軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

新魔法会得の探求

「どう、リッド。取り込めた?」

「ちょっと待って。もう少しかかるかも」

フェイに答えつつ、僕は彼に分け与えられた魔力である『暖かい光』に感覚を研ぎ澄ましていた。

自分の体の中に『魔力の塊』があることはわかるけど、問題はこれをどうやって自身の魔力と混ぜ合わせるかだ。

さて、どうしたものかな。

『リッド、この魔力。属性素質に反応しているみたいだよ』

思案していたところ、唐突に脳裏でメモリーの声が響いた。

『えっと、反応っていうのは反発しているってこと? それとも共鳴的な感じ?』

『共鳴かな。引かれ合っている気がするね。魔力に属性を与えたら混ざり合うかもよ』

『わかった。やってみる』

僕はメモリーに答え、すぐに体の中で流れる魔力に火の属性を纏わせた。

すると、『暖かい光』を放っていた魔力の塊が僕の魔力と一気に混ざり合っていく。

あてもなく漂っていた魔力に方向性が示されたみたいだ。

次いで、全身に魔力が満ち、活力がみなぎってくる。

この感覚は魔力回復薬を飲んだ時に近いな。

ただし、こっちのほうが遥かに魔力と活力がみなぎる感じがする。

「お、上手に取り込めたみたいだね」

「……うん。何とかね」

フェイが目を細め、僕は集中を解きつつ息を吐いて頷いた。

「それで、どうだった。何か掴めたかな?」

「そうだね……」

口元に手を充てながら魔力が混ざり合った感覚を思い返し、僕はある仮説を立てた。

「魔力譲渡魔法で重要になるのって、術者と対象者の属性素質のような感じがしたんだけど。どうかな?」

「リッドがそう感じたのなら、多分それが正解だよ」

「……えっと、それはどういう意味?」

僕が感じたことが正解って、どういうことだろう。

首を捻って聞き返したところ、フェイは僕の胸をつんと指で小突いた。

「魔力を他者に分け与えるためにはさ。その人が生まれ持った魔力にこっちが合わせなくちゃいけないんだ。僕は感覚で出来ちゃうけど、リッド達にそう伝えても理解できないでしょ。だから、あえて魔力の塊をリッドに打ち込んだんだよ」

「なるほど。術者が対象者の生まれ持った魔力に合わせる、か。じゃあ、重要になるのは対象者の生まれ持った『魔力の質』を見極めるってことになるんだろうね」

「なのかな? まぁ、リッドがそう言うならそうなんだと思うよ」

フェイはそう言って肩を竦めた。

彼は莫大な魔力を誇る牢宮核【ダンジョンコア】の化身だ。

言葉通り、感覚である程度のことは出来てしまうんだろう。

でも、一連の出来事でヒントは得られている。

僕は「ふむ……」と口元に手を充て、俯きながら考えを巡らせた。

「つまり、術者の魔力を対象者の生まれ持った魔力に合わせれば、魔力は譲渡できる。対象者と術者の相性というか、魔力の質が重要になるわけか。問題なのは、何がどうすれば『魔力の相性、質』が見極められるのか? ということだろうな。そして、僕の中に打ち込まれたフェイの魔力を取り込んだ時、メモリーが『属性素質に反応しているみたい』と言ってくれたことも鍵になる。考えろ、考えろ、必ず答えはあるはずだ」

これらの情報から導き出せる仮説を考えていたところ、とある閃きが生まれた。

「あ、もしかして……」

僕が顔を上げたその時、「あの、リッド様」とファラに呼びかけられる。

振り向けば、彼女は心配そうにこちらを見つめていた。

「ずっと独り言を呟いておりましたが、その、大丈夫ですか?」

「あぁ、ごめん。ちょっと考えをまとめててね」

まずい、考え事を呟いちゃっていたのか。

決まりが悪くなって頬を掻きながら誤魔化すと、僕は「それはそうと……」と話頭を転じてファラの手を取った。

「魔力譲渡魔法のことでちょっと気付いたことがあるんだ。少し協力してもらえないかな」

「は、はい。私で良ければ喜んで」

「ありがとう、ファラ」

僕はお礼を告げて手を離すと、咳払いして畏まった。

「ところで、ファラが持っている属性素質を確認のために教えてもらっていいかな」

「え、私が持つ属性素質ですか?」

意外な問いかけだったのか、彼女はきょとんと小首を傾げた。