作品タイトル不明
第二次ブートキャンプ ㉔
「・・・ほら。絶対に出来るから、頑張ってみよう」
「「は、はいっ」」
防御魔法を出したり引っ込めたりし始めた2人を監督する。
ジアンさんがどんな特訓をしたのか怖くて詳しく聞いていないけど、私もピーシーズの特訓をしているわけだから厳しく当たるべきなんだろうか?
でも、女の子だからなあ。
女の子の特訓と言えば、宗方コーチ? それとも本郷コーチ?
「涙が出ちゃう」とか言われたら私のメンタルにもダメージが入りそう。
うーん? メリーナさんだからなあ。
亀仙人的にパフパフを要求すれば、メリーナさんも必死になって成功しないかな。
パフパフするおっぱいが無いアイシアちゃんは―――、イカンイカン。
おっぱいが無いのは私も同じだからブーメランが戻って来て私に突き刺さってしまう。
うん? 私が真面目な顔でメリーナさんのおっぱいをガン見しながらバカなことを考えているうちに、魔法の発動で魔力の動きが感じられる場所が2人から数メートルも離れていることに気付いた。
これ、チマチマと距離を伸ばさなくても、そろそろイケるんじゃない?
「・・・2人とも、結構、距離が取れてきてるから、もうちょっとだけ距離を伸ばす幅を広げてみない?」
「「―――ッ!!」」
メリーナさんとアイシアちゃんが驚いた顔をするけど、2人ともセンスは良いんだよね。
順調に距離を伸ばせているなら、コツを掴み始めている可能性が高い。
もう少しだけ冒険してみても、2人なら乗り越えられるんじゃないかと期待する。
「やってみます」
決意の籠もったメリーナさんの返事に合わせて、アイシアちゃんも無言で頷く。
行け! へこたれるな! きっと出来るはず! 2人の気合いが伝染して私の肩にも力が入る。
グッと小枝を睨む2人の魔力が動いたのを感じ取る。
動いた!! 魔力じゃなく小枝がだよ!
「・・・ヨシッ!!」
「やった!!」
「やれました!!」
私がグッと拳を握ると同時に喜びの声が上がった。
2人の見えない「手」が掴んでいるのであろう2本の小枝が、空中でヒュンヒュンと風を切っている。
喜んでピョンコピョンコと飛び跳ねるもんだから、上下に振り回されたメリーナさんのアレもエラいことになってポヨヨンポヨヨンと風を切っている。
自分の胸を見下ろしてペタペタと平たい胸を確かめる。
うーむ。あそこまでは高望みしないけど、私のも成長してくれるだろうか。
あれだけ荒ぶっても千切れて飛んで行かないのだから人体って不思議だよね。
飛んで行ったら私が追い掛けて回転レシーブで打ち返すのに。
ともあれ、はあ~。良かった。
これでピーシーズの誰を送り出しても任務を果たしてくれるだろうと安心できるよ。
「・・・感触を忘れないように何度も繰り返すんだよ」
「「はいっ!」」
2人を引き連れてネイアさんたち3人と合流する。
歩きながら崖面を見上げたら、驚いたことに崖面の穴には全て丸太材が刺さっていて、早くも4本の柱とロープで緊結されている。
「・・・すごいね。もう半分終わってる」
「が、頑張りました」
声を掛けると汗だくになったネイアさんがフーフーと鼻息も荒く返してきた。
めちゃくちゃイイ笑顔だけど、血走った目が半分イっちゃっている。
これってナチュラルハイってヤツかな。
魔力の手をマスターして、よほど嬉しかったのだろうことは理解したけど、頑張りすぎじゃない?
かなり疲労の色が見えるし、この調子で作業を続けさせたら、帰り道はネイアさんも荷馬車に積まれることになりそうだ。
「・・・取りあえず、ネイアさんは休憩! オーリアちゃんとナンナちゃんも! メリーナさん、アイシアちゃん、交代してあげて!」
「「はいっ!」」
ヤル気マンマンで腕まくりしそうな勢いのメリーナさんとアイシアちゃんが前に出る。
入れ替わりに、立っているだけでフラフラしているネイアさんの体を両脇からオーリアちゃんとナンナちゃんが支えに行った途端、気力が途切れたネイアさんがバランスを崩して仰向けに傾いて行く。
「「わあああっ」」
急にネイアさんの体重が掛かって、支えきれなかったオーリアちゃんとナンナちゃんごとひっくり返った。
普段だったら支えきれたのだろうけど、3人とも魔力切れ寸前で足元がフラフラだったからねえ。
一応、訊いておくか。
大の字になっている3人に歩み寄って真上から顔を覗き込む。
「・・・大丈夫?」
「「「だ、だいじょうぶでーす・・・」」」
あんまり心配していなかったけど、大丈夫だそうだ。
返事できているのだから、少し休めば復活するだろう。