軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

06 魔族領へ出発

アラムンドが去った翌日の朝。

俺は旅装を調えて、執務室の机の前に立っていた。

俺の前には9人のパーティメンバーがいる。

まずは『氷の令嬢』フォルシーナ、『光の聖女』マリアンロッテ、『緋の 麗槍(れいそう) 』アミュエリザのメインヒロイン3人だ。すでにAランク冒険者と並ぶ実力を身につけている彼女らは、原作ゲーム通りの、学校の制服風魔導師服、白い修道服風ドレス、赤の軽装鎧(すべてミニスカート仕様)を身にまとっている。彼女らは全員14歳であり、パーティの最年少組となる。

さらにそこにメイドのミアール、狐獣人剣士のクーラリア、エルフのアルファラが加わる。ミニスカメイド服、ミニスカ巫女服、そしてミニスカな上に上半身も露出多めの緑のエルフ服(?)を着た彼女らは、年齢で言うとミアールが16歳、クーラリアが18歳、そしてアルファラが16歳と、メインヒロイン3人の少し上の娘たちとなる。

さらにその後ろに、白の修道服風ドレスを着た聖女オルティアナ、赤いタイトドレス風魔導師服の女公爵ヴァミリオラ、そして白銀の軽装鎧をつけた将軍リンが並んでいる。ちなみに彼女らのスカートは長いのだが、横に深いスリットが入っていて太ももがのぞいている。彼女らは3人とも20歳を超える大人組であり、そう考えると9人の女子は3つの年齢帯に綺麗にわかれているのである。しかもそれぞれ3人同士仲がいいので、俺としては楽な反面疎外感というか、孤立感が強い。これが本来の主人公なら好感度アップで仲良くとか出来たのだろうが、俺の場合好感度アップはただ生き残りのための手段でしかない。

まあ年齢も違うし、俺は国王だし、仕方ないと言えば仕方ないのだが……などと、とりとめもないことを考えつつ、俺は皆の前に立っている。

「では、まずは北の平原の最北端に移動をする。そのまますぐに『万魔の森』に入ることになるが、心の準備はよいな?」

「はいお父様、問題ありません」

フォルシーナが全員を代表して答え、他のメンバーもそれに合わせてうなずいた。

俺は全員の顔色を確認し、それから見送りに来ている宰相のマルダンフ侯爵、家宰のミルダート、将軍ドルトン、古代アンドロイド・ツクヨミの方に視線を向けた。

「では、しばらく城を空けるが、政や治安の維持、防衛などについてよろしく頼む。毎日定時連絡はするが、急ぎのことがあればいつでも連絡をして欲しい」

「はっ。陛下がいらっしゃらない間の行政については、滞りなく進められるよう力を尽くします」

「王城内のことにつきましてはお任せください。諜報関係につきましても万全を期します」

「国境とかモンスターとかに関してはお任せくだせえ。ミュールザンヌ教国の方も常に目を光らせときますんで」

「遺跡の探査能力はさらに向上していますので、動きがあればマスターにお知らせいたします」

と、それぞれ頼もしいことを言ってくれる。やはり持つべきものは能臣である。

ちなみに今回、ツクヨミはマルダンフ侯爵を手伝ってもらうことになっている。城に残ってくれと伝えた時、珍しく本人(?)が「マスターについて行きたいのですが」と言ってきたのだが、今回はさすがにツクヨミに書類整理をサポートさせないとマルダンフ侯爵が潰れてしまうので却下した。彼女の索敵能力は強力だが、それは『通話の魔導具』で連絡を取れば十分に活用できる。

実は、置いていく代わりに、

「では、マスターが戻ってきた後は、一つだけわたしのお願いを聞いてください」

と言われて了解していたりするのだが、もちろん「できる範囲で」と条件はつけてあるので問題ないはずだ。

「では行ってくる。転移するぞ」

と俺が声をかけると、メンバー全員が俺の周りに集まってきて、ほとんどおしくらまんじゅうみたいな状態になる。いやだから、そんなくっつかなくても『転移魔法』は大丈夫なんですが。

間抜けな俺たちの姿を見て、マルダンフ侯爵たちがまた「わかってますよ」みたいな生暖かい目つきになる。これってもしや、俺が「転移魔法使用時は近くに来い」とか女性陣を騙してる扱いになっていたりしないだろうか。

俺はそんな恐ろしい冤罪に震えながら、『転移魔法』を行使した。

遂に始まる『魔族領』への旅。

王城から転移したのは王都の北に広がる平原の、その北の端である。

この平原は、先に魔族との大きな戦があった場所だが、今は時折野生動物の姿が見えるくらいで、至って静かなものである。

転移したら、まずは周囲を見回すのがお約束だ。

全員がきょろきょろする中で、地平線が見えそうなほど開けた平原を見渡していたヴァミリオラが、

「昔ここに来た時も思ったのだけれど、この平原を魔族との緩衝地帯にしているのは本当に惜しいわね。開拓すれば非常に豊かな穀倉地帯になると思うのだけれど」

と、いかにも公爵らしい意見を口にした。

「公の言う通りだ。そして、今回魔族との講和がなったならば、私はここを大々的に開拓するつもりでいる。その準備もすでに行っているところだ」

「さすがの抜け目のなさね、国王陛下は。なるほど、今回の『魔族領』への旅は、そういう大きな収穫も考えてのことなのね」

「無論だ。ただ戦って不戦条約を結んだだけではマイナスがゼロになったに過ぎぬからな。なにより民が飢えぬ方策は常に考えておかなければならぬ」

マークスチュアート面を活用してそれっぽことを言うと、ヴァミリオラもさすがに感心したような目を向けてきた。

「貴方のそういうところだけは敬意を払うわ。そういうところだけは、ね」

「ミリー、そういう言い方は陛下に失礼よ」

聖女オルティアナがたしなめ、将軍リンもそれに同調してうなずいた。

「陛下はすべてが尊敬に値する素晴らしいお方だ。ヴァミリオラもじきにそれがわかるようになるだろう」

「リンは入れ込み過ぎだと思うわ。将軍として一歩引かなければいけない立場でしょう?」

「以前は一歩どころではなく引いていた。だからこそ陛下の素晴らしさがわかったのだ」

「まったく、リンは剣が強い者には弱いから……」

大人組がそんな話をしているのを、フォルシーナたちが不思議そうな顔で見つめている。

と思ったら、フォルシーナはいつものとおりペンとノートを取り出して記録を取り始めた。マリアンロッテが隣で助言をしているのもなにか意味深な感じである。

ともかく立ち止まっていると、女子メンバーはずっと喋っていそうな気もする。俺は視線を南の平原から北へと向けた。

眼前に広がるのは鬱蒼とした『万魔の森』。そして、その奥には岩山が幾重にも並ぶ『千剣山脈』。

空が曇っていることもあって、いかにもゲームの終盤フィールドといった重々しい雰囲気を醸し出している。

「さて、ここで話をしていても仕方がない。この森と山岳地帯を抜け、『魔族領』へと向かうことにしようか」

俺は皆にそう言って、恐らくは魔族軍が切り拓いたのであろう、森に開けた道の入り口に向かって歩き出した。