軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

異形のフリード④

醜い異形と化したフリードは溶解液を撒き散らしながら跳ね回る。

フリードの溶解液は自身の体をも溶かしてしまう様で、その痛みで全身の口から叫び声を上げる。

私は【暴食の魔導書】を捲り、目的のページを開く。

「【岩牢】」

地面から飛び出した岩が格子状に組み合わさりフリードの動きを阻害する。

それに合わせる様にティーダとシスティアが拘束魔法を重ね掛けする。

泥と光で更に身動きが制限されたフリードは、全身にできた目玉で私を睨む。

「たぁぁぁあすぅぅぅけぇぇぇえ」

「無理よ」

フリューゲルを抜いた私はフリードを12に分割する。

「【凍結】」

バラバラになったまま氷漬けになったフリードだが、直ぐに氷を砕いて再生してしまった。

「これでもダメか」

「もう嫌になって来たッス」

フリードがグニャグニャと再生する間に嫌な顔をする2人の側に寄った私は2人に短く伝える。

「少し気になる事があるわ」

私はフリードの再生を見て1つ気付いた事が有った。

それはフリードが再生する時に殆ど魔力が漏れていなかった事だ。

つまり、フリードの体内だけで魔力の循環が完成していると言う事だ。

そんな事が可能だとは到底信じられないが、もしイーグレットがそれを可能としたならば、理論上はフリードは永遠の命を得たことになる。

それならば対処法は1つしかない。

その要となるのはティーダだ。

彼女は自らの神器である真白な大鎌を具現化し、再生したフリードに切り掛かって行く。

未だに形を変えているフリードから幾つもの雷撃が放たれるが、その多くをティーダの大鎌が打ち払う。

撃ち漏らした物も私やシスティアが魔法で受け止めた。

そして人の形に戻ったフリードの胸をティーダの大鎌の刃が貫く。

その刃を通してティーダの聖属性の魔力が注ぎ込まれた。

「ぐげぇぇぇえええええ!!!!」

「うをぉ!本当に効いたッス!」

やはりか。

光属性の派生である聖属性は邪悪な物を打ち払うだけではなく、この世の理を正す力がある。

フリードに埋め込まれた力は世界のルールに反する物。

1500年前、勇者に倒された悪魔王が残した伝説の遺産、旧神の心臓の可能性がある。

そんな御伽話の中の産物が実在するとは驚きだが、それが1番しっくり来る答えだった。

「【強欲の魔導書】」

神器から取り出したのは魔法陣が刻まれた布だ。

この布に刻まれているのは魔封じの枷を作る時に使用する物である。

それも、古文書を解読し古王国のマジックアイテムを再現する過程で生まれた封印術が記されている。

ティーダの魔力を受けて元の姿に戻ったフリードに封印術を撃ち込んだ。

これでフリードは魔力を魔法に変換できない筈だ。

だが、体内に作用する再生能力を封じることは叶わない。

「はあ、はあ、エ…リザ……」

両腕をついて私を見上げるフリードの顔を蹴り飛ばす。

「おごっ⁉︎」

「大人しくしていなさい。

貴方に構っている時間が勿体無いのよ」

「貴様!ごふっ」

口答えしようとするフリードをもう1度蹴る。

ブラートの方はもう反抗する気力も無いのか、痛みに呻くだけで何も言わない。

【暴食の魔導書】を取り出した私に怯えた目でフリードは声を上げる。

「ま、待て!待ってくれ!」

「【石棺】」

「まっ…………」

分厚い石の棺がフリードを閉じ込めた。

「システィア!」

「いいんだな?」

「ええ、やって頂戴」

「【泥沼】」

システィアが地面に手をつくと、フリードが入った石の棺が泥と化した地面の中へと飲み込まれていった。

魔法が使えないフリードは脱出する事は出来ないだろう。

フリードとブラートは、これからずっと地下深くで永遠に生き続ける事になるだろう。

窒息死や餓死する度に、発狂する度に、元の状態に再生しながら永遠の時を過ごすのだ。