作品タイトル不明
亡国の騎士 ①
それにしても、二日連続でルナリアよりも起きるのが遅かったなんて、何という屈辱!
明日こそは何としてもルナリアよりも早く起きて見せよう!
何なら徹夜してでもルナリアよりも早く起きて―――、って、それだと、ただの徹夜で早起きにはならないのか。
「今日は魔力を使っちゃダメなんだから、大人しくしてなさいよね!」
「にゃ」
「・・・あー。うん。そだねー」
なぜか鼻息の荒いルナリアと、ついでにノーアに、適当に生返事をする。
私、夢も見ない方だし、寝ている間って意識無いじゃん。
目覚まし時計も無しに、ルナリアよりも確実に目を覚ます方法って有るんだろうか?
レヴィアさんたちに「私を先に起こせ」ってのはズルな気がする。
むー。
「わたしが守ってあげるんだから!」
「ノーアもー」
「・・・おー。ありがとねー」
もしや、ルナリアは昨夜の「弟か妹」の話に刺激を受けて、お姉ちゃん風を吹かしているんだろうか?
可愛いから良いんだけど。
ノーアも、もちろん可愛い。
もはや自動的に発動するヨシヨシで撫で繰り回しながら適当に返事を返す。
うーむ・・・。眠い。
結構寝たはずなのに、まだ眠いなあ。
これは、寝足りないと言うよりも、寝過ぎて眠い、というヤツだろうか。
明日は大仕事だから体調に気を付けろって言われていたというのに、これでは困る。
大丈夫かな・・・。
思えば、こっちの世界に来て早々、いきなり死に掛けていていて以降、体調が改善していく一方で、悪くなることって一度も無かった気がする。
魔力酔いで気絶したことは二度あるけど、アレだって、体内で急激に飽和した魔力の変化に体が付いて行けなかっただけ、ということみたいで、体調不良だったわけじゃなさそうなんだよね。
今だって別に、体調が悪いというわけではなく、単に寝足りない感じがするってだけのことだし。
ふああああ・・・ふ。
「はい! ルナリア様、終わりましたよ!」
「ありがと!」
今朝も寝癖の討伐に成功したマーシュさんが、背もたれの後ろからルナリアの両肩のポンと手を置き、肩越しにマーシュさんへニッと笑い掛けたルナリアが元気よく返事する。
「・・・さあ、行こっか」
「にゃ」
椅子を蹴り倒す勢いで立ち上がったルナリアに続いて私とノーアも席を立つ。
なお、椅子が蹴り倒されないように、ナイスタイミングでマーシュさんが椅子を避難させていた。
「おはよう!」
「・・・おはようございます」
「おはようございます」
食堂へ入ると、昨日と同じようにお茶を飲みながらお婆様たちとお母様が迎え入れてくれた。
恐らくだけど、同じ時間に起床しても、私たち3人分の身支度に掛かる時間よりも、1人分の身支度を個別にするお母様たちの方が早いんだろうね。
その時間差でお母様たちは先に食堂でお茶を飲んでいるのだと思われる。
「ええ。おはよう」
「おう。おはよう」
「おはよう。フィオレ。体調は問題ありませんか?」
「・・・少し眠いだけで、問題は無いと思います」
シェリアお婆様に返した私の返事に反応したのはお母様だ。
「夜更かししたのか?」
「・・・してないよ。昨夜はルナリアの部屋に戻って、すぐに寝て、朝までぐっすり眠ったはずなんだけど」
「それなら十分な睡眠は取れているはずだが」
私の返事を聞いた時点で席を立ってきたシェリアお婆様に、おでこに手のひらを当てられる。
しばらく温度を測ったシェリアお婆様が小さく首を傾げた。
「熱も出ていないようですね」
「成長期・・・? にしては早いな」
「・・・成長期」
んん? 確か、女子の成長期って8歳ぐらいじゃなかったっけ?
小学校に上がって何年かした頃に、上着がチビTみたいにキツくなって困った記憶が有るんだけど。
捕獲されて施設に収監されるまでキャミソールの存在も知らなかったぐらいなのに、全部の上着がヘソ出しギャルみたいになってたんだよ。