の方にはあまり…」

なるほど、教会にはあまりふっかけるなと言いたいようだ。

「こちらとしては、金貨よりも魔石と取引をしたいと考えておりますので教会の方にも喜ばれるのでは思いますわ」

商会長は安心したようで胸を撫で下ろしていた。

しばらくしてから店の前に馬車が止まった。

そして降りてきたのはかなり立派なお召し物を着た歳のいった女性が店へと入ってきた。

どうやら司祭様が出張ってきたようで部屋への入室時には全員が立って頭を下げて出迎える。

かなり深いシワがあり白粉のようなものを塗りたくった司祭様であったので面食らったのだが…。

「この商品を持ってきたのはお前達か?この品をすべて我が教会に捧げなさい」

ととんでもない要求をしてきたのだった。

教会ではないのでお布施にならないと思っていたのだがこれは思ったよりも厄介な交渉になりそうであった。