作品タイトル不明
城壁移設 ⑳
ルナリアにモコモコ不足チェックをして貰いつつ、農家定住化計画の理念をビルドアップながら無心にモコモコバスターをしていたら、ゴール地点が見えてきたようだ。
何かに気付いたように、背中でルナリアがモゾッと動いた。
「あっ。お父様! お母様!」
「・・・ん? おお」
ルナリアの声に視線を上げてみれば、スタート地点だったゴール地点に、エゼリアさんたちとピーシーズとミセラさんたちを引き連れたお父様とお母様の姿が有る。
もうゴールまで100メートルがそこいらで、私の背中で元気に手を振るルナリアに応えてお母様たちが手を振り返している。
私も一応、手を振り返したけど、最後の最後で仕事に手を抜くわけには行かない。
すぐに直下へ意識を向け直してモコモコを踏み踏みする。
通算4キロメートルを踏み踏みしてきた私にしてみれば、ラスト100メートルなんて目と鼻の先で、ほんの数分間で踏ん付け終わる。
お母様たちの目の前で最後の「モコ」をノシっと踏ん付けるとお母様から声が掛かった。
「終わったか? お疲れさん」
「・・・終わった! やり遂げた!」
完全なるミッションコンプリートだよ。
スルスルと「足」を縮め、馬上のお母様の高さに合わせて降下する。
ガッツポーズでお母様に応えると、背中のルナリアも弾んだ声でギュッと抱き付いてきた。
ルナリアも頑張ってくれたから嬉しいんだろうね。
「お疲れさま! フィオレ!」
「・・・ルナリアも、お疲れさま」
二人で今の自分に出来ることを精一杯がんばったのだから、達成感も大きいし、嬉しくて当然だよ。
一昨日の慰霊碑の経験が無かったら達成出来なかっただろうし、経験が次に繋がるのなら、次はルナリアももっとたくさんのことが出来るようになるはずだ。
ルナリアにも労い返していると、お父様のホッとした声が聞こえた。
「ご苦労。まさか午前中で終わるとはな。驚いたよ」
私の 我が儘(わがまま) で始まった子供チャレンジだけど、やれる、とは思ってくれてたんだ?
疲れた様子で息を吐いているから、ずっとハラハラしながら見守ってくれてたんだろうね。
お父様とお母様の信頼を裏切らずに済んで本当に良かったよ。
「・・・ルナリアも手伝ってくれたから」
「そうか。ルナリアも、よくやったな」
ルナリアをヨシヨシしながら答えると、お父様は優しい表情で大きく頷く。
ルナリア大好きなお父様がルナリアの成長を目にして嬉しくないわけがない。
リニア魔法はお母様やお婆様たちから問い詰められるだろうけど、“雷石”が2個あれば日本での知識に触れることなく、問題無く説明できる。
エレーナさんとノイエラさんは「足」を教える約束をしたし、お母様が参加するならエゼリアさんたちも確実に参加する。
面白そうな話にミセラさんたちが散しないわけが無いし、テレサとアリアナさんに伝授して貰う必要が有るからピーシーズは強制参加させるよね。
ジアンさんにも覚えて貰いたいし、お父様とお爺様たちもだよね。
ていうか、あれ?
「・・・お爺様たちは?」
「時間が掛かるだろう西側の城壁を見に行って、思ったよりも早く終わりそうだと領主館へ戻ったぞ」
そうなんだ?
早めに終わりそうだと安心した様子では有ったけど、それってずいぶんと中途半端に思える。
「中途半端」という言葉と、お爺様たちのイメージが合わないな。
「・・・東側は見ないの?」
「ノイエラが居るんだ。エレーナよりも早く終わるだろうさ」
「・・・そ、そっか」
ノイエラさん、すっごい信頼。
さすが土魔法のスペシャリストだよ。
たまたまだけど、西側を先に回って正解だったみたいだね。
「しかし、お前ら。朝から、ずっと浮いたままだったのか?」
「・・・うん」
呆れたようなお母様の問いに頷くと、私の背中でルナリアが思い出したようにブルッと身震いした。
うん?