軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

下準備 ⑫

「どの程度の日数で作れそうだ?」

「・・・私が手伝えば1日で出来ると思いますが」

私が魔力の手で四隅の柱をズコッと建てて支えておけば、後は工兵さんたちが群がって梁と筋交いを結わえ付けて回るだけで済むよね。

その梁や筋交いも、建材置き場から施工ヶ所まで私が魔力の手で建材を運べば、あっという間に終わるんじゃないかな。

そうは思うけど、マルキオお爺様から、しっかりとストップが掛かる。

「フィオレ。何でも自分でしようとするのではない」

「・・・仕事を与えるのも領主一族の務め、ですね」

「そうだ」

わしわしとお爺様に撫でられる。

「今は工兵部隊に余裕が有る。工兵を使っても1週間も掛からんだろう」

「・・・あ。これ、図面です。そろそろ訓練で森の伐採に掛かりますから、必要な木材は言ってください」

「ヨシ。それで行こう」

結論を出したお父様に図面を手渡すと、ハインズお爺様がわしわしと私の頭を撫でて背中を向けた。

また三人で書類漬けになりに執務室へ戻るようだ。

伐採した木材もリニア魔法なら時速350キロメートルで採掘場へ運べるかな? などと考えつつ食堂から出て行くお爺様たちの背中を見送っていたら、今度はお婆様たちから質問が飛んできた。

「貴女、慰霊碑の建設まで何をするのかしら?」

「・・・建設予定地で下準備をしておこうかと」

「森には入らないのですね?」

念押しされたけど、出禁ペナルティを忘れていないな? という確認ではなく、無茶をしないかと心配されたんだろうね。

ここは意志を明確にして不安を払拭しておくべきだな。

「・・・森には入りません。建てる位置を決めに行くだけです」

「そう。貴女たち、護衛は頼みましたよ」

「「「はっ。お任せを」」」

ミセラさんたちの返事をもって、昼食、兼、プレゼンタイムは終了した。

その後、お父様の指示で回収されたモックアップが執務室に飾られていることを私が知るのは、しばらく日が経ってからのことだった。

ロープの先に作られた” 舫(もや) い 結(むす) び”の輪っか2本に通した棒が、ブスッと地面に突き立てられる。

2本のロープは片方が25メートルで、もう片方が35.35メートルだ。

25メートルの方のロープの先には舫い結びがもう一つ作られていて、そちらの輪っかに通された2本目の棒にも、25メートルのロープがもう1本通されている。

1本目の棒を支えているのはディディエさんで、2本目の棒を支えているのはダーナさんだ。

「・・・マーシュさん! 長い方のロープの端を持ってきて! レヴィアさんもロープの端を持ってきて!」

「「はい!」」

1本目の棒の35.35メートルのロープと、2本目の棒の25メートルのロープを伸ばして、交差ポイントに3本目の棒をブスッと棒を突き刺せば、直角二等辺三角形が出来上がる。

この3本目の棒担当はミセラさんだ。

「マーシュさん! ダーナさんの棒からロープの先を抜いてきて! 片方のロープはレヴィアさんに渡して! レヴィアさん! ロープの端をミセラさんの棒に通して、もう片方の端を持ってきて! ディディエさんはそのまま待機!」

「「「はい!」」」

1本目の棒を固定したまま2本目の棒から25メートルのロープを抜く。

1本目の棒を通したままの25メートルのロープと、3本目の棒にもう1本の25メートルのロープを通して、ロープ同士の交差ポイントに4本目の棒をブッスリと突き刺せば、一辺25メートル四方の正方形が出来上がる。

4本目の棒はレヴィアさんがブッ刺した。

「・・・ヨシ。完成! 4人とも、棒はその位置に深く差し込んで固定! マーシュさん! 棒を深く刺すのを手伝ってあげて!」

「「「「「はーい!」」」」」

フリーのマーシュさんが4人の棒を順に回って、二人掛かりで棒を地面に捻込んでいく。

正面に来る街道側の面へ回って背景を確認する。

一昨日、移植した竹が真後ろに立っていて、風に枝葉を戦がせている。

両手の人差し指と親指でL字を作り、画家か写真家のように 静止画の枠(スチルフレーム) の四角形を作ってみる。

「・・・うむ! 良い感じ!」

心霊現象(オカルト) と言えば竹林だよね!

ジャパニーズスタイルの墓石の背景には竹林がよく似合う。

夜には火魔法の 火球(ファイヤーボール) でもフワフワさせておけば雰囲気もバッチリだよ。

竹の葉も萎びる様子が無く、スライム避けの魔石が効いていることが察せられる。

あの竹林を背景に地上50メートルの慰霊碑を建てるのだ。