軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

西方よりも ㉗

有用性を認めればお父様なら宣言通り前向きに取り組むだろうし、きっとモノにすることだろう。

右腕で有るお母様は、すでに魔石使用法を自分のものにしているし、理屈が分かれば魔力の手も使いこなすはずだ。

一番近くに居る右腕が習得しているなら、私が居ない場所でもお父様に教えられる先生が居るのだし、すぐに習得すると思う。

「ほう」

「それは面白い応用だな」

おお。お爺様たちも食い付いた。

前線に立つお爺様たちは実用方法に対する興味が強いんだね。

「何事かと驚きましたけどね」

「ええ。本当に目を疑ったわ」

後方を支えるお婆様たちは種明かしを聞いての安心の方が強いみたい。

皆様にご納得いただけたところで勝負に出ようかな。

最初の議題に戻らせて貰おう。

「・・・100メテルの高さにまで上がれるのなら、逆に、100メテル上空で飛んでいる魔獣もキュッと捕まえられますよ?」

「バンダースナッチのボスを倒したアレだな?」

セールスを始めた私にお母様からの支援が入る。

「・・・うん。多少、動きが早くても、魔力の手を大きく広げれば逃がさず掴み取れる」

「飛行型の魔獣討伐にカタパルトが要らなくなったな」

「地上に落としてしまえば飛行型も恐るるに足りん」

お母様とお父様の感想に頷いて返す。

実戦証明(コンバットプルーフ) 済みだからね。

現場を目撃したお母様たちの証言も有るし、理解を得られるのも早い。

お爺様たちが顔を見合わせる。

「1キロメテル先の魔獣を見つけ出して目視でき、接敵するまでもなく捕獲できると」

「強力な魔獣も動けないように押さえ込んでしまえば討伐は容易だ。有り、ではないか?」

多くの犠牲者を出したという前回の遡上調査を知る老将たちの最終確認の結果は、「是」だった。

「良かろう。ナーガ川上流の渡河地点を調査するとしよう」

血族の長であるハインズお爺様の決断に、議題は具体的なものへと移る。

戦場に立ち続けた将たちが先ず考えるのは戦力評価だ。

苦汁を舐めさせられた前例が有るだけに、依然としてお爺様たちの表情は厳しい。

「だが、動員規模はどうする?」

「大隊では身動きが取れんかったからな」

マルキオお爺様の問いにハインズお爺様が渋い表情になる。

はー。察するに、前回は大隊規模だったんだね。

ザックリ計算で1個小隊が指揮官を含めた70人として、3個小隊で1個中隊210人。

3個中隊で1個大隊630人か。

多いなあ。

森の中で隊列を組んだら木々が障害物になって全体が見えなかったんじゃない?

でも、人数だけじゃ当時の状況が見えて来ないな。

お父様も私と同じ感想持ったのか、お爺様たちに具体的な質問をぶつける。

「前回、出た魔獣は何だった?」

「バジリスクにガルダ、ドラゴンフライだな」

「ドラゴンフライは成虫か?」

お母様の問いにハインズ様がポーションを一気飲みしたような顔になる。

ドラゴンフライって英語名を直訳すればトンボだよね?

確か、雷みたいな電撃攻撃をしてくる魔獣だっけ。

あれ? それって水中に棲んでる幼虫―――、ヤゴのときの話だったかな。

成虫になっても電撃攻撃をしてくるんだろうか?

ヤゴかあ。

ペットボトルのセルビンでカゴ罠を仕掛けるときに、よくエサに使ってたなあ。

ていうか、こっちの世界に来た後にも、ヤゴっぽい虫を見た記憶が有るな。

どこでだっけ? 小川?

サイズ的にヤゴよりちょっと大きいからヤゴだと思ってなかったけど、小川で魚を獲るのに石でプチッとやってカゴに放り込んでたアレって、もしかして、ドラゴンフライの幼虫だったんだろうか?

そういえば、たまにピリッと静電気みたいなのを感じたことは有るなあ。

私が小川の謎に意識を飛ばしている間にも、お爺様たちの昔話は続いている。

「彼奴らには火術式が効くのだが、存外、彼奴らは飛ぶのが速くてな。術式も矢も避けられてなあ」

「そうだったな。丸ごと焼いてやろうと”紅蓮”を使えば、音に釣られたガルダが対岸から押し寄せるわ、兵は恐慌に陥るわで大変だったな」

ちょっと待って。

それって、被害を拡大させたのは”紅蓮”だったってことなんじゃ?