作品タイトル不明
初めての新年 ③
最速でアリアナさんと肉体言語で解り合えば、アリアナさんに信用を置いているテレサが味方になる。
テレサが味方になるということは、王妃様を味方に付けることになるだろう。
今のカレリーヌ様と会ったところで取って食われることはないだろうけど、きっとテレサも王妃様も同席してくれるだろうから、保険が有るに越したことはない。
「テレサ様にアリアナ様、ですか。テレサ様と仰る方は、もしや、アリストテレジア王女殿下でしょうか?」
「・・・そうだよ。ルナリアと私の同志だから信用して大丈夫だよ」
自国のリアルプリンセスを呼び捨てにしていることに驚いたのか、それとも距離感の近さに驚いたのか、エターナさんは目を丸くしてフリーズしてしまった。
エターナさんの反応にお母様が苦笑する。
「アリアナはアンリカの妹だな。フィオレの側近だが、信頼の置ける側近がいない殿下のために、フィオレの命で殿下の護衛騎士として長期任務に就いている」
「ふぃ、フィオレ様の側近が、王女殿下の側近の任に就いているのですか?」
パチパチと瞬きして再起動したエターナさんが、信じ難いといった表情で確認してくる。
まあ、普通じゃないよね。
でも、色々と有った結果なんだよ。
何より、私が決めた、私の信念でも有る。
覚悟と決意を含ませてエターナさんに頷き返す。
「・・・うん。テレサを危険に晒す敵は私が許さない」
「わたしも許さないわよ!」
うん? 乗っかってきたルナリアに目を向けると、フンスと鼻息を荒くしている。
そっか。そうだよね。
「・・・訂正。ルナリアと私が許さない」
お爺様たちもお婆様たちもお母様たちもクスリと笑う。
締まらない? そんなの、いつものことだよ。
泥臭くたって、不格好だって、私たちは貫き通す。
「なるほど・・・。王都の交代部隊とは、そういった部隊なのですね。承知しました」
私たちの思いを感じ取ってくれたらしいエターナさんが、表情を引き締めて頷く。
私の側近で有る限り、エターナさんも巻き込まれて貰うよ。
王様もカレリーヌ様も見るのは「そこ」だと思うから、あのお二人に会うなら分かっていて貰わないと困る。
「王都騎士団は王家直属でな。それなりに強い騎士がゴロゴロ居るぞ」
「そうですか。それは楽しみです」
お母様がニヤリと笑うと、エターナさんも強気にニヤリと笑い返す。
ああ、コレ、お母様が焚きつけて、エターナさんが乗ったのか。
暴れてこい、と。
何となく、この辺りのノリは分かるようになってきた。
というか、舐められないように初手で一発ぶちかますのは、私の方法論と同じだ。
そして、それはアリアナさんも同じ。
「・・・アリアナさんも強いからね。私の推測だと、エターナさんはアリアナさんと気が合うと思うよ」
「そうなのですね。連携が取れるように親交を深めて参ります」
その親交、肉体言語だよね?
エターナさんって、ウォーレス領向きだわ。
間違いなく、すぐに馴染むと思うよ。
一通りの方向性が決まったと見て取ったお父様が締めに掛かる。
「王都での駐留期間は1ヶ月間だが、リテルダニア王国というものを見てくると良い」
「はっ。しっかりと学んで参ります」
他に王都で過ごす上での注意事項は無かったよね?
王都・・・? ハッ! 王都じゃん!!
第2次耕作候補調査のチャンスだよ!
オリーブとトマトはアタリを引いたと思うけど、オリーブは育てるのが難しい上に収穫を始められるまで4~5年も掛かったはず。
挿し木で株を増やすのが王道で、オリーブを種から育てて農園化するには麻袋一つの量では不安が残る。
だって、種の発芽率が10~20%だったはずなんだよ。
あらゆる手を尽くして絶対に育て上げてみせるつもりだけど、私自身は農業未経験者だし、上手く行く保証なんてどこにも無い。
トマトはドライトマトから摘出した種を使ってこの春から作付けに挑戦して貰うつもりだけど、おカネになったり食生活を豊かに出来そうだったりの作物は、もっと種類が欲しい。
クラリカさんたちが送ってくれた農作物の中には香辛料の類いが唐辛子しか無かったしね。
甜菜は、かなりの品種改良が必要な補欠選手だから、今のところノーカンなんだよ。
これは、是非とも追加調査をお願いしておかねば!
「・・・エターナさん! ついでに、市場や商店で珍しい農作物を見つけたら買ってきて欲しい!」
「フィオレ。あんまり余計な仕事を増やしてやるな」
「・・・はーい」
シュバッと手を挙げたら、即座にお母様から釘を刺された。