軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

13章 → 14章

―― ベランゴル民主国 首相執務室

「なんだと!? 神聖インテクルース王国の軍は死に体ではなかったのか!?」

「はっ! それが、こちらの軍を圧倒するほどの軍勢を揃えており、セドレン将軍が突撃したもののすぐに倒され、その後もほとんど戦らしい戦にもならず、パリヨー将軍の指揮の元退却したとのことです」

「ミルザム王国軍はどうした!? こちらにインテクルースが南部の防備を固めていたのなら、西から攻めたミルザムは易々と王都を落とせたはずだ」

「それが……主力の 鋼鉄騎士隊(アイアンナイツ) が壊滅、団長であるジャマザ将軍は捕えられ、しかもその場にはマークスチュアート王が従える巨大なドラゴンと巨鳥までが出現し、為すすべなく潰走したそうです」

「なんだそれは!? そんなふざけた報告を、よく首相たる私のところまで届けられたものだな!」

「しかしミルザム軍が敗れたのは事実です。ミランドラ先代王妃は神聖インテクルース王国側に引き渡され、ミルザム王国は大義名分を失いました。此度の戦いは……残念ながら失敗に終わったということではないでしょうか」

「失敗かどうかは私が決めることだ、差し出口を利くな! しかしミルザムの大猿が、大きな口を利いておきながらなんていう体たらくだ。それで、こちらの軍の被害はどの程度なのかね」

「パリヨー将軍の指揮によって兵士の被害は軽微とのことです」

「ならばインテクルースが攻めてきても守れるか。兵が健在であるのに退くというのは将軍として職務放棄の 誹(そし) りは免れないが……だがパリヨー以外に頼るものはない。ここはひとつ大目に見て恩を売っておくか」

「……それが、パリヨー将軍と、随行していたワリャール議員が、他の議員を集めて大変なことを言っているのです」

「なにを言っているのだ」

「今すぐ現首相を罷免しなければ、神聖インテクルース王国の国王の怒りに触れて、議員全員が縛り首になると言っているのです」

「なんと愚かな! しかも他国の王の言に惑わされ、そのようなことを言い出すとは! パリヨーもワリャールもそこまで愚昧な人間だったか!」

「しかもリヴィヨン・マイワールを始めとして、獄につながれた政治犯たちを解放しようという動きもあるようです。すでに一部の議員が改革派を名乗り始めており、臨時議会の開会を要求してきております」

「リヴィヨンだと? なるほど、その改革派とやらが神輿として担ぎ上げるつもりか! まったく度し難い連中だ。民の支持を得ているのは私であり、それに反する行動を起こす者はすべて国家の敵となる。すぐに逮捕するよう手配したまえ!」

「そ、それが……」

「なにかね?」

「先ほども申しましたが、パリヨー将軍が改革派についておりまして、大多数の国軍の兵士もそちらに従うでしょう。警官隊を動員して無理に阻止しようとすれば、軍を刺激する恐れもあります」

「く……っ、完全なクーデターに移行されるということか! ならばまずは正当な手続きによって臨時議会を開くしかないか。そこで私の首相継続が採決されればそれで問題はあるまい。いや、それとも集まったところで反逆者どもを一網打尽にするか……?」

「首相……」

「万一に備えて私の家から兵を出しておこう。最悪の場合、行政府周辺を封鎖して抗戦の構えを取ることも必要だ。その上で、国民投票による再選挙を求めれば、誰がこの国の代表として相応しいのか再確認できるだろう」

「いえ首相……」

「どうした、さっさと臨時議会招集の手続きをしたまえ。それから神聖インテクルース王国の使者は取り次ぐ必要はない。理由をつけて追い返すよう言っておきたまえ」

「しゅ、首相、それはあまりに危険では……」

「差し出口を利くなと言ったはずだ。すぐに私の言ったことを実行しろ。それとも、お前が囲っている歌姫の存在を奥方に知られたいのか?」

「……っ!? しょ、承知しました!」

「まったく、どいつもこいつも鈍いやつらばかりで困ったものだ。やはりこの国には私のような優れた人間が必要なようだな」