軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

初めての新年 ①

「・・・あれ? 一緒に食べないの?」

メイドさんが晩餐の時間だと呼びに来て、髪を梳かし直されて再びドレスに着替えさせられ、まだ寝足りない様子で目を擦っているノーアを連れて食堂の椅子に着いてみれば、なぜだか、お客様扱いだったはずのエターナさんが、ミセラさんたちと同じメイド服を着て壁際に控えていた。

もちろん、当然のように騎士の魂で有る剣を腰に佩いている。

「私はフィオレ様にお仕えする騎士の一人となりました。申しわけございませんが、食事をご一緒させていただくわけには参りません」

「・・・そ、そうなんだ」

私たちが暢気に爆睡している間に、何らかの状況変化が有ったのかな?

ディディエさんたちみたいなキラッキラの目で確たる信念のようなものを語るエターナさんの答えに、なんでメイド服? とは訊けなかった。

「・・・エウリさんとエングさんは?」

それ以上、ツッコんではいけない空気を感じて、姿が見えないエウリさんたちへと話題を変えてみた。

エゼリアさんたちかミセラさんたちの影響を感じてならないけど、エターナさんがみんなと仲良く出来ているのなら、それはそれで良いことだ。

「領境の関所まで民を迎えに向かいました。民の護衛に就いている騎士も、まだ数人おりますので。私はフィオレ様にお仕えしつつ、領主館で到着した民を迎え入れよと」

「・・・ふーん・・・。そっか」

他にも生き残りの騎士が居るというのは新情報だな。

お爺様たちは聞いてたんだろうけど。

詳しく訊けていないけど、エウリさんたちとエターナさんは所属が同じっぽいんだよね。

エターナさんは命令を受けたのかな?

今の言い方からすると、エウリさんかエングさんがエターナさんの上司っぽい?

それにしても、エングさんたちだけで難民を誘導しに行ったのか。

ウォーレス領内は高度に治安が保たれているけど、―――、いいや。高度に治安が保たれているからこそ、異民族なのにエングさんたちだけでウロウロして大丈夫かな・・・。

心配が私の顔に出ていたのか、ハインズお爺様が答えをくれた。

「心配するでない。三人は既に新領地の騎士として登録する準備を進めておる。民を迎えに出た二人にも命令書を持たせておるから、関所で任務に就く体裁は整っておる」

「・・・はい。ありがとうございます」

命令書ってことは、お父様公認の立場を得たってことだ。

そっか。さすがハインズお爺様たちだ。

私が懸念する程度の事態は想定済みで手を打ってくれていた。

頭を下げてお礼を言っていると、マルキオお爺様が、何やら言いにくそうに口を開いた。

「フィオレよ。あの二人のことなのだがな」

「・・・エウリさんとエングさんですか?」

何か有ったのかな?

あの二人も、実に騎士っぽいというか、真面目っぽいというか、悪い感じでは無さそうだし、お爺様たちもお婆様たちもお母様たちも、好感度レベル的に良さそうだと思ってたんだけど。

「うむ。アスクレーに付けたいと考えているのだが、お前はどう思う?」

おっと。私の心配の真逆だったか。

拾ったばかりの人材を大事な孫の傍に付けるって、相当に気に入ってるんだね。

言いにくそうだったのは、私の庇護下というか、管轄下の人材をアスクレーくんの部下として引き抜くことになるからかな?

「・・・アスクレーお兄様に・・・。良いのではないかと」

「そうか」

私の返事にお爺様たちとお婆様たちが安心したように息を吐いた。

まだ私は二人の仕事ぶりを見ていないけど、有能な人材なら、性別的に私の傍に付けっ放しに出来ない男性騎士を、半ば遊ばせてしまうことになる。

それを思えば同性のアスクレーくんの傍に付けるのは人材活用的に「有り」じゃないかな。

何でそんな話になったのかというと、魔獣ウォッチは気が済んだのか、年明け早々にアスクレーくんがレティアの町へ帰ってくるのだそうだ。

私が嫌われて実家へ帰ったんじゃなさそうで本当に良かったよ。

で。まだ付ける側近が決まっていなくて、引き籠もりがちなアスクレーくんを社会復帰させるためにも、ウォーレス領の色に染め上げるためにも、実戦経験豊富で指導役が務まる騎士を付けたいと。

まあ、「ウォーレス領の色に染め上げるためにも」とまで言ってしまうのは、ちょっと誇大広告だったかな?

「・・・二人は納得しているのですか?」

「うむ。アスクレーは将来のお前の夫だからな。アスクレーを守るということは、お前を守ることに他ならん。それにな。エクラーダの騎士は盾を使った防御の技術に優れておるのだ」

ははぁ。そこがポイントか。

ウォーレス領の騎士は筋肉で語るタイプだから、「防御が得意」となれば、ノイエラさんと同じでウォーレス領ではレア人材かも知れない。

筋肉で語るのはエクラーダの騎士様も同じかな?

でも、ウォーレス領に優秀な騎士様は山ほど居るけど、防御か攻撃かと分類するなら、圧倒的に攻撃型に偏った騎士様が多いからね。

盾を手に訓練している姿なんて滅多に見掛けないもの。

ピーシス家の騎士様ともなれば、その傾向は、さらに倍率ドンだ。

偏るも何も、最初から攻撃特化の騎士様しか居ないんだから。

お爺様たちもお母様たちも、エクラーダ騎士の防御技術を知っているからこそエウリさんたちの評価が高いんだな。