軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二次ブートキャンプ ㊶

良いね。

ナーガ川の上流でピクニックすれば、もっと伸びるだろう。

新人さんたちでエウリさんとエングさんのエクラーダ組も連れて行くべきだろうか。

エウリさんたちを連れていくならアスクレーくんも連れて行くべきだな。

「・・・ぐっへっへ」

さて。あの半ば引き籠もりのアスクレーくんを、どうやって部屋から引っ張り出して連行するか、作戦を考えておかないと。

いかにして道連れにしてやろうかと考えていたら、横合いから伸びてきた手に両の頬肉をグニッと掴まれてグリッと顔の向きを変えられた。

無理やり向けられた私の顔の正面にいるのはルナリアだ。

「・・・はひひゅんほ」

「何すんのじゃないわよ!」

「・・・ええ?」

なんで怒ってんの?

ていうか、頬を引っ張られてまともに発音できていなかったのに、よく私の言ってることが分かったね?

ほっぺがビローンと伸びきる前に掴んでいる手を離してくれたので、スリスリと摩る。

ほっぺ、コブ取り爺さんみたいに伸びてないよね?

コブで思い出したけど、日高昆布と羅臼昆布は生物種から違う種だと知ったときは驚いたなあ。

「えっ? 同じ昆布じゃないの?」って感じだったけど、同じ北海道沿岸でも植生環境の違いを知って納得したんだよ。

欲しいなあ、昆布。

私が現実逃避していても、プンスコと怒っているルナリアは機嫌を直してはくれなかった。

「話し掛けても返事をしなくなったと思ったら急にヘンな声で笑い出すし、何を企んでるのか吐きなさい!」

「・・・何って、部屋に籠もって出て来ない社会不適合者予備軍の社会復帰介護計画?」

ルナリア警部の取り調べに供述したら、怪訝な顔で首を傾げられた。

アスクレーくんに会ったことがないエターナさんも首を傾げている。

「しゃかい・・・何?」

「ああ。アスクレー様のことですか」

レヴィアさんは「引き籠もって出て来ない」の 件(くだり) で察してくれた模様。

「・・・そそ。アスクレーくんを、どうやってナーガ川上流へ連れ出そうかなって」

「アスクレーは・・・、まあ、ほどほどにしておきなさいよね」

ルナリアがアスクレーくんは何だと言い掛けたのか分からないけど、諦めたように首を振りながら構想自体は無事に容認されたから結果オーライだろう。

ナイスプレーだよアスクレーくん! 私は許された!

「・・・それで何だった?」

「血を飲むのよね? 作業が終わらないから、さっさと飲んじゃいなさいよ」

「・・・あっ。ゴメンゴメン」

周りを見回せば、ピーシーズや新人さんたちどころか猟師さんたちも血を飲み終わっていて、私がボーッとしていたせいで回収作業が止まってしまっている。

これはいけない。

何やら生暖かい視線を向けてきている猟師さんたちが取り囲む獲物へと急ぐ。

血抜き作業で吊されているバンダースナッチは、確実に息の根を断つために喉をバッサリと切り裂かれている。

腰に吊っていたマグカップを取り出してポッタポッタと滴る血を受け止める。

もう血抜きが終わりかけているから、一口分が貯まるまで時間が掛かりそう。

カップから目を離して新人さんたちの様子を見回すと、2頭目のバンダースナッチ討伐に取り掛かる前よりも人の数が減ってる気がする。

何人かは気絶したっぽいね?

でも、思ったよりも2頭目で気絶した人数は少ない?

1頭目で気絶したのは11人じゃなかったかな。

崖上に上がった新人さんが37人で、今、起きてるのは20人。

差し引きすれば2頭目で気絶したのは6人か。

2頭目のバンダースナッチは少し小さめだったから、気絶数が少なめだったのはそのせいかな?

ギリギリで3台の荷馬車に積み込めそうな気絶者数で収まって良かったよ。

バンダースナッチよりも弱いシカの血で、これ以上の気絶者が出るとは思えないしね。

ようやく貯まったカップの血をクイッと煽って、水魔法でカップの中に水を生み出して雪ぐ。

ヨシ。残りの獲物を回収して今朝の仕事を終わらせるとするか。

「次に行きやすか?」

「・・・うん」

猟師さんの問いに頷くと、ニッと笑った猟師さんが仲間に向き直る。

「6人残して移動するぞ! 残った6人は獲物を採掘場へ運べ!」

「「「「「うい~っす」」」」」

返事を返した猟師さんたちが吊したバンダースナッチを下ろしに掛かる。