作品タイトル不明
166 祭りは盛り上がっている
舞台にはウィンリー、ミラ、ベラの3人が立っている。
ウィンリーは猫を抱えていた。よく広場で眠っている猫だ。
ウィンリーが、声高らかに宣言するように言う。
「私たちは、猫に芸をさせます」
一見地味な出し物だが、広場はすっかり温まっており、
「いよっ!がんばれ!!」
「最高だ!ウィンリー!」
「やっぱ猫だわー!」
との声が上がる。
何をさせるのかと思いきや、そのまま地味な舞台は続き、食べ物でつりながら、猫が「にゃぁん」と鳴くのを聞いたり、くるりと一周するのを見たりした。
隣にいるアセリアが嬉しそうに手を叩く。
その姿は確かに、正式な教育を受けた人間のそれだけれど、ランプの灯りに照らされてキラキラと輝くその瞳は、年相応のものだ。
ウィンリーたちの出し物で、祭りの熱が冷めることはなかった。
たくさんの人間の手を叩く音がする。
そして舞台ではすぐに、
「ハァ!!」
という男たちの声がした。
なんだなんだとみんなが舞台に目をやった。
もう幾度となく乾杯をしながら酒を飲んでいる連中も、肉にかぶりついて頬張っている連中もだ。
舞台に出てきたのは、バルドだった。
そしてその周りには、バルドとちょくちょくつるんでいるらしい村の男たちがバルドと共に出てくる。
二度目の、
「ハァ!!」
の声で舞台に上がってきたのは、巨大な丸太だ。
バルドと男たち、それに、更に舞台に上がってくる橋造りをしていた大工たちが各々ノコギリを持って丸太の前に立った。
中には棟梁もいるし、眼鏡の建築家までもがいた。
すごいな。
心の中で呆れた声を出す。
どうやらこれは、丸太切り大会のようだった。
「ハァ!!」
三度目の掛け声と共に、各々が丸太にかぶりつくように腕を動かし始めた。
ザシュザシュザシュザシュ。
いくつものノコギリの音が広場を流れていく。
広場は、
「うわすっげー!」
などの感嘆の声を上げる少年たちもいれば、
「バルドに一本!」
と賭け事を始める者たちもいた。
隣のアセリアを見れば、口に手を当てて声も出せないまま目を瞠っていた。
「すごいですね」
声を掛けてみれば、
「す、すごいですわね……」
と、その一言だけを言う。
そこへ、
「すごいわよねっ」
顔を出したのはウィンリーだった。
「私も知らなかったわ。こんなもの隠してたなんて」
アセリアが現実に引き戻され、ウィンリーと笑い合う。
「本当に。ウィンリーの猫もよかったですわ」
アセリアがウィンリーと笑い合う姿に微笑ましく思う。
「アセリアちゃんたちは何に出るの?」
言われ、アセリアははたと気付いたようだった。
自分にも、舞台に上がる可能性があることに、だ。
「ハルムは?」
こちらに話題を振られ、ハルムは顔を振った。
「やりませんよ。忙しいですからね」
ウィンリーが、あからさまに不満な顔をする。
「そんなのダメよ!二人とも、必ず何かに出るのよ!?」