軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

バンダースナッチという魔獣 ㉖

火薬なあ・・・。

硝石と硫黄と木炭で黒色火薬が作れるんだっけ?

きっと、勇者の誰かが作り方やら概念やらは伝えているのだろうけど、魔法の便利さを知ってしまった私でも、積極的に火薬や鉄砲を作ろうとは思わないな。

鉄砲に思いを馳せていた私の表情も微妙だったのか、お母様も危険は無さそうだと判断したのかも。

「ミズデッポウとは、どんな道具だ?」

「・・・遠くまでは飛ばせないけど、弓みたいに狙った場所へ液体を飛ばす道具、かな」

兵器ではなく、あくまで「道具」としてお母様に説明する。

「液体というのは、どんな液体でもか?」

「・・・道具そのものを溶かしたり壊したりしない液体なら、何でも」

「ふむ」

お? 興味を持ったかな?

「液体」とツッコんで訊いてきたってことは、「毒でも飛ばせそう」と考えたんじゃないかと予想する。

籠城戦の防衛側なら触角ヘビの毒をブッ掛けるのも有りだと思うしね。

お母様が頷くのを確認してからメリーナさんに目を戻す。

これは、水鉄砲製作の許可が出たと受け取って良いだろう。

「猟師さんたちに、バンブーの木を荷馬車に積んでおいて欲しいって伝えておいて。それと、レティアの町に戻っても解散せずに領主館へ集合するように伝えてきてくれるかな」

「はっ」

メリーナさんが再び猟師さんたちへ伝達しに行き、猟師さんたちが動き始める。

1台の荷馬車に枝葉付きの竹を4本まとめて積み込んだものだから、もっさりと山のようになっている。

街道までは直線道路だし大丈夫そうかな。

竹の積み込みと平行して乗馬が牽き出されてくる。

バタバタと撤収準備が進んで、私たちも鞍へよじ登る。

猟師さんたちも荷馬車に分乗し終わったみたいだね。

手の空いた兵士さんたちや技師さんたちが見送りに出てきてくれている。よーし。

「・・・じゃあ、撤収!」

号令と同時にルナリアが馬の横っ腹を鐙で軽く蹴り、私の馬と並んで採掘場の門を出る。

今日の出荷分のお肉は猟師さんたちが加工場へ運び終えてくれているし、荷馬車は空荷だから馬列のペースは速いね。

このペースなら日が暮れる前に街道まで出られるんじゃないかな。

まあ、今日、まだ1匹も見掛けていない触角ヘビが何匹も降ってきたりしなければ、だけど。なんて、フラグを立てたのは私だったようだ。

馬列の後方からお母様の大声が飛んでくる。

「フィオレ! 触角ヘビが居るらしいぞ!」

「・・・えっ!?」

「あー。ノーアが見つけたんじゃない?」

手綱を引いて馬の足を止め、私と一緒に振り返ったルナリアが後方へ手を振ると、腕を振り上げたお母様からお叱りの声が返ってきた。

「二人とも前を向け! 前方、右だ!」

「「はい!」」

慌てて前を向き直して枝葉の間へと、じーっと目を凝らす。

うーん? ノーアが言うなら居るんだろうね。

探ってみるか。

魔力の手を地面まで伸ばして地中に広げて―――、ダメだ。

相手も地面に足を着いていないと存在を感じ取れないっぽい。

試しに魔力の手を大きく広げて右手の木々の怪しい辺りへと伸ばしてみる。

ルナリアも目を凝らしているけど見つけられないようで、眉間に縦ジワが入っている。

「ええ? どこ?」

「・・・んー・・・。あっ」

これか? 馴染みの有る感じの魔力に私の魔力の手が触れた。

「・・・居た! みんな、討伐準備!」

やっと見つけた!

手前に張り出している枝と重なって見えにくかったけど、10メートルほど前方右側の樹上に触角ヘビが確かに居る。

ヘビの居所を指し示すとルナリアやピーシーズが下馬しようとする。

そこへ待ったを掛けたのもお母様だ。

「ちょっと待て! ―――、何? 左にも?」

「・・・マジで!?」

2匹同時!?

馬の首に隠れてノーアの姿は見えないけど、ノーアを鞍の前に乗せているお母様の目線が胸元を見下ろしていることから、ノーアが2匹目の存在を訴えたのだろう。

左手の木々をじっと睨み付いていたナンナちゃんが声を上げる。