軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

バンダースナッチという魔獣 ㉑

猟師さんたちが6グループを作って、エゼリアさんたちも二人ずつで2ペアを作っている。

ルナリアと私は土魔法が使えない猟師さんたちのグループを支援して回る。

笛で支援要請を伝えてくるらしいよ。

ピーシーズとミセラさんたちは、それぞれルナリアと私の護衛に就いている。

大本営的に門前へ運び出されているテーブルに着いたお婆様が熟睡しているノーアを抱いていて、お婆様たちの護衛に4人残っているアンリカさんたちは、エゼリアさんたちと交代でお母様と一緒に設置作業に参加するつもりらしい。

お母様も参加、と言っても、お母様自身は構造と要点を理解し終えたワナの戦術的、あるいは戦略的使用方法にしか興味は無さそうだから、事実上、エゼリアさんチームとアンリカさんチームかな?

実働8チームで15分間に1ヶ所の設置が出来ると想定すれば、最大80ヶ所は設置できる見込みになるね。

いつもの蔓を使ったククリ罠も平行して設置するつもりらしいから、実数は100ヶ所を超えるだろう。

私には「ルナリア暗殺未遂現場」を探す隠しクエストが有るからね。

目印になりそうなものは塹壕みたいに続いていた溝ぐらいしか無いから、すぐに見つかるとは考えていない。

地面が軟らかい土だから、馬車の轍の跡は残っていそうなものだけど、私がルナリアと初めて会ったのは9月ぐらいで、今は12月も末だ。

落葉の季節を過ぎているのだから、轍の跡も落ち葉に埋もれてしまっていると考えた方が良いだろう。

また遠くから、ピ―――ッと笛の音が聞こえてきた。

「重石、作ってよ」の合図だね。

笛の音が聞こえてきた方向をマーシュさんが指す。

「あそこです」

「・・・了解。行こう」

この距離で、よく見つけたな。

薄暗い森の景色に紛れてしまって分かりにくいけど、500メートルぐらい離れた木々の合間で、確かに手を振っている人影が有る。

障害物だらけな上に照度が低いから、よほど注視しないと、あんなの見つけられないよ。

武力にスペックのウエイトが掛かっているエゼリアさんたちと違って万能寄りだけど、ミセラさんたち三人も、十分、ハイスペックなのだと再確認させられる。

目的地を目指して歩いている間にも、どこかからカンコンカンコンと杭を打つ音が響いてくる。

私は土魔法でストッパーを作ったけど、猟師さんたちは木杭を使ってるんだよ。

1メートル以上の長さがある細めの丸太を2本、深く地面に打ち込んで、ストッパーを作っていた。

今、向かっている先のグループも同様に杭を打ち込んでいる姿が見えている。

「・・・お疲れさま。これで何ヶ所目?」

「6ヶ所目です」

「・・・そっか」

へえ。なかなかのハイペースだね。

手を止めずに答える猟師さんは、石を結わえたロープを頭上の枝に向かって投げているところだ。

枝の真下の地面に魔力の手を潜り込ませて、ズモモっと重石を生えさせる。

おっと。また笛の音が。

「・・・じゃ、お願いね」

「了解しました」

簡単に猟師さんたちと挨拶を交わすと、すでにマーシュさんが次の現場を指していた。

「参りましょうか」

「・・・うん。行こう」

うーん。私の作業時間は短いけど、馬が使えないから移動に時間を食われまくってるなあ。

8グループに対してルナリアと私の2グループが重石を作って回っているわけだけど、設置作業グループが手慣れているせいか、結構、ペースが早い。

私たちが移動している内にも次の要請が掛かる始末で、支援グループの方が遅れがちになってしまっている。

なかなか来てくれない航空支援や砲撃支援を要請した前線部隊が待ち望むのは戦争映画の定番だけど、支援して回る側がこれほど忙しいものだとは想像していなかった。

銃弾が飛び交う最前線の兵士さんが「支援はまだかコノヤロー!」とか無線で叫ぶ、あの手のシーン。

異世界に来たから二度と観ることは無いけど、戦争映画を観る目が変わるだろうなあ。