作品タイトル不明
凶刃
イーグレットの周りは娼婦の様な女と蠍が堅めていた。
更にはその背後、壁に背を預ける様に立つ男にも見覚えが有った。
「あいつ……!」
あの時、以前アリスが誘拐された時に戦った伯爵二位の悪魔、アルトロス・イザードだ。
イーグレットと繋がっていたのか。
私達が戦闘態勢を取ると、向こうも動き出す。
蠍が踏み込み、私の首を狙って来たが、その攻撃はエルザに受け止められる。
「いきなり大将首を狙う物ではないぞ」
「あら、初めて聞く言葉ね」
エルザが拳を振るう。
蠍はガードするが、バルコニーのガラスを突き破り、中庭へと落ちて行く。
奴は召喚魔法を使えるモンスターテイマー。
見えない場所に放置するのは悪手ね。
エルザも同様に考えたのか、迷う事なく蠍を追ってバルコニーから飛び降りて行った。
「神器【神の恵みを刈り取る刃】」
刀身から柄まで真白な大鎌を作り出すと、肩に担ぎ上げた。
「あの悪魔は私が相手をするッス」
「ほう?貴様は確かあの時の女だな。
良いだろう。私の目的を遂げる為にもお前たちを排除する必要があるからな」
「アルトロス卿が協力してくれるとは有り難いな。俺の大望も後少しだ」
「黙れ、イーグレット。私は貴様の大望とやらには興味は無い。さっさと計画を進めろ」
アルトロスはイーグレットを睨む様に言った。
彼らの目的は一致していないのか?
「では私の相手はそちらのセクシーなお姉さんですね」
「ふふ、烏と呼んで頂戴な、漆黒のユウさん」
ユウが烏を牽制している間に、ティーダがアルロトスと剣と大鎌を打ち合わせながら場所を移す。
「俺は君をずっと求めていたんだ。君の『イブ』の力をね」
「イブ?何を言っているのかわからないけど……死ぬ前にアリスを返しなさい」
「ん?ああ、良いぞ」
「え?」
イーグレットが指を鳴らすと召喚の魔法陣に似た光の中からアリスが現れた。
「アリス⁉︎」
「マ……ママ……あぐっ?」
「っ⁉︎」
光か消えると同時に、イーグレットの神器であるシャムシールの刃がアリスの胸を貫いた。