軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

バンダースナッチという魔獣 ⑱

「それ、私たちも手伝いますよ~」

「「「「「おお~!!」」」」」

マジか!!

一際大きな感嘆の声に合わせて、私も一緒になってペチペチと拍手する。

ノイエラさんだけでなく、エゼリアさんたちは全員が土魔法を使えるから、めちゃくちゃ助かるよ。

オジサンたちのアイドルであるエゼリアさんたちの参戦で、オジサンたちが年甲斐も無くハッスルするであろうことは疑う余地もない。

「わたしも作るわよ!」

ルナリアも重石作りを手伝ってくれるらしい。

何かもう、勝ったな!

その後もいくつかの質疑応答が続いて質問が出なくなった。

みんなお昼ご飯も食べ終わっている。

「・・・ヨシ! じゃあ、行こうか!」

「「「「「おお―――ッ!!」」」」」

拳を突き上げて雄叫びを上げた猟師さんたちが席を立つ。

うーん。領軍だけじゃなく、一般の人たちもウォーレス領のノリなんだなあ。

なぜか意気揚々と先頭を切るエゼリアさんたちに率いられて、崖上へと向かう階段をゾロゾロと上っていく。

ルナリアがノーアの手を引いて、後ろから見守るようにお母様が二人の後ろを歩く。

お母様の後ろに付いて階段の上を見上げたときに思い出した。

私の後ろはミセラさんたちが固めているから、小さな声でなら大丈夫かな?

「・・・あっ。お母様」

「何だ?」

ただでさえ私の身長はお母様の胸の高さほどしか無いのに、前を行くお母様の方が上段に立っているので、私の目線はお母様のおヘソぐらいの高さしか無い。

振り返ったお母様からすれば足元を見下ろすような角度だろう。

私からすると空を見上げるような角度だよ。

「・・・馬用のリフトを設置したいと思うんだけど」

「りふと、とは何だ」

リフトの意味が伝わらなくてお母様が首を傾げる。

聞き慣れない単語で地球絡みだと察してくれたのか、お母様も声を抑えてくれている。

おっと。私の伝え方がガバガバだから言葉選びに気を付けないと。

「・・・馬が入る大きさの箱を吊して、崖の上と下を行き来できるようにしたいんだよ」

「ほう? どうやるんだ?」

崖上で馬が使えない不便さが領軍経由で伝わっていたのか、お母様が興味を示す。

「・・・城門を吊している滑車が有るでしょ? 空洞の櫓を組んで、滑車に箱を吊すの」

「櫓の中を箱が上下に移動するわけか」

頭の中で想像したのかスッと視線を泳がせてから、お母様の視線が戻ってくる。

「・・・そういうこと。城門よりも遙かに軽いから、ぜんぜんイケるはず」

「構わんが、どれもこれも一度にやろうとするなよ?」

ジロリと視線でも釘を刺された。

うう。肝に銘じます。

タスクが積み上がっていてキャパオーバー気味だと、お母様にも思われてたか。

でも、早急に必要になると思うんだよ。

兵士さんたちとも約束したから、ここは踏み留まって許可を貰わないと。

「・・・うん。ワナの設置が一通り終わってからで良いけど、崖の上でも馬車が使えないと回収作業が大変だと思うし」

「それもそうだな。ヨシ。図面を作って領軍の工兵に任せてやれ」

あれ? 工兵部隊?

「・・・良いの?」

「じきに城壁の移設命令が下るから、今しか手が空いてないぞ」

言葉の裏を読むなら、今は工兵部隊の手が空いているって意味かな?

だったら、城壁の移動を私がガッツリ手伝えば、さらに余裕ができるってことだよね?

「・・・城壁の移動は私も手伝うよ。慰霊碑を建てるときに、ちょっと練習したし」

「ふむ。森の外に建てるときに見せてみろ」

「・・・分かったー」

そりゃまあ、ちゃんと出来るか確認しないと戦力に数えられないよね。

崖上の慰霊碑で、もうちょっと練習しておこうっと。

崖上に着くと、門扉は上げられたままで監視の兵士さんたちが警戒に当たっていた。

門の開閉をするよりも、歩哨を立てた方が負担が少ないんだろうね。

森へ出て、門から近いワナ設置予定範囲の端っこで、お手本のワナを仕掛ける場所を探す。

10メートルほどの高さに良い枝振りの木を見つけて、ペチペチと幹を叩く。

「・・・良い高さに頑丈そうな枝も有るし、この木で良いかな」

選んだ枝の真下で土魔法を使って重石を作る。

足元からズズズと分銅型に整形した重石を生やし、ギュッと固めて地面から分離する。

大人で一抱えほどの釣鐘形で高さは1メートルほど。

これでも重さは100キログラムを優に超えると思う。

「この重石は安定しそうな形ですね」

「・・・かなり重たいから下敷きにならないように気を付けてね。問題は留め具の強度と引き金の精度になるよ」

重石の大きさを見て難しい顔になった猟師さんたちは、ワナの構造とハードルをよく理解できている。