軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二次ブートキャンプ ⑬

それぞれに向けてチョイチョイと手招きすると、アイシアちゃん以外のピーシーズが集まってくる。

他のピーシーズが呼び集められたことに気付いたアイシアちゃんが、焦った表情で調教中の筋肉の塊と私の間で目線を行ったり来たりさせ始めた。

良いよ良いよ、と、手を振ってみせると、ホッとした表情で筋肉の塊を監視する作業に戻った。

私の見込みだと、アリアナさんに気質が近いアイシアちゃんは、今回の派遣部隊の選抜には入らないと思うから慌てなくて良い。

「何か有りましたか?」

「・・・うん。交代要員で誰に王都へ行って貰うかの順番を決めようかと思って」

呼び集められたことで警戒レベルが上がって周囲に視線を飛ばしつつ戻って来たネイアさんに答えると、視線が私に戻ってきてネイアさんが肩の力を抜いた。

「クラリカたち4人との交代で任務に就く3人でしたね」

「・・・そそ。覚えてると思うけど、第一の任務は駐留期間中のテレサの護衛。第二に部隊の育成。第三に問題点の洗い出しと、王都側とウォーレス領の連絡調整役になるよ」

「どれも、かなり重要ですね」

メリーナさんが難しい顔をする。

そりゃあ、そうなるよね。

相手はリアルプリンセスで、その護衛部隊の指揮を執ることになって、自分を守ってくれる上司が同行しないんだから。

普通に考えれば、ミスしたらどうしよう? とか不安になるだろうし。

メリーナさんが言うように、重要なことは重要なんだけど、よほどのミスをしない限りは大丈夫だと思うんだけどね。

護衛の仕事は第一に要人の傍に存在して抑止力になることだ。そういう意味では、みんなしっかりと自分の仕事を出来ていると思うけど、みんなはまだ、日本で言えば女子中学生だからね。

日本の常識で言うなら、被保護者で居られるのが当たり前な年齢なんだから。

忘れそうになるけど、忘れちゃいけない。

今回は私自身が上司―――、保護者として同行できないからこそ、保護者として、プレッシャーが掛かりすぎて凡ミスしないように、もう一歩踏み込んでフォローしておこうかな。

ガチガチに緊張しての1ヶ月間なんて、みんなの方が先に潰れちゃう。

難しい顔が伝染してしまっているみんなの顔を見回す。

「・・・まあ、そうなんだけど、そこまで大変じゃないと思うよ」

「そうなのですか?」

4人が揃って目を丸くするけど疑念を抱かれてる気配は感じるなあ。

私が王様や王妃様と会ってたときに同行できていれば、話の通じる人たちだと理解できたのだろうけど、みんなは同行できずに待機部屋へ詰め込まれてたからね。

ひとつ一つの対処法が分かっていれば、少しは気が楽になるかな?

ヨシ。任務内容をお 復習(さら) いしておこう。

みんなに見えるように、ピッと人差し指を立ててみせる。

「・・・先ず、テレサの護衛はアリアナさんが中心だから、アリアナさんと相談しながらアリアナさんを補佐する立場と思えばいい」

「元々、アリアナの負担を減らすのが目的でしたね」

「それなら多少は気が楽になります」

アリアナさんと同じ歳のメリーナさんとネイアさんの表情が少し柔らかくなる。

同郷で同年だけ有って、3人は元々、友人だったみたいだからね。

武力に優れたアリアナさんに、人当たりの柔らかいメリーナさんに、機転が利いてフォローが上手いネイアさん。

バランス的にも仲が良かった理由が察せられる。

でもまあ、メリーナさんとネイアさんの二人には、今回は引率者として別グループに分かれて貰うことになると思うけどね。

もう1本、ピッと中指を立ててVサインにする。

「・・・次に、部隊の育成はテレサの親衛隊や王都騎士団とも相談しながら訓練場を使わせて貰って、向こうに駐留している1ヶ月間の間に衰えていなければ問題ないよ。本格的な訓練は、ウォーレス領に帰ってきている間にする方が、頼りになる先輩たちが山ほど居て効率的だからね。エゼリアさんとアンリカさんはお嫁に行っちゃうけど、お母様の側近が全員いなくなるわけじゃない」

「ああ、確かに」

「維持するだけなら、私たちの負担は大きくないですね」

オーリアちゃんがポンと手を打ち、ナンナちゃんが納得顔で頷く。要は、サボっていなければ良いのだ。

しかも、王都騎士団にも強い騎士様は山ほど居る。