軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

城壁移設 ②

そんなこと言ってるけど、二正面戦線を支えきれたのはお婆様たちとミリア叔母様夫婦の手腕が有ってこそだった。

南部国境で戦ったお爺様たちも西部国境で戦ったお母様たちも、そのことをよく知っている。

そりゃあ、採掘場に掛かりっきりだった私たちも頑張ったけど、ウォーレス家の結束力と支え合いが無ければ、もっと酷いことになっていたのは間違いない。

思い出したら、さらに腹が立ってきた。

くっそおおおお。

こっちから攻め込むのを禁止されていなかったら高高度戦略爆撃をしに行くのに!

”蒼焔”で焼くのが犯人バレバレで拙いのなら、誰の目にも見えないぐらいの超高高度から超重量の”核”を無数にバラ撒いて、絨毯爆撃でカスピ海よりも数倍デカい水溜まりを作ってやってもいい。

一人でカッカしている私に三人組の目が向いた。

「もしや、リテルダニア王陛下から”銘”を賜られたというのは?」

「それの件の報奨も有ったが、何としてもフィオレを王国に縛り付けておきたいという王国の思惑だな」

一方的に昇爵と新領地を押し付けられたことでか、お母様が身も蓋もない無い言い方でぶっちゃける。

お母様、怒ってたものね。

「流石は、大国、リテルダニア王国にございますね。フィオレ様を戦争の口実にされることも有りましょうに」

「はん。そんなものは遅かれ早かれだ」

感嘆の息を吐くエウリさんに、お母様が鼻で笑ってみせる。

「豊富な兵站能力を示せたことと強気な粛清に踏み切れたお陰で、奴らも容易に攻め込めなくなった」

「うむ。あれは見事な一手だった」

お父様とハインズお爺様の言葉でお母様と私に視線が集まって、お母様は片眉を上げ、私は照れくさくなって頭に上っていた血が逆に下がった。

やり遂げたのはルナリアも一緒なんだから照れ隠しにヨシヨシしておく。

「・・・あ、あの。今はそんな話をしている場合では・・・」

「そ、そうよ! 難民たちがすぐ近くまで来ているのでしょう!?」

いきなりお客人の前でヨシヨシされるのは恥ずかしかったのか、ルナリアも話題の転換に掛かる。

それでもヨシヨシされること自体は拒絶しないルナリア可愛い。

「そうだったな」

「ティブライア卿だったか。難民の実数は把握できているか?」

マルキオお爺様の同意に、お父様がエウリさんへ目を向ける。

「5万を僅かに上回るぐらいかと」

「ふむ。大方、見込み通りだな」

頷いたエウリさんの答えに、ハインズお爺様がお婆様たちへ目を向けた。

「見込み通りと仰いますと?」

「フィオレの要望で1万戸を目指して住居の建設に取り掛かっておる」

「まだ、道半ばで足りておらんがな」

ハインズお爺様の答えをマルキオお爺様が補足する。

そうなんだよ。

資金が有って食料が有って建築資材が有っても、現状、膨大な建設需要に労働力が足りていない。

一先ず落ち着いた後、最終的にレティアの町では標準的な石造りの家屋に建て替えていく事業も有るから、建設需要は10年や20年は続くはず。

新領地の住宅需要も有るしね。

あっちの住居は 見窄(みすぼ) らしいから、旧領民からも住宅需要は発生するだろう。

急場で必要数の住宅戸数を満たしても、狭い部屋に詰め込む感じで安定的な住居と呼ぶには程遠い。

早急に家族向け住居を建てまくる必要が有るし、建設需要は終わりが見えない。

さらには養成施設の建設も控えている。

住宅が増えれば家具や道具や衣類の需要も爆増する。

食料生産だって人手は足りていないし、人手が欲しい仕事は山のように有るんだよ。

「1万戸というのは、いくら何でも多すぎるのでは?」

「いや。王国内の内戦で焼け出された西部国境地域の難民も5万人近く受け入れる予定なのだ。仕事は腐るほど有るから、エクラーダの民も働いて貰うぞ」

キッチリと言うべきを言ってくれたお父様に同意して私もふんふんと頷く。

そこで表情を曇らせたのはエングさんとエターナさんだ。

「難民に労役を課すのですか?」

「何を言う。給金分は働いて当然だろう」

エングさんの不安そうな声を、お父様はバッサリと斬り捨てる。

「給金をいただけるのですか!?」

前のめりになってエターナさんが驚きの声を上げた。

なに? 無償奉仕の労役だとでも思ってたの?

そんなわけ無いじゃん。