軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

精霊信仰 ①

「子供たちが申しわけございません」

「・・・元気なことは良いことですよ」

頭を下げる女性に首を振って応える。

「流石、フレイア様が見出された方でございますね」

「・・・いいえ。政治的な理由で爵位は承継しましたが、実際の領主はお母様のままですから。私など、まだまだです」

これは、偽りのない私の本心。

建前の肩書きばかりが大きくなってるだけで、お母様たちはルナリアや私が子供で居られるようにしてくれている。

私はお母様たちの信用と威光を背景に、自由に経験を積ませて貰っているに過ぎない。

代替わりを徐々に進めるためには私自身が領民の心を掴む必要が有るから、お母様たちも私の勝手を許してくれている。

私は今も変わらず、お母様たちに守って貰っているんだよ。

「フィオレ様には、オーリアがお世話になっておりますし、何とお礼を申し上げれば良いか・・・。ご迷惑をお掛けして居りませんか?」

「・・・いえいえ。オーリアちゃんに、お世話になっているのは私の方ですよ?」

この人はオーリアちゃんの育ての親だものね。

オーリアちゃんは良い子だし、そりゃあ心配だろう。

私はこの人の大切な娘さんを預からせて貰っている。

井戸端会議のようなお辞儀合戦にピリオドを打ったのは、広報活動をしてくれていたマーシュさんだ。

「お二人とも。先ずは、そのぐらいにされて、ご紹介させていただけませんか?」

「あら。これは失礼いたしました」

女性と2人で顔を見合わせて笑い合う。

「フィオレ様。こちらは、ピーシス領の孤児保護施設のエルザ施設長です」

「エルザ・アウスと申します。以後、お見知り置きくださいませ」

「・・・フィオレ・ピーシスです。こちらこそ、よろしくお願いしますね」

偶発的お辞儀合戦ではなく、今度はしっかりと挨拶を交わし合う。

柔和に笑うエルザさんが後ろに立つ少女へと目線を移す。

「もう一人、ご紹介させていただいても?」

「・・・はい。そちらの方ですね?」

私も少女へと目を移す。

くすんだ金髪を1本の緩い三つ編みにまとめた少女は、ちょっだけ緊張気味かな?

「コーネリア」

穏やかな声でエルザさんに名前を呼ばれた少女が歩み出してくる。

メリーナさんよりも少し幼さが残る感じだけど、メリーナさん並みに発育が良くて、全体的に柔らかそうな印象を受ける子だ。

「は、はい。コーネリア・オーザリーと申します。お見知り置きくださいませ」

「・・・フィオレ・ピーシスです。よろしくお願いします」

そばかすの有る大人しそうな顔立ちに、エルザさんと同質の柔和な笑みを浮かべるコーネリアさんと、会釈を交わす。

「今はコーネリアが施設の最年長でして、子供たちから見ると一番上の姉になるのです」

「・・・コーネリアさんは、お幾つなんですか?」

コーネリアさんは、確かにお姉ちゃんっぽい雰囲気があるよね。

局部的に発育が良いのが目立って微妙に年齢が分かり辛いから、ダイレクトに訊いてみる。

「年が明けると13歳になります」

「・・・オーリアちゃんの二つ上なんですね」

「はい」

13歳でこの発育かあ・・・。

ルナリアも私も、まだペッタンコだから、あと7年でここまで成長するのかと考えると・・・、ぶっちゃけ、想像できないな。

鳥肉を食べれば大きくなるんだっけ?

鳥肉で育つのは筋肉だったか。

「エルザさんは施設長と祈祷師を兼ねておられて、コーネリアさんは祈祷師見習いなんですよ」

「・・・祈祷師・・・。それは、どう言ったご職業なんですか?」

マーシュさんの説明に首が傾ぐ。

初めて聞く職業だな。

エルザさんは、といえば、マーシュさんの説明に首を振る。

「祈祷師は祈りを捧げるお手伝いをさせていただくだけで、職業といったものではございませんよ」

「・・・そうなのですね」

職業じゃないってことは、地域ボランティア的な?

施設管理者の方が本業ってことか。

「新年の祈りやご祈祷ぐらいしかすることが無いですからね」

「・・・ご祈祷って、何をするんですか?」

パサッパサッと大幣を振る神社の巫女さん的な?

それとも護摩の火を焚いて勤行を唱える山伏とかお坊さん的な?

ご祈祷って言っても日本人的には幅が広すぎて、却ってイメージし辛いな。

地縛霊なんかに数珠を握った拳を向けて、「喝―――ッ!!」とかやるのもご祈祷の一種だからね。

「平穏と加護を精霊様にお願いするのですよ」

「・・・精霊様に・・・」

そう呟いた瞬間、また胸の中で魔力がザワザワとざわめいた。

自分の胸を見下ろす。

魔法を使おうとしたわけでも無いのに?

「どうかされましたか?」

「・・・ああ。いえ、何でも有りません」

首を傾げるエルザさんに首を振って返す。

いけない、いけない。

初対面の方との挨拶中に意識を逸らすなんて失礼だ。