軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

バンダースナッチという魔獣 ㉜

「・・・それでは、先ず、バンブーの木をノコギリで切ります! 上下の節の部分で2ヶ所切るだけですが、上なら上、下なら下で、同じ側を切って深いカップ状になるようにしてください!」

「節のギリギリで切って良いんですね?」

簡単な質問には、ギコギコやりながら簡単に答える。

「・・・その通りです! 切り終わったら、節の底にナイフの切っ先で穴を空けます!」

「穴は真ん中で良いんですかい?」

腰のナイフを抜いて切っ先で節の真ん中をグリグリやると、切れ味の良い大型軍用ナイフはゴリゴリと穴を空けてくれる。

「・・・ド真ん中です! 空ける穴は3ミリメテルほどの大きさを基準に、使い勝手を確認しながら微調整してください!」

「失敗した場合はどうすれば?」

節に開いた穴を掲げて見せると、しっかりと気付く人が居る。

接着剤も穴埋めパテも無いのだから、空けてしまった穴は戻らないからね。

みんなが心配する分かりやすい質問には、ズバリと分かりやすく答える。

「・・・作り直しです! 続いて、切り出したバンブーの木よりも20センチメテルほど余分がある長さで、棒も切り出してください!」

「20センチメテルというのは、どういう意味が?」

完成品を見れば分かる質問だけど、分かっておいた方が良いよね。

次の材料を手に取りながら質問に答える。

「・・・そこが持ち手になる部分です! 次に、麻袋を20センチメテルほどの幅で裂いて帯状の麻布を作ってください!」

「麻布は、どのぐらいの本数が要るものですか?」

麻袋にナイフを突き刺して、ビリビリと切り裂いては、また突き刺す。

良い質問だけど、その質問の答えは見ての通りだ。

「・・・たくさん必要です! バンブーの木も棒も切り出し終わったら、棒の先に麻布を固く巻き付けてください!」

「どのぐらい巻き付ければ良いんでしょうか?」

棒の先っぽに、半分に折った麻布をギュウギュウに巻いて厚みを稼ぐ。

機密性を決めるキモの部分だから、力を籠めてしっかりと巻き付ける。

機密性が低いと自爆して自分が大変な目に遭うからね。見せつけるように麻布を巻きながら答える。

「バンブーの筒にギリギリ通るぐらいです! 最後に、麻布が解けないように荒縄で縛り上げれば完成です!」

「それで、コイツは何に使う道具なんですか?」

ギュッと縛って、また縛る。

ギリギリと締め上げながら縛り終えて、ジャジャーンと頭でっかちな松明みたいになった棒―――、ピストン部分を掲げる。

「・・・見た方が早いです! 出来上がったら、筒の中に水を詰めて麻布を巻いた棒を捻じ込んでください!」

「水桶の中で詰めた方が良さそうですね」

魔力の手の中に生み出した水玉の中に竹筒―――、シリンダーを沈めてピストンを捻じ込んで見せていると、当たり前の感想が返ってきた。

「・・・正解です! 使い方は、筒の奥まで棒を押し込んでください! さあ、どうぞ!」

「あ。ハイ。―――、おわっ!!」

ポンと水鉄砲を手渡すと、言われた通り首を捻りながらピストンを押し込んだ猟師さんの顔を、ピューッと飛び出した水が直撃した。

「何ですかい? コイツは」

「・・・液体を発射する道具です! 明日以降、バンダースナッチがワナに掛かったら、シーヴァの絞り汁とビネガーをバンダースナッチの顔にブッ掛けてください!」

水鉄砲がどういった道具なのか、どう使うのか、何のための道具なのかは、自爆を目撃したみんなが理解したようだ。

まだ伝わっていないのは、そこに、どんな意味が有るかだ。

「顔にブッ掛けるんですか?」

「・・・バンダースナッチにとってシーヴァは毒物です! そして、奴らは酸っぱいものが苦手です!」

「「「「「おお~!!」」」」」

全てを理解した猟師さんたちが拍手と共に歓声を上げる。

理解が及んだところへ、自分たちが何をすれば良いのかを伝える。

「・・・ブッ掛けて苦しんでいる内に攻撃して、安全にトドメを刺してください!」

「ブッ掛けるんですね!?」

「・・・そうです! ブッ掛けです!」

オジサンたちが集まって、ブッ掛け、ブッ掛けと連呼していたら、日本だったら逮捕されるかも知れないけど、ここは異世界だ。

ポリスメンも居なければフェミニストも居ない。

魔獣が跋扈する魔の森には、セクハラ訴訟で倒せるような甘っちょろい敵はいないのだー。

「ヨーシ! 明日はブッ掛けるぞ!!」

「「「「「オオオ―――ッ!!」」」」」

うん。このオジサンたち、逮捕して良いと思う。

容疑は顔にブッ掛け罪。

今日一番の盛り上がりだなあ。

明日はホームランでも打ちそうだな。やったぜパパ!

お手本の水鉄砲が猟師さんたちの手から手へと渡り、ワイワイガヤガヤし始める。