軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

亡国の騎士 ⑮

光の加減で口元から上は日影になっているけど、肌の感じから、まだ若い人たちだと思う。

体格的に男性が二人に女性が一人?

身に付けている外套は長旅を示すように汚れが目立って、くたびれているように見えるね。

「・・・ふむ?」

敵意や悪意がある感じじゃないな。

ただ、視線が尋常じゃなく熱を帯びているように感じてならない。

うーん。

緊急事態・・・じゃないかなあ?

負担は無いに等しいし、緊急事態なら魔力を使っても叱られないよね?

どうしても気になるから魔力の手を伸ばしてみる。

外套の内側は防具に類いを身に付けていないみたいだけど、長剣を佩いているっぽい?

一応、念のため、剣に小細工しておこう。

具体的には、剣に魔力を浸透させて鞘と鍔をピトッと引っ付けておく。

剣帯と鞘も引っ付けておくかな。

おっと。小細工に気付かれた?

体格の小さなフードの人と目が合った気がする。

「どうかしたの?」

「・・・うん? ああ、ちょっと気になる人たちが居てね」

通り過ぎつつ、ルナリアの問いに三人組から視線を外した瞬間のことだ。

「気になるって―――」

「フレーリア様!!」

ルナリアの声を遮ったのは、例のフードの人だった。

声の高さから間違いなく女性。

他の二人が動揺した素振りを見せて、女性を引っ張って立ち去ろうとする様子を見せたから、三人の靴裏を地面に引っ付けてみた。

フードの三人が折り重なって倒れる。

そりゃあ、突然、足の裏が地面に貼り付いたら、つんのめるよね。

手綱を引いて馬を停める。

「・・・ジアンさん! そこの三人を領主館へ連行して!」

「はっ! 取り押さえろ!」

「「「「「はっ!!」」」」」

お母様と会話中だったにも関わらず、即座に反応したジアンさんが少年少女たちに命令を飛ばし、目の色を変えた少年少女たちが領民たちを押し退けて三人組へ殺到する。

「なに!? どうしたの!?」

「・・・どうもしないよ。私に用があるみたいだから、連れて来てって言っただけ」

「そ、そうなの? って。連れて? 連行しろって言わなかった?」

驚くルナリアを宥めに掛かったら、首を傾げられた。

「・・・そうだっけ? まあ、同じ意味だよ」

よく聞いてたな。

逃がしたくなかったから「連行しろ」って指示したんだけど、誤魔化されてくれなかったか。

意外だったのは、三人組の方も全く抵抗を見せなかったことだ。

これは覚悟を決めたってことかな?

捕縛命令を受けた何らかの容疑者から武器を没収しようとした少年の一人が大きな声を上げた。

「何だこれ!? 剣が剣帯から外れないぞ!」

「・・・良いから、そのまま連れて来て!」

「「「「「は、はいっ!!」」」」」

万一に備えて私が剣帯と鞘を引っ付けたんだから、そりゃあ外れないよ。

どこから持ってきたのか、少年たちが三人組の外套の上からロープでグルグル巻きにし始めた。

あの様子なら、すぐに領主館で再会できるだろう。

ああ。足の裏は解放しておかないとね。

脱がされた靴だけが現場に残っちゃう。

「・・・行こうか。ルナリア」

「ええっ! 良いの、アレ!?」

「・・・良いんだよ。これ以上の騒ぎは御免だし」

ただでさえ興奮気味だった領民たちが大騒ぎしているから、これ以上、ここに私たちが居る収拾が付かなくなると思うし。

ルナリアを促して再び馬を進め始める。

聞いていたよりも早く来たなあ。

縛られている女性のフードから銀髪が零れ落ちていた。

つまり、彼女らはクーデターで滅んだエクラーダ王国から脱出してきた流出民―――、いや。かの国の王宮に関係する人たちじゃないだろうか。

だったら、おかしな動きをされるよりも、さっさと話して関係を明確にさせた方が良い。

ジアンさんが付いているのだから、抵抗しない捕虜に暴行を加えたりしないだろう。

彼女らも領主館に入ってしまえば少しは落ち着いて話せるはず。

仕方ないから領民たちに「問題無いよ」と手を振って愛想を振りまいておく。