軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

王城・地下探検! ⑦

面白そうに見ているテレサへと顔を振り向ける。

「・・・その剣、テレサは見たこと有るの?」

「有りませんわ。私に剣は扱えませんし」

「・・・そっか」

本当に見たことが無いっぽいね。

項目だけは把握しても、自分の領分では無いと判断すれば、それを活かすことが出来る人に任せて自分はタッチしようとしない姿勢は、“紅蓮”習得のときと同じものだ。

テレサが宝物庫へ足を運ぶ際の興味は史料や書籍に有ったみたいだし、然もありなん。現状認識から入るか。

「・・・ルナリアが欲しい剣は決まったの?」

「まだ!」

ぴょこ! シュッ!

あれ、ふざけているわけじゃなくナチュラルにやってるからね。

ルナリアの、ああいうところが可愛いんだよなあ。

「・・・お母様。これ、今日決まらなかったら、どうなるの?」

「また、階段を降りてくることになるな」

マジですか。

急かす気は無いけど、あの螺旋階段を何度も往復するのは避けたいな。

「・・・そりゃあ、大変だ」

「手伝ってやるか?」

「・・・うん」

目が笑っているお母様の問いに頷いて返す。

とはいえ、こっちの世界に来るまで西洋剣の実物を間近に見たことも無かった私には、本当に剣の善し悪しなんて分からないし、キーワードにヒントが有るかも知れないから再確認しておくべきか。

「・・・レティア卿といえば、女性、王女、庶子、気が強い、武人、だっけ?」

「美人が抜けてるぞ?」

「・・・ええ? 会ったこと無いのに分かんないよ」

冗談なのは分かってるけど、一応、反論しておく。

「レティア卿の再来と、私が言われているのだから、美人に決まってるだろう」

「・・・ふふっ。そうだね」

こうやって冗談を言い合える時間が嬉しくは有るけど、お母様も少し気持ちが疲れてるのかも。

お母様もエゼリアさんとアンリカさんが居なくなるのは寂しいだろうからね。

「フィオレ! 早く!」

「ほら。行ってこい」

「・・・うん」

ルナリアからの催促とお母様に背中を押されて、王家秘蔵の剣が収められているらしい棚へと歩み寄る。

「そっちの列の棚をお願い!」

「・・・分かった」

ルナリアに頼まれた刀剣の棚に向き合う。

これ、「棚」と言うよりも、「箱」と言った方が良いんじゃないかな。

横向きに突っ込むのではなく、傘立てみたいに、縦に突っ込む形になっている。

5メートル以上は横幅がある棚は20センチメートルほどの幅で仕切り板が嵌められていて、その20センチメートルの隙間に1本ずつ剣が収められている。

単純計算で250本の剣が保管できる棚になっているわけか。

裏側にも同じ形状の棚が背中合わせで置かれているのだから、この1島で500本の剣を保管できるのだろう。

そんな島が5つ置かれているということは、2500本も有るの?

奥の壁際を見れば、槍やデッカいハンマーや、何だか分からない長物の武器は、別の棚に立て掛けられているのが見える。

つまり、刀剣だけで2500本ってことか。

いや、空っぽの枠も見受けられて、ざっと見で半分ちょっとの枠に剣が納められているから、1000本~1500本ぐらいと見積もるのが妥当かな。

さあ、これは困ったぞ?

ルナリアに「分かった」と返事をしてしまったものの、母数が母数だ。

ルナリアと私で半分ずつ担当するなら、500~750本も確かめなきゃいけないと。

こんなの、ある程度、方向性を絞って探さないと、目的のものが、どんなものかも分からないのに、1本、1本、確かめていたら、何日も掛かってしまいそうだよ。

「・・・絞る。・・・絞る、か」

どう、絞れば良い?

レティア卿に関する情報と言えば、さっきも特徴を挙げていたけど、「女性、王女、庶子、気が強い、武人」。

あと、お母様曰く、「美人」だっけ。

他の情報と言えば、「ウォーレス家の始祖、エルフ族やドワーフ族と交流が有った」ってことぐらい?

「ウォーレス家の家風を作った人」と考えれば、その人となりは想像できそうな気がする。

ウォーレス家の人たちの特徴で思い付くことと言えば、脳筋で、常に戦争に備えていて、頑固で、サッパリしていて、細かいことに拘らない、着飾ることに興味が無い、とか。

目的意識がハッキリしていて質実剛健を好む、と、言えなくもないのかな。

そんな人が、装飾がゴテゴテと施された剣は無い気がするなあ。

本当にレティア卿がお母様に似ている人だったとするのなら、実用性にしか興味が無い人だったんじゃないかな。

だったら、地味な意匠の剣を探してみる?

剣って、結構、重いから、振り続けるのって疲れるんだよね。

レティア卿は、男性よりも腕力に劣る女性なんだから、重いものや長いものは選ばない気がする。

私だったら軽いものを選ぶなあ。飾り気が無くて短めの剣に絞ってみるか。

棚から柄の頭が飛び出している剣を取り出してみる。

重い。長い。

鞘に入った刀身は私の腕よりも20センチメートルほど長い。これは長剣だな。

床に立ててみると柄頭が額の高さまで来る。

私の身長は110センチメートルぐらいだから、この剣の全長は1メートルを超えているわけだ。

この剣は、刀身が80センチメートルで柄が25センチメートルぐらいかな。

剣を棚に戻すと、柄頭が私の身長と同じぐらいの高さになる。

てことは、棚の中は10センチメートルほどの上げ底になっているわけだ。

これはこれで、一つの目安で、サイズ感の把握ができた。

いちいち棚から剣を取り出さなくても、棚に収まった剣の長さが推測できる。

目で見ただけで候補外のものを除外できるのは、時間短縮の意味で大きな利点だよ。

レティア卿の剣が1メートルよりも短いと仮定すれば、棚の中に収まった状態で私の目の高さ以下ぐらいの剣を探してみるのが良さそうだな。

上手く行かなかったときに、次の手を考えよう。