作品タイトル不明
異形のフリード⑥
蚕に牢から引き摺り出された俺は、奴が実験室と呼ぶ部屋に連れていかれた。
そこは何度も俺の体をいじくり回された部屋。
当然、道中は必死に抵抗したが、その度に気絶しないギリギリの痛みを与えられる。
それが3回も続けばもはや抵抗する気力など残ってはいなかった。
実験室に押し込まれた俺の目に、昨日から牢に戻っていなかった父上の姿が入って来た。
「う⁉︎うげぇぇえ!!」
胃の中身、大した物は与えられていないのでほとんど胃液だけだったが、それを吐き出した。
台の上に寝かされた父上は、両手足が無く、腹には大きな穴が開けられ、蠢く内臓が露出し、いじられている途中だったのか、よく分からない器具が乱雑に内臓の中に突っ込まれている格好だった。
「うぅ……フ……リー……」
父上は空な目で俺を見ると小さく呟く。
あの様な状態になってさえ、意識があるのかと、俺は戦慄を覚えた。
「さて、始めようか」
蚕がそう言うと、兵士の格好をした男達が俺を父上の隣へと拘束した。
「い、嫌だ!やめ、やめてくれ!お願いします!お願いします!」
いくら懇願しても無駄だとわかっていた。
こいつらは俺をただの実験動物としか見ていない。
それから俺は意識を失う事すら許されず、奇妙な心臓の様な物体を体に埋め込まれ、更に父上の体の一部と頭をくっつけられたのだ。
全身には力がみなぎっている。
だが、それと同時に激痛と不快感が常につきまとい、発狂しては元に戻されるのを繰り返していた。
イーグレットの仲間の命令に逆らう事は出来ず、エリザベートの前に連れて行かれた俺は、彼女に対する怒りと助けて欲しいと言う願い、嫉妬や絶望、苦しみなどの感情が混ざり合う。
そして俺の意思とは関係なく、エリザベートとその仲間と戦い始めた。
俺の体は少し動くだけで経験したことの無い程の激痛が走り、すぐに治癒する。
例え殺されたとしても、直ぐに再生する地獄の様な体になってしまっていた。
最後にはエリザベートの魔法で俺の魔力を封じられた。
これで漸く解放されるのかと安堵したのだが、エリザベートは俺を殺す事を諦め、石の棺に閉じ込めて地下深くへと封印してしまったのだ。
あれからどれくらいの年月が経っただろうか。
俺は死ぬ事も発狂する事も出来ず、酸欠と飢餓、脱水で死ぬ度に再生し、時たま思い出した様に胸の父上の顔と罵り合いながら永遠の時間を過ごすのだった。