軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

183 番外編  雪で遊びますわよ!(2)

「雪だるま、ですの?」

アセリアはハルムと顔を見合わせた。

雪だるま、というのは聞いたことがないですわね。そんな生物がいますの?王都では、そんな生物は見たことがありませんわ。本でも見たことありませんわね。でもわたくし、生物はそれほど勉強してはいませんもの。リーフのように森に住んでるということですかしら。

「そう、でーっかいやつ」

と、ウィンリーが手をいっぱいに広げる。

「お、大きいですわね!?そんなに大きいんですの!?」

「そうよ!」

「!?」

ポカンと口を開けていると、

「すーっごく大きいの作りましょ!」

と、ウィンリーが笑う。

「作るんですの!?」

またハルムと顔を見合わせる。

「ハルムは、雪だるまを知ってますの?」

「いや、俺も見たことはない」

ですわよね!

けれど、ハルムはすぐにこう続けたのだ。

「雪で人形みたいなものを作るんじゃないか?」

雪でできたお人形。そういうことでしたの?

「……もちろんですわ」

生き物ではありませんでしたのね。……ですわよね?

ウィンリーとバルド、それに子供達にレクチャーを受け、アセリアは地面にしゃがみ込む。真っ白な雪から両手に乗るほどの雪を掬った。

手袋越しに、冷んやりと冷たいのがわかる。

食べたらどんな味ですかしら。

そんなことを思いながら、冷たくフワフワとした雪を眺めた。

「こうだよ!ぎゅっぎゅ!」

隣にしゃがんだソフテが雪を固めてみせる。

固めてしまいますのね。なんだかちょっと、もったいないですわ。

ギュッと雪を握ると、キュっとした感触が手に伝わる。

「不思議な感触ですわね」

「そうなの」

逆側にいたミルデがうっとりとした顔を見せる。

「こうすると、雪がくっつくのよ」

ウィンリーが、雪の玉を転がすと、不思議なことにフワフワとした雪が不恰好に雪の玉にくっついていく。

「不思議ですわ」

背後では、ハルムがバルドとフィンを相手に、雪玉を投げ合って遊んでいた。

ハルムの仲間は、以前一緒に蜂蜜を取っていた子供たちのようだった。

アセリアが雪玉を転がすと、やはり雪はウィンリーの時と同じように雪玉にくっついてくる。

「これを大きくしますの?」

「そうよ!」

ゴロゴロと転がる雪玉は、どんどん大きくなった。

そして思っていたよりも早く、両手で押さなくてはならなくなった。

「結構重いですわね」

ハルムを呼ぼうとして後ろを振り返る。

さっき遊んでいたから、邪魔になってしまいますかしら。

そう思ったのも一瞬、すぐ後ろに人が立っていることに気付く。

「きゃっ」

他でもないハルムだ。

な、なんですの!?執事でもないくせに突然こんな近くにいるなんて!

「そろそろ手伝いが必要なんじゃないかと思ってさ」

飄々とした顔で言う。

まったく、そんな可愛い顔で言われたら、怒れないじゃありませんの。

「では、手伝ってくださいませ」

言いながら、大きくなってきた雪玉を両手で押す。

けれど、何を間違えたのか、アセリアは雪玉の上にそのまま腹這いで乗り上げてしまった。

そのまま、ぐりんと世界が回る。

「アセリア!」

ボスッ。

「い、痛く……は、ありませんわね」

顔をあげると、そこがどうやらハルムの腕の中なのだと気が付いた。

だ、抱きしめられてますわね?

そのたくましさに、ついつい恥ずかしくなってしまう。

「か、感謝しますわ。でも、もう離れて大丈夫ですわよ」

「ほんと、何やってるんだか」

なんて言いつつも、ハルムの腕はなかなか緩まらない。

「……大丈夫ですわよ?」

むしろギュッと力を入れられてしまう。

その瞬間、子供たちの

「ふぉ〜〜〜う」

なんていう声が聞こえた。

「も、もう!ハルム!」

「フッ」

頭の上で、ハルムの笑い声が聞こえた。

「もう!ハルムったら!!」