軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二次ブートキャンプ ⑭

様々な技術やクセを持つ相手との模擬戦で経験を重ねることは、間違いなく、みんなの財産になる。

王都騎士団がウォーレス領の騎士団と大差が無いなら、未来のお嫁さん候補探しのためにも、きっと相手をしてくれる。

その中でお眼鏡に適う有能な騎士様を見つけられれば、是非とも、ウォーレス領へお持ち帰りして来て欲しい。

王都騎士団で務められるレベルの騎士様なら、いくら増えても構わない。

基礎値が高いのだから、力量が足りない分はウォーレス領に引き込んでから鍛え直せば良い。

狙い目は王女殿下親衛隊の騎士様かなあ。

王国への忠誠心も高いし、ウォーレス領に馴染んでいる人たちが多いから、ウォーレス領としては受け入れることに否やは無い。

ピッと薬指も立てて、3本目。

「・・・駐留時の問題点の洗い出しは部隊の子からも意見を出させて、問題を見つけたときに、箇条書きにして持ち帰ってきて。王家だけじゃなくウォーレス領との摺り合わせも必要だし、王都邸にはロス家のヘイナーさんたちも居るから、相談すると良いよ」

「私たちは王都邸で寝泊まりするのでしたか」

「ウォーレス領との連絡役はロス家に任せて良いのですよね?」

メリーナさんが思い出すようにして、ネイアさんは仕事範囲の分担を問うてくる。

4人とも、表情から不安感は消えてるね。

しっかりと頷き返して、大丈夫だ、と意識付けする。

「・・・うん。ロス家はミリア叔母様と連携してるから、ミリア叔母様も助けてくれるよ。それに、ずっと王城の中に居たら息が詰まるよね?」

「油断できませんからね。王城から離れて息抜き出来る時間が作れるのは助かります」

「ロス家やミリア様を頼れるのも安心できます」

ロス家とピーシス家は、そこまで普段の交流は無かったそうだけど、ミセラさんたちと馴染んだことで、ピーシーズは心理的にロス家との距離感が近い。

子供たちだけでの長期合宿先で親戚の家を使わせて貰うような感覚だろう。

実際、親戚なんだけどね。

ミリア叔母様は親戚の中でも頼り甲斐の有る実力者だし、これほど心強い存在は居ないはずだ。

みんながホッとした表情で緊張を解いている。

ここで見せていた手を下げて、オマケのお願いをねじ込む。

「・・・その上で、なんだけど、任務の合間に“魔力の手”をテレサとアリアナさんに教えて欲しいんだよ」

「その・・・、教えて良いんですか?」

4人揃って目を丸くした後、代表するように口を開いたのはオーリアちゃんだ。

それは、魔力の手が私の奥の手なのに、って意味かな?

反対されるかも、と警戒していたけど、返ってきたのは反発と言ったものでは無く、懸念というか、心配そうな反応だった。

「・・・良いんだよ。あの二人にとっても“魔力の手”は切り札になるから。二人が他の人に教えることが有るとしても、国王陛下と王妃様ぐらいだろうし」

「確かに。情報を広めるほど王家自身が危険になるのだから、切り札を明かすことは無いでしょうね」

腕組みで思案顔になったネイアさんが頷く。

ネイアさんも、同じように頷いたメリーナさんも、テレサがレティアに居た頃は傍に付いていることが多かったし、テレサの性格をそれなりに把握している。

アリアナさんの性格なんて、もっとだ。

「・・・そういうこと」

それに、私だって成長の歩みを止めるつもりは無いんだしね。

むしろ、それぞれに研鑽して、私が思い付かない使い方を思い付いたらフィードバックして欲しい。

技術なんてものは一人で抱え込むよりも多角的に研究した方が発展するものなんだし。

だから、魔力の手を教えることはぜんぜん構わない。

拡散させない範囲の人たちになら、ね。

「・・・ただし、テレサたちに教えるのは文書を作ったりせず 口伝(くでん) でね。王家居住区画のあちこちに近衛部隊が潜んでるはずだから、どこで教えれば良いかはテレサに直接訊くと良いよ」

「「「「えっ!?」」」」

念のために注意事項を添えたら、ここまで話した中で一番の反応で4人が揃って目を剥いた。

なに? 気付いてなかったの?

特に顔色を変えて青くなったのは、年齢のわりに発育が良くて母性を感じさせるメリーナさんだ。

「潜んでたんですか?」

「・・・潜んでないわけが無いじゃん」

卒倒しそうな顔で額に手を当ててメリーナさんが首を振る。

表面上は、あれだけ人気が無くて目立たないからこそ、いないわけが無い。

きっと、人目に付かないような、隠し通路とか、どんでん返しだとか、監視部屋だとか、緊急時の突入用経路だとか、そんなものだらけだったのだろうと私は確信している。

そうでもなければ、室内で呼び鈴を鳴らして、僅かな時間で先導メイドさんが息も切らさず駆けつけられるわけが無いのだから。

それを証明するように、あの先導メイドさんたちも、エゼリアさんたちやミセラさんたちのように、気配を消し足音を立てない訓練を受けている形跡が有った。