軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第35話 若返り

お風呂を堪能したメイが満足したという顔で出てきた。

「ああ、生き返った…お風呂なんて何年振りに入ったかしら…」

「そんなレベルですか…ってか暖かくていいんですね」

魚と同じだったらお湯はNGかと思っていたらエルナがお湯で良いと言っていたのでそのままお湯を溜めておいたのだが…。

「ええ、お風呂は良いわよね…入ってると超生き返る…」

完全に夢見心地であった。

どうやら俺の世界の常識で計るのはよくないようだ。

「ほらいいから魔法陣の原型を出しなさい」

「えっああ、はい」

そういって持ってきた荷物から羊皮紙を取り出した。

「思ったより小さいわね。これで良いの?」

「何言ってるのそれは300分の1の原型だから300倍にしないと」

「「300倍!!!?」」

エルナが手に持っているのはA4サイズほどの羊皮紙だが、それの300倍…一体どれくらいの大きさなのか想像がつかない。

「そんなに大きい魔法陣がいるの?」

「それでも足りない位」

どうやら思っていた以上に大きい魔法陣が必要なようだ。

「でもあっちで現れた魔法陣はこんなに大きくなかったけど?」

「召喚先ではターゲットに合わせて大きさが変わるからそんなに大きくならないよ」

「なるほど…」

「ああ、なるほど私の近くに飛ばされたのも案外偶然じゃなかったんだな」

魔法陣を見ながらそんな事を呟くエルナ。

「そうだったのか?」

「私の転移魔法と似てるから混線したっぽいわね」

エルナが直前につかっていた転移陣と混線したからこそ、あの場所に飛ばされたそうだ。

「不幸中の幸いでしたね…」

「全くよ、なるほど転移魔法と召喚魔法の複合ってことね」

「これ魔法陣を書くのも大変だし、魔力がいくらあっても足りないわね」

「ええ、私も書くのにかなり時間がかかりましたし、溜め込んでた魔石も空になりました」

としょんぼりしていた。

「よく転々としてたのにこんなの書けたわね」

「特定の場所じゃ書けなかったから…羊皮紙に少しずつ書いて最後にくっつけたの」

「なるほど…そういうこと」

ちなみにこの世界の人間を呼び出すのであれば、これの半分位の大きさで良かったそうだ

それでもデカい。

「その協力してくれた人間はどうしたんだ?」

「道中で会った村の人よ…みんな殺されてしまったけど…」

この魔法を開発する為に協力してくれていたそうだが、ウエスティ聖国の襲撃に遭い全滅したそうだ。

「私は小さくなる魔法でやり過ごして…生き延びた…あれは生かされたに近いかな…」

どうやら悲惨な目にあったみたいだ。

「村の人には悪いことしちゃった…」

「そういえば、追われてる理由ってなぜなんです?エルナさんは魔法技術って聞きましたけど」

「ああ、ええっと私の血は若返りの作用がありまして…」

「なるほど、不老を手に入れた人間が欲しがりそうな…」

「私は比較的優先度が低い上に強いからね…あんまり探されてないみたい」

とエルナが補足する。

「あ、後聞いてなかったのですけどエルナさんは何族なんですか?長命種とは聞いてましたけど」

「そういえば言ってなかったわね、私は森霊族、総称してエルフとも呼ばれてるわね」

耳が長いなどの特徴がなかったので気付かなかったのだがエルフだったようだ。

「森霊族とエルフはまた違うのですか?」

「正式に区別すれば違うのだけど本質は一緒ね。森の妖精種なんだけど私のように大きい者はエルフ、小さい者はフェアリーと呼ばれているの」

なるほど、そういう区別なのかと勝手に納得する。

「とりあえず、あんたは勇者が今度きたらぶん殴られるから覚悟しとくことね」

「勇者!?勇者がいるんですか!?」

慌てるメイに事情を説明する。

「転移魔法でこっちにくるなんて…やっぱり天才…」

「世界を渡るのに色々制約があるみたいですけどね…」

結局何かを持って飛ぶのは不可能なので帰るのであれば、あちらで召喚魔法を使ってもらう必要がある。

「でもこれ向こうで使うにしてもどれだけの魔石がいるか…。

「この前の奴じゃ足りない?」

「全然足りないわね…魔法陣を書くのに同じだけの魔石を10個、発動の事を考えたら倍以上ね」

「それはあんまり現実的じゃないな…しかも3人分だろ?」

「そうね…」

「えっどういうこと?勇者を呼んでどうにかしてもらうんじゃ…」

とメイは不思議な顔をしている。

「違いますよ、さっきも言いましたけど、勇者にはこっちの世界の現状は内緒です。せっかく守った世界がこんな状況になってるなんて言えませんよ」

「「面目次第もない…」」

と2人とも暗い表情を浮かべた。

「まぁお二人のせいという訳ではないですが、絶対に秘密ですよ」

「「わかりました…」」

「戦力の事を考えるなら、とりあえずメイさんを送るのが一番ですかね」

「そうね…いても役立たずだし」

「もう少し言い方ってもんがないですかね…」

「じゃあ1人で大型の魔物撃退出来るわけ?」

「無理です…」

「じゃあ足手まといは大人しくしてなさい」

2人の力関係はこの短い間の会話だけで大分掴めていた。

姉と妹と言った感じの空気がある。

姉には逆らえない妹と言った感じだ。

「正直接触するつもりはなかったのですが、大量の魔石を取るのにどこかの国で取引したいですね」

「あら、もう一度いくの?」

「大量に魔石がいりますからね…もうひと稼ぎしに行きましょうか」

あまり複数一緒に仕込むと、効果が出すぎて被害が広がる恐れがある。

すでに仕込みをしている、サウスローズとイーステッドには手は出せない。

「ウエスティ聖国ですかね…」

国をの名前を出しただけでメイがビクッと震えた。

「大丈夫ですよ、危ない事はしませんから…卸す物は決まってるので、明日にでも行きますか」

「長いこと生きてるけどその胆力はどこからくるのかわからないわね…」

「死ぬのは怖いですよ、だから安全に潰そうとしてるんですから」

「その心持がわからないのよ…」

とエルナには呆れられてしまった。

転生神サマside

あの娘…まじですか…。

まさか世界を飛び越えてしまうなんて。

さすが勇者としか言いようがないね。

まぁ別に世界を超えるのはルール違反ではないし咎めるつもりもないが、まさか「通販スキル」をあんな風に使うとはね。

あっちの世界の物をこっちの世界に送るのは、通常の送料と配送期間で済む。

こっちの世界だけで完結させようとすると魔力が無いせいで時間がかかるが、あっちの世界であれば魔力は潤沢なので時間はかからない。

しかし、注文が途切れないおかげで私は美味しい物が食べれる。

出来れば、このまま続けて欲しいものである。

それにしても回りくどい事をしている。

その気になれば、武器でも毒でも作れるというのに…。

「妹の救った世界を守ろうっていう事だから立派ね…」

しかしあの世界の文化レベルだと綺麗にハマりそうね。

四英雄がもっと仲が良ければこんな策も効かなかったんでしょうけど…あいつら仲は最悪だし互いが互いを牽制してる。

自分以外が、良いものを手に入れるのが許せないんでしょうね…。

あの仕込みだけでも充分争いになりそうだったのに…まだまだ面白い事になりそう…。