軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

西方よりも ㉓

「お前とルナリアが宙に浮いた件も訊かれるだろうが、説明できるか?」

「・・・大丈夫。アレも同じ魔力の手だし」

お母様の中では家族会議の開催が決定したようだ。

私の答えにお母様が頷いて、お母様と私の目がお父様に向く。

家族に対して出し惜しみをするつもりなんて、これっぽっちも無いからね。

「ああ、うん。今までの常識で測ってはいけないことは、よく分かっている」

お母様と私の顔を見比べたお父様が苦笑する。

納得が行くまで説明するよ。

あわよくば、お父様にもお爺様たちにも習得して欲しいと考えているぐらいだから、ドンと来いだよ。

「後でやり方を教えてくれるか?」

「・・・もちろん」

優しく目を細めるお母様に大きく頷いて返す。

お母様もパワーアップしようよ。

誰にも脅かせないぐらい私たちが強くなれば、ウォーレス領に、―――、王国に手出ししようと企てる不届き者が湧くのを抑止できるかも知れないんだし、抑止力とはそういうものだ。

「ルナリアとフィオレだけでなく、フレイアも宙に浮くのか・・・」

「当たり前だろう。誰もが見上げる高嶺の花を手に入れたんだ。誇って良いぞ」

こめかみを揉むお父様に目が笑っているお母様が豊かな胸を張る。

その高嶺、物理的な高嶺だけどね。

妻と娘たちが人間離れしていくお父様の心中は測りかねるけど、お父様にもメリットは有ると思うんだけどなあ。

もう一歩踏み込んで誘惑してみよっかな。

「・・・斥候を出さなくても、自分の目で敵陣を見られるよ?」

だから、お父様も身に付けてみようよ。

小悪魔的にアハーンと物騒な誘惑を囁いてみる。

即座に囁きの意味を理解したらしいお父様が、ハッと目を見開いた。

お父様も、さすが。柔軟で頭良いわ。

「それは良いな。用兵術の在り方が変わるぞ」

フッと口角を引き上げたお父様の顔を見上げる。

お父様レベルの騎士は、身体強化魔法で視力も上げられる。

いわば、自分自身の目が偵察衛星になるわけだもの。

戦略を練って戦力を配置する立場の人が誰かの目を通さずに戦況を把握すれば、おかしな脚色や他人の独自判断が介在しない分、正確で迅速な判断に繋がる。

攻勢も撤退も状況把握と判断下達が早くなれば生存率も上がるはず。

お母様が幸せであり続けるためにも、お父様には簡単に死んで貰っては困る。

無線機での情報伝達を実現できれば、圧倒的な戦略的優位を確立できるのになあ。

まだまだ満足できる技術水準では無くても、ここは一歩前進したと受け止めておくか。

「・・・お父様にも、いつでも教えるから」

「ありがとう。取り組んでみることにしよう」

お母様ともお爺様たちとも違う感じでお父様に頭を撫でられながら考える。

航空偵察かあ。

敵の対空火力がどの程度かにもよるけど、やりようによっては敵司令部への精密爆撃もできそうだよね。

ただ、自分で防御魔法を使ってみて思うのは、魔法って貫通力が無いんじゃないかな、ってこと。

現に、王都でお母様は完全では無くても”蒼焔”が地上に与える損害を阻止して見せたわけだし、防御範囲を丸ごと包み込んで、サーモリック爆弾みたいに熱と酸欠の副次的効果を持たせるとか、成形炸薬のメタルジェットみたいな侵徹力を持たせるとか、防御魔法対策は考えておく必要が有ると思うんだよね。

昨日、魔獣も魔法を使うことを目の当たりにしたからこそ、そう思う。

どうすれば防御魔法をブチ抜けるのか、イメージが固まらないんだよなあ。

もしかすると、敵だけじゃなく魔獣だって防御魔法を使うかも知れない。

イメージの持ち方次第でどうにでもなってしまう魔法って、物理兵器のような普遍的確実性を期待して良いんだろうか?

戦争においても、魔法は術者個人の資質というか、イメージというか、そんなフワッとしたものと対決しなきゃいけないわけだから、複数の手段を持っておかないと何が効くか分かったもんじゃない。

その点、防御面の方が手を打ちやすいかな。

敵が”蒼焔”みたいな爆発を伴う魔法を使うなら、魔力の手を伸ばして防御魔法を敵の目の前に置いてやるだけで、私へのダメージは軽減できるはずだ。

上手く行けば敵の魔法で敵の魔法使い自身にダメージを与えられる。